2007年06月18日 更新

ワセダ33年ぶり日本一!“無敗男”佑ちゃんがMVP!

大学でも日本一。MVPにも輝いた斎藤は全身でVの字を表した

大学でも日本一。MVPにも輝いた斎藤は全身でVの字を表した

 全日本大学野球選手権最終日(17日、神宮)佑ちゃん、日本一のMVP男だ!! 早大(東京六大学)は斎藤佑樹投手(1年、早実)が大学で初めて2日連続の先発。東海大(首都大学)相手に六回途中1失点で勝ち投手となり、早大は33年ぶり3度目の優勝を果たした。斎藤は1年生として初の最高殊勲選手賞も受賞。「大学NO・1投手」の肩書をさげて、7月には米国に乗り込む。

 松下が最後の打者を三振に仕留めると、マウンドめがけ思い切りダッシュした。昨夏の甲子園では仲間を迎える側だったが、今度は突っ込む側。大学でも日本一になった斎藤が、歓喜の輪の中ではしゃぎ回った。

 「最高です。リーグ戦と同じように、初回から自分の力を出し切っていこうと思いました」。仲間の指名で、春のリーグ戦と同じように胴上げされたが、今回も“大トリ”。早大に33年ぶりの栄光をもたらした「史上初の1年生MVP」にふさわしい待遇で、3度宙を舞った。

 前日16日の準決勝に続き、大学で初めて2日連続の先発を任された。ついにつかんだ絶対的なエースの証し。低めにボールを集め、四回一死満塁ではフォークボールで三ゴロ併殺。五回は「中学以来」という一塁けん制で走者を刺し、ピンチを未然に防いだ。

 六回、二死後に左前適時打を打たれ、走者を残して降板。「投手として回の途中で代わるのは悔しい」と大学初の屈辱も味わったが、2番手の松下が次打者を三振に斬り、ベンチでがっちり握手した。5回2/3を102球、7安打1失点6三振は堂々の内容だ。

優勝旗とMVPのトロフィーを手に記念撮影。斎藤(右端)がまたひとつ勲章を手に入れた(撮影・浅野直哉)

優勝旗とMVPのトロフィーを手に記念撮影。斎藤(右端)がまたひとつ勲章を手に入れた(撮影・浅野直哉)

 これで登板した国内公式戦は25試合、414日間負け知らず。連日の先発起用を応武篤良監督(49)が「不敗神話にかけてみました」と説明したほどの強運を持っている。夏の甲子園を制した投手が、翌年の大学選手権の優勝投手になるのは史上初の快挙。斎藤自身も「何か持っているな、こういう人生なのかなと思います」。言いようのない不思議な力を感じている。

 22日からは日米大学選手権(7月4日開幕)の選考合宿が始まるが、この日、テレビ解説を務めた日本代表・河原井正雄監督(52)=青学大監督=は「(代表に)入れますよ」と断言。「五回まで、コントロールしづらいフォークをうまく使っていた。1年生とは思えない」と打倒・米国の切り札として期待している。

 高校、大学で連続日本一。そして米国退治へ−。ビクトリーロードを突っ走る斎藤だが、決して満足はしていない。「スタミナはあると思うが、それを使えない自分がいる。目標を高いところに見つけていきたい。とりあえずは完投、秋のリーグ戦5勝です」。視線は日米野球を飛び越え、秋のリーグ戦でのフル回転。いつまでも、どこまでも、スーパールーキーは勝利を追い求める。

(田中浩)

■データBox

 早大が大学日本一に輝き、斎藤が勝利投手となった。斎藤は早実高時代の昨夏の甲子園で優勝投手。夏の優勝投手が大学選手権で優勝したのは79年の中大・小川淳司(習志野高、75年夏V)、80年の明大・松本吉啓(桜美林高、76年夏V)、82年の法大・西田真二(PL学園高、78年夏V)がいるが、斎藤のように前年夏からの“連続優勝”は初めて。

佑ちゃんに聞く

 ――大学日本一です

 「やっぱり、まだ何かを持っているなと思います。六大学(の春季リーグ戦)が終わって、運を使い果たしたころかなと思っていましたが、使い切らないものですね。一生じゃないが、何か持っている、こういう人生なのかなと思います」

 ――2日連続の先発

 「きのう(16日)五回で交代したときに、うすうす感じていました。きのうの夜、寮で監督から『あしたは任せた』と言われました。うれしかったです」(実際は、前日五回で降りた直後のベンチ裏で告げられていた)

 ――リーグ戦に続いて胴上げも

 「きょうもあるかなとは思いました。リーグ戦のときはびっくりしましたが、きょうは素直にうれしかった」

 ――MVPも手に

 「2勝あげたとはいえ、正直、1年生の自分が選ばれるとは思っていませんでした。びっくりしたのと、うれしい気持ちの両方です」

 ――四回一死満塁は併殺で切り抜けた

 「3点あったので、落ち着いていました。ゲッツーはフォークだと思います。狙っていたわけではなく、思い切り投げて三振が取れればいいと思っていました」

 ――六回は大学で初の途中降板

 「今の自分は、ここまでかなと感じました。最後にかっこよく決めてやろうという気持ちが邪魔になったのかも。回の途中で代えられるのは投手としては悔しい。これから頑張るための糧にしたい」

 ――課題も見えた

 「一番はスタミナ。もともとスタミナはあると思うんですが、それを使えない自分がいる。精神的なスタミナが必要だと思います。相手に負けたというより、自分に負けたなと。あとに投手がいる安心感が、逆に弱い部分を出しちゃったのかもしれません」

 ――1年生で気苦労もあるのでは

 「(少し迷いながら)それはあります。野球以外のことで、気を遣うことはあります」

 ――7月には日米大学野球がある

 「ここまできたら選ばれたい。(昨年の高校代表遠征に続き)もう1度アメリカに行きたい。アメリカの大学生とやりたいなと思います」

 ――きょうは父の日

 「ポロシャツを贈りました。自分で選んだものです」

 ――今後の目標は

 「とりあえず完投。それとリーグ戦5勝です」

★父の日に「ビックプレゼント」

 斎藤の父・寿孝さん(58)=写真左=と母・しづ子さん(47)=同右=はネット裏の2階席で観戦。四回満塁のピンチを無失点で切り抜けると、しづ子さんは「ああいう場面で抑えられるのは、甲子園を経験しているからだと思います」と大舞台での快投に目を細めた。そして、つかんだ大学日本一。寿孝さんは「ビッグプレゼントだね」と父の日の贈り物を喜んだ。

★楽天・田中、佑ちゃんの日本一に発奮

 早大・斎藤の2戦連続先発に楽天・田中も驚いた。この日はテレビ観戦できなかったが、結果を聞いてビックリ。「まさか先発しているとは思わなかったですよ。優勝おめでとうございます。MVPまで取ったんですよね? スゴイと思います」とライバルを称賛した。マー君自身の3連勝がかかる次回の先発は、20日の甲子園での阪神戦が濃厚。昨夏に佑ちゃんと投げ合った思い出の地で、気迫の投球を見せる。

◆斎藤とバッテリーを組んだ早大・細山田

「(斎藤は)観客も味方につけていましたね。三回の二死一、三塁の場面で三振をとってからノッていきました」

◆早実OBのソフトバンク・王監督

「たいしたものだ。またひとつ勲章が増えたね」

★退任の東海大・伊藤監督脱帽「制球とキレがいい」

 6大会ぶりの日本一を狙ったが完敗。斎藤攻略として、打席の立ち位置や狙い球など細かい指示を与えていた伊藤監督だが「ストライクからボールになる球に手が出てしまう。コントロールとキレがいいのでしょうね」と脱帽した。97年から指揮を執り、日本一1度と2度の準優勝の実績を残した同監督は、6月いっぱいで退任。「こんな舞台で最後のユニホームを着られるなんて、最高の思い出です」と感慨深げだった。後任には東海大菅生高・横井人輝監督(45)が内定している。

★斎藤に連続三振…東海大4番・加治前

 プレ五輪代表の加治前は、斎藤の前に2打席連続三振。4月6日のオープン戦(東伏見)でも3打席3三振に倒れており、通算で5打席連続三振を喫した。「斎藤君は低めにボールが集まって(オープン戦より)制球力がついていました。(大観衆を前に)僕は肩に力が入ってしまったけど、彼の方は冷静でしたね」。それでも4番としてチームを決勝に導いた功績が評価され、大会の敢闘賞に選ばれた。

◆東海大OBの巨人・原辰徳監督

「よくがんばったと思います。突出した選手がいない中、伊藤監督を中心としたチーム力でよく戦いました」