【第114号】吉田沙保里−前人未到、不敗伝説で頂点へ
(04年アテネ・レスリング・女子55キロ級)

栄コーチを肩車する吉田。感激は倍増だ
右拳を突き上げた。やった、獲った。金メダルだ! 世界に誇るタックル娘が、ついに「初代女王」の座を奪いとった。
試合後には日の丸を広げた栄和人コーチを肩車して異例の場内一周。「(コーチを背負うのは)いままで見たことなかったからやりました」とちゃめっ気も。最後は歓声渦巻くマットの中心で、歓喜のバック宙をクルリ。さらに大きな拍手を誘った。
前人未到の記録で世界の頂点に駆け上がった。この日の栄冠で、13歳から出場する国際大会の連続優勝は17、外国人相手の対戦は「74連勝」にまで伸ばした。02年以降公式戦無敗の「吉田伝説」が、神話の国、ギリシャでも光り輝いた。
カミソリタックルを武器に、22日の1次リーグは2試合ともテクニカルフォール勝ち。この日の準決勝は、世界選手権で4度優勝のゴミズ(フランス)に終盤までリードを許したが、逆転の判定勝ち。決勝戦でバービーク(カナダ)を倒したのも、やはりタックルだった。
開始14秒、片足タックルからバックにまわりポイントを奪うと勢いに乗った。72キロ級準決勝で金メダルの本命といわれた浜口が敗れ、48キロ級決勝では伊調千が判定負け。全階級で金メダルを狙っていた日本勢にとって、緊迫感漂う中、必殺タックルを連発して重圧を吹き飛ばした。

