夏季五輪ヒストリー

【第19号】小野喬−世界唯一の大技で9:85!体操ニッポンの原点
(56年メルボルン・体操・鉄棒)

小野喬

鬼に金棒ならぬ、「オノに鉄棒」。体操ニッポンの輝かしい歴史は、メルボルンのこの小野の金メダルから始まった。

初出場の前回52ヘルシンキ・跳馬で銅を獲得。最後の五輪となった64年東京まで4度出場、金5銀4銅4。なかでも鉄棒は大の得意で、60年ローマでも連覇している。

25歳で出場したこの大会では、逆手車輪から左右の手をひねって足を鉄棒から抜くように大きく飛ぶウルトラC「ひねり飛び越し」。世界でただひとりしかできない大技に、得点は満点に近い9・85。小野が登場すると、5000人の観客はうっとりと息をのんで小野だけを見つめ、フィニッシュでは総立ちで拍手を送った。

子供のころから体操にあこがれ、秋田・能代中に進むころには大車輪もこなしていたほど。東京教育大1年の時に、父を失い、生活のためのアルバイトに追われるなかでも、1日5時間の猛練習を欠かさなかった。

大会の2年後、結婚。夫人の清子(元国家公安委員長)とはローマ、東京でおしどり出場を果たし、アベックメダルを獲得した(東京女子団体銅)。