2007年09月26日 更新

“火の玉王子”佑ちゃん、初完投勝利!法大に雪辱果たす

王子の瞳に輝きが戻った。「やり切った感じ」。斎藤の甘いマスクは充実感に満ちあふれていた(撮影・斎藤浩一)

王子の瞳に輝きが戻った。「やり切った感じ」。斎藤の甘いマスクは充実感に満ちあふれていた(撮影・斎藤浩一)

 東京六大学野球第3週第4日(25日、神宮)早大は先発の斎藤佑樹投手(1年)が法大を5安打1失点に抑え、9三振を奪う好投で大学初の完投勝利。9−1で快勝し、23日の2回戦でリーグ戦初黒星をつけられた相手にリベンジを果たした。早大、慶大が4勝1敗1分けの勝ち点2で首位に並んだ。

 最後の打者を二ゴロに仕留めた。それまで緊張でこわばっていた斎藤の表情が、満面の笑みに変わる。捕手の細山田と軽くグラブタッチした。

 137球の熱投で5安打1失点、9奪三振。2日前にリーグ戦初黒星を喫した相手に、大学初の完投勝利でお返しだ。

 「勝っても負けても勝敗(勝ち点)がつく試合で、こういう形で完投できてよかった。やり切った感じ。リベンジはやっぱり気持ちいいです」

 マウンドで気迫を前面に押し出した。二回、嶋田にはカウント2−3から夏に鍛え上げたストレートで勝負。この試合最速となる内角低めの145キロ直球でねじ伏せた。

 “火の玉王子”が仁王立ち。まさに投打でリベンジした。打っては失点直後の四回二死二塁、左前適時打で再び点差を3に広げた。九回にもダメ押しの左前適時打。春の法大2回戦以来となる2安打2打点だ。

 投げても、課題を見事に克服した。法大に敗れた翌日、控え部員とビデオで分析し、打ち込まれた原因を探った。「調子も悪くないのに、さすがにあそこまで打たれるのはおかしい。僕にも自覚があった」。

 大学に入って一度直したはずの癖が再発。セットポジション時、グラブへの右手の入れ方に直球、変化球で違いがあり、それを法大打線に見抜かれていた。

 この日の試合前には応武監督と入念なフォームチェック。試合中は、右手の入れ方をクセとは逆にし、法大打線を幻惑するクレバーさもみせた。4打数無安打に終わった法大の4番・大沢は「前回は球種が9割、分かっていたが…。頭のいい投手だと思った」と脱帽した。

 負ければ3連覇から後退する重要な一戦で価値ある大学初完投。火の玉王子がまた、一回り成長した。次の登板予定は9月29、30日の立大戦。斎藤が大投手への階段を一歩ずつのぼっていく。

(星直樹)

★佑ちゃんに聞く

−−大学で初完投

 「勝っても負けても勝敗(勝ち点)が付く試合で、こういう形で完投できてよかったです」

−−意識していた

 「(応武監督から)行けるところまで行けといわれていたので、七回くらいまでと思っていました」

−−負け投手になった23日から修正は

 「クセがあるといわれて、見つけてもらって直しました」

−−悔しさが力になった

 「はい。きょうはおととい負けたときより調子良くて、三振を狙えるところは狙いました」

−−負けての収穫は

 「勝つのが当たり前になっていた中で負けて…。きょう勝ったことが本当にうれしかったです」

−−適時打も2本

 「スライダーをうまく打ててよかったです」

■佑ちゃん大学初黒星VTR

 23日の法大2回戦に先発した早大・斎藤は、四回に5安打を浴びて2点を失った。本来のリズムをつかめないまま、七回に代打を送られ降板。6回で被安打9は大学自己ワースト。1−2でリーグ戦初黒星を喫し、昨夏から続いていた“国内不敗神話”は26試合でストップした。斎藤は「頭がパニくっています。あそこまで打たれたら自分に実力がないということ」と唇をかみしめた。

★その時

 斎藤の母・しづ子さん(47)はバックネット裏2階席で、野球チーム「熊球クラブ」の試合を終えた兄・聡仁さん(22)と観戦。大学初の完投勝利に「完投よりも何とか勝ってほしかった。これでほっとするでしょうね」と笑みを浮かべた。

 23日の法大に敗れた後に珍しく電話があり、「負けることも勉強。1回負けたくらいで何も変わらないよ」と励ましの言葉をかけたという。母の“心のアドバイス”も効果てきめんだったようだ。

★早大・田中幸、ただいま三冠王

 主将の田中幸が、七回に中押しの3ラン。「あれがなければ(斎藤の)完投もなかった」と応武監督がいう一撃は、節目の通算10号。「2ケタは今季の目標にしていたので、うれしいです」と笑顔を見せた。打率.522、14打点、3本塁打の成績はただいま三冠王。プロ入りを志望するだけに、「アピールする気持ちはあります」とバットで存在感を見せつけている。

★法大・金光監督、斎藤に脱帽

 斎藤に完投を許した金光監督は「中1日で立て直すのは能力の高さの証明。こういう投手とやるとき、序盤に3、4点失えば勝ち目がない」と脱帽した。2カード続けて勝ち点を失い、3季ぶりの優勝は厳しくなった。「もう1本というところで出ないのが、今年のウチの弱いところ」。五回二死満塁などの好機を生かせなかった打線にボヤいた。