2007年09月24日 更新

佑ちゃん512日ぶり負けた…大学ワースト9被安打

国内の公式戦では512日ぶりに黒星を喫した斎藤。不敗神話が止まった(撮影・斎藤浩一)

国内の公式戦では512日ぶりに黒星を喫した斎藤。不敗神話が止まった(撮影・斎藤浩一)

 東京六大学野球第3週第2日(23日、神宮)“不敗神話”がついえた!! 法大戦に先発した早大・斎藤佑樹投手(1年)は、リーグ戦ワーストの9安打を浴び2失点で6回降板。打線も1点しか奪えず、1−2でリーグ戦初黒星を喫した。国内で敗戦投手となるのは実に512日ぶり。昨夏の甲子園を制し、春の神宮を沸かし続けたスーパールーキーも、ついに大学の洗礼を浴びた。

 どんよりと曇った神宮の空と同じように、佑ちゃんの表情は最後まで晴れることはなかった。6回9安打2失点でリーグ戦初黒星。早実時代の06年4月29日、春季東京都大会準決勝の日大鶴ケ丘戦以来、512日ぶりに国内で敗戦投手となった。

 「ブルペンでは調子よかったんですが…。春とは違って法政も手ごわくなってるという印象です。あそこまで打たれたら自分に実力がないということです」

 この試合の佑ちゃんは、最初から何かがおかしかった。いつもは出さない先頭打者を、一回から四回まで毎回出す苦しい投球。深呼吸や屈伸を繰り返すが調子は戻らなかった。そして四回、法大打線に捕まり、5安打で、2点を失った。

 七回に代打を送られ降板。6回を投げて9安打は大学自己ワーストだ。「自分のボールとフォームに原因があった」と調子の悪さは一目瞭然。直球は伸びを欠き、変化球にもキレがなく、昨夏から続けてきた“国内不敗神話”も途絶えた。

 これも春に活躍したルーキーへの試練だ。各大学とも打ち崩そうと研究を重ね、対策を講じている。法大打線は「低めを振ると苦しくなる。逆に見送れば相手にダメージを与えられる」と大沢主将。この日は低めは、直球、変化球かかわらず、ストライクなら仕方ないと割り切って手を出さなかった。低めの変化球が生命線の斎藤は、本来のリズムを最後までつかめなかった。

 「研究されるのは分かっていたこと。きょうのうちに消化して新しい気持ちでやりたいと思います」。大学で初めて味わった敗北に唇をかみしめた佑ちゃん。目の前に現れたこの壁を自らの力で乗り越えたとき、さらなる進化を遂げる。

(星直樹)

【斎藤に聞く】

 −−試合を振り返って

 「ブルペンでは調子よかったんですが…。春とは違って法政も手強くなってるという印象です」

 −−手強くなったとは

 「1番から9番までバットが振れていて、投げづらかった」

 −−投球を採点すると

 「負けがついたということで点は付けられない。自分のレベルより相手のレベルの方が高かったということです」

 −−四回に2失点

 「もしかしたら少し油断があったのかもしれない。ただ、自分の中ではよく2点で抑えたなというのもあります」

 −−走者を出しても粘り強く投げていた

 「粘り強いとは言っても、あそこまで打たれたら自分に実力がないということ」

 −−きょうの収穫は

 「あると思います。でも今は頭がパニくっているので、帰ってからゆっくり考えたい」

 −−判定も厳しかった

 「多少あったと思うけど、言い訳にしたらきりがない」

 −−研究されていた

 「研究されるのは分かっていたこと。それを考えながら成長できなかった」

 −−きょうの反省は

 「(回の)先頭を出してしまったことと、2アウトから甘い球を投げてしまったことです」

 −−今後に向けて

 「あす、あさっても勝たなきゃいけないのがリーグ戦なので、きょうのうちに消化して新しい気持ちでやりたいと思います」

■その時

 斎藤の父・寿孝さん(58)と母・しづ子さん(47)がネット裏2階席で観戦した。大学ワーストの9安打を打たれたことに寿孝さんは「バランスは悪くなかったし、安定した球を投げていた。法政が好球必打でやってきた」と相手打線をたたえた。東大戦後に1度、家族で集まって食事をし、その席で「後期の授業も始まるから、文武両道でやれよと言いました」と勉強も頑張るよう伝えていた。

◆早大・応武監督

「自分たちのやることができていない。斎藤は、ブルペンではよかったのだけれど」

◆巨人・織田スカウト

「一回から四回まで先頭打者を出して得点圏に進められながら、よく2点で抑えたよ。そのことを評価したい」

★法大・平野「かなり気分はいい」

 勝利の瞬間、ナインは優勝でもしたかのような喜びよう。完投した平野もマウンド上で派手なガッツポーズだ。「とにかくうれしいです」。昨秋、利き腕の右肩を痛め、12月に手術。「このまま投げられなくなるんじゃないか」と悩んだ日々もあったが、昨秋の立大戦以来、ほぼ1年ぶりの復活勝利で、ドラフト候補にも再び名乗りを上げた。早大・斎藤に初黒星をつける力投に「かなり気分はいいです」とニヤリと笑った。