北京五輪ニュース

2007年08月26日 更新

【陸上】尾方、酷暑に耐えて5位入賞−男子マラソン

3人が入賞。団体戦で3連覇を果たした日本勢。左から佐藤、尾方、諏訪、大崎(代表撮影)

3人が入賞。団体戦で3連覇を果たした日本勢。左から佐藤、尾方、諏訪、大崎(代表撮影)

ヒャ〜、極楽…。酷暑のなかのマラソンで「ウエットミスト」が登場。霧のシャワーを浴びて走る選手(撮影・門井聡)

ヒャ〜、極楽…。酷暑のなかのマラソンで「ウエットミスト」が登場。霧のシャワーを浴びて走る選手(撮影・門井聡)

 大阪世界陸上2007第1日(25日、大阪・長居陸上競技場=同競技場付近)男子マラソンは前回ヘルシンキ大会銅メダルの尾方剛(34)=中国電力=が5位。大崎悟史(31)=NTT西日本=は6位、諏訪利成(30)=日清食品=が7位に入り、3人が入賞した団体戦は3連覇を果たした。

 ホスト国の選手として恥ずかしいレースはできない。メダルへの執念が小柄な体を突き動かす。39キロ付近。身長1メートル65、50キロの尾方がスパートする。目まぐるしく順位を入れ替えながら銅メダル争いを展開したが、届かなかった。

 「メダルを期待されていたし、気持ちで走った。死ぬぐらい走ればよかったけど、走れなかった。それが、ボクの弱いところ」と悔しさをにじませた。

 スタート時の気温は29度、湿度78%。出走85人中28人が脱落。ゴール時の気温が大会史上最高の33度に達し、6人が体調不良で酸素吸入などを受け、途中棄権したウガンダ人選手は熱中症のため病院で治療を受けた。尾方も「熱中症になるかと思った。普通の人なら死んでいる」と“地獄絵”のようなレースを振り返った。

 前回ヘルシンキ大会銅メダリスト。山梨学院大2年の時、箱根駅伝のアンカーとして優勝のゴールテープを切った。だが、社会人になるとけがの連続。ストレスから全身脱毛症になった。入社2年目に中国電力・坂口泰監督から受けた「5000か1万メートルで自己新を更新しなければクビにする」との最後通告で発奮。その年に5000メートルで高校時代の記録を更新し、1カ月で1000キロを走り込む練習量でその才能は再び開花した。

 この日はレース途中から左足親指付近のマメがつぶれて出血。痛みにも気づかず、もうろうとした意識の中、2歳になる長男・杏丞(きょうすけ)くんの名前を刺しゅうしたシューズで最後までメダルを目指した。「陸連も日本人トップでの入賞を評価してほしい」。日本人トップでメダル獲得選手が北京五輪切符を獲得する条件は満たせなかったが、日本陸連・河野匡男子マラソン部長は「メダル争いをしての5位はよく走ったと言える。(暑さの中のレースの)この経験を評価したい」。34歳の不屈の闘志は、この後に続く日本勢を奮い立たせる。

(山田貴史)

◆6位・大崎悟史

「(大学の先輩の尾方が)こういう場にいてくれてよかったし助かった。いなかったら駄目だったかもしれない。予想以上に暑かったが、自分への応援がすごかったので、しんどい中でも力になった」

◆7位・諏訪利成

「(足に血豆ができて)またやっちゃいました。相当痛い。こんな舞台で走れたので、勝ちにこだわるレースをしたかった。まだ何か足りない」

◆大会金メダル1号となったルーク・キベト

「31キロで勝てると思った。途中で転んだけど、けがもしなかったし、すぐに起き上がって走った。ケニアは20年も勝っていなかったから、優勝できてうれしい」

■経過

 スタート時点で29度、多湿の過酷な条件下、序盤から16分台のペースで展開。中盤までの揺さぶりで、20キロすぎから佐藤、25キロすぎから諏訪が後退した。30キロ地点では尾方、大崎も先頭から20秒以上の差をつけられた。6人となった先頭集団からは、キベトが30キロすぎからペースアップ。そのままペースを落とさず、逃げ切った。一度は引き離された日本勢だが、尾方が大崎と並走しながら追い上げ、40キロすぎで3位争いに浮上。だが、競技場手前の競り合いで振り切られ、5位。大崎も6位に入った。

★3人入賞に陸連幹部「限りなく100点に近い」

 マラソンの日本勢は3人が世界選手権のメダルには数えられない団体戦(上位3人の合計タイム)では3連覇を達成した。

 途中棄権者が続出した酷暑のサバイバルレースとあって、日本陸連・河野匡男子マラソン部長は「過酷な条件でメダル争いをし、3人が入賞と戦えた。100点とは言わないが、限りなく100点に近い」と評価。一方で「メダルを獲って団体優勝がチームの狙いだった」と悔しさをのぞかせた。大崎は「日本代表になってうれしい半面、プレッシャーもあった。ホッとした」と満足顔。

■北京への道

 世界選手権で「日本人トップでメダル獲得」ならば来年の北京五輪代表(3人)に内定したが、該当者はなかった。同選手権で日本人トップの5位に入賞した尾方剛(中国電力)の評価は今後、検討される見込み。五輪代表選考はほかに、今年冬以降の国内レース(福岡国際、東京、びわ湖)の結果で選考される。

★大阪らしく開会!

 男子マラソンで開幕した陸上の世界選手権は、夜の部の競技に先立ち、長居陸上競技場に天皇、皇后両陛下をお迎えして開会式を行った。

 開会式は「大阪らしさ」を前面に出し、大阪名物の「くいだおれ人形」の衣装を着た人たちによるパフォーマンスや宝塚歌劇団のスターが登場。天皇陛下が開会を宣言され、人間国宝の歌舞伎役者坂田藤十郎さんによる手締めの「大阪締め」で終了した。