2007年09月06日 更新

速球派本能目覚めた!佑ちゃん“火の玉王子”に変身

秋の陣へ臨む注目の佑ちゃん(中央)。会見には約40人の報道陣がつめかけた

秋の陣へ臨む注目の佑ちゃん(中央)。会見には約40人の報道陣がつめかけた

 春とは違うボクを見てください! 8日に開幕する東京六大学野球秋季リーグに向け、早大・斎藤佑樹投手(1年)が5日、西東京市の野球部寮で会見した。春は白星で飾った開幕戦をはじめ、4勝“2セーブ”で、ベストナインに輝いたスーパールーキーは、8日の開幕東大戦先発が濃厚。夏場のトレーニングで磨きをかけた直球で、春秋連覇へ、真っ向勝負する。

 暑い夏を越え、心身ともにたくましくなった斎藤が、神宮の杜に戻ってくる。日焼けした精かんな顔つきで、秋への抱負を語った。

 「スピードを上げること、強い球を投げることを意識して練習してきた。春とは違った斎藤佑樹を見せられたらいいと思います」

夏を越えて、たくましくなった斎藤。神宮で新たな伝説を作る(撮影・寺河内美奈)

夏を越えて、たくましくなった斎藤。神宮で新たな伝説を作る(撮影・寺河内美奈)

 春季リーグ開幕戦の東大戦で、新人としては80年ぶりの先発白星をあげるなど、4勝“2セーブ”で優勝の原動力となった斎藤。フル稼働で落ちた体重は、トレーニングの成果で元の72キロまで戻った。下半身の張りがユニホームの上からでもわかるほど、筋肉は盛りあがっている。

 「松坂さん、野茂さんのような空振りを取れる強い直球を投げたい」。この夏は連日、気温35度を超す猛暑の東伏見で、下半身を徹底的にいじめ抜いた。両翼ポール間をダッシュする1本1キロを超えるインターバル走を数多くこなした。

 春は「勝つため」に、ツーシーム、スライダーなど変化球を軸に投球を組み立てた。しかし、米国のパワーヒッターに痛打を浴びた7月の日米大学野球で、直球に磨きをかけなければと実感。4日にサンケイスポーツが伝えた松坂大輔(レッドソックス)からの「今はツーシームよりフォーシーム(直球)を伸ばすべき」というメッセージも胸に響いた。

 「自分でもそう思っていた。松坂さんのような偉大な投手からアドバイスをもらえてうれしい」。変化球中心の投球から、直球で正面から向かっていくスタイルへ変身する。最速149キロだった直球が、自身初の150キロの大台へ乗せられるかが秋の課題だ。

 夏休みには、高校野球・西東京大会に出場(3回戦敗退)した母校・早実の応援に駆けつけた。自らの原点に立ち返り、リフレッシュした斎藤の注目度は相変わらず高い。5日発売の女性誌「an・an」の好きなスポーツ選手部門でイチローに次ぐ2位にランクイン。ゴルフの石川遼クンとともに“王子”特集が組まれるほど、人気を集めている。

 フィーバー必至の8日の開幕東大戦。応武監督は「頭の中では決めている」と話すにとどまったが、春に続いて斎藤が開幕投手を務める可能性は十分だ。1年生が春、秋とも開幕投手を務めれば、1929年の古館理三(帝大=現東大)以来78年ぶりで、春秋ともに開幕白星なら、27年の宮武三郎(慶大)以来80年ぶりの快挙となる。

 「開幕戦も投げる気持ちはあります。チームが春秋連覇できるように貢献したい」。再び日本中の視線を一身に受けて秋の神宮のマウンドに登る佑ちゃん。新たな偉業に挑む。

(星直樹)

【斎藤に聞く】

 −−夏の課題は

 「スピードを上げる、強いボールを投げることを意識しました。課題克服は完全にはできていませんが、近づいてはきています」

 −−どんな練習を

 「いままで少し加減していたキャッチボールやピッチングを、100%の力でこなす」

 −−かなり走り込んだ

 「(インターバル走メニューの)メジャーがきつかった。下半身はしっかりしてきました」

 −−体重は

 「いったん減って、増えてきました。今は72キロです」

 −−松坂投手(レッドソックス)が「フォーシームを鍛えろ」とアドバイスしていたが

 「確かに自分でもそう思っています。松坂さんという偉大な投手から、そういうアドバイスをもらえてうれしい」

 −−秋の目標は

 「春秋と日本一連覇に貢献するのはもちろん、4年生は最後の試合なので、足を引っ張らないようにしたい」

 −−先発、抑えのどっちでもいくのか

 「春と同じようにどちらもできるようにとは思っていますが、自分としては先発でいきたい」

 −−開幕投手も

 「早稲田の投手陣は全員、開幕に合わせているので、投げる気持ちはあります」

 −−ファンへひとこと

 「春とは違う斎藤佑樹を見せていけたらいいです」

■春季開幕戦VTR

 4月14日、春季リーグ開幕戦の東大戦。斎藤は1930年の高橋一(帝大=現東大)以来、77年ぶりの1年生開幕投手に指名された。毎回の8三振を奪い、6回1安打無失点で降板。試合は8−0で勝ち、27年の宮武三郎(慶大)以来80年ぶり2人目の快挙となる1年春の開幕投手白星を飾った。斎藤は1万8000人の観衆に「まだ神宮の席が空いているので、満員にさせるように頑張っていきます」と六大学人気の復活を誓った。

■早大の投手陣は?

 ベンチ入りは6人。春と同じ背番号「16」の斎藤ほか、エースナンバー「11」の須田幸太(3年)、春の防御率1位・松下建太(2年)、貴重な左腕の大前佑輔(2年)は確実。夏のオープン戦で好投した1年生の大石達也、1メートル90の長身・楠田裕介(2年)、日野頼人(3年)らが候補。春はベンチ入りした04年センバツ優勝の福井優也(1年)らと争う。

■東大は

 雨天のこの日は東京・文京区内の雨天練習場で軽い調整を行った。中西正樹監督(34)は「春は斎藤君の話題で気負っていた部分があったが、それがなくなり、チームが落ち着いてきた。受けに立たないように積極的にいきたい」と雪辱を期す。春の開幕戦では斎藤に抑えられ、大敗を喫しただけに「もっと走者を出して仕掛けていきたい。準備してきたことを出せれば」と、ひと泡吹かせるつもりだ。

◆早大・田中幸長主将

「暑い中、走り込んで精神的にも強くなった。チームとしてはリーグ3連覇、個人としてはベストナインを獲れたらいいです」