2007年05月06日 更新

【大学】佑ちゃんが初S…九回二死満塁で緊急登板も三振斬り

初リリーフでも三振斬りの快投。斎藤は4球でゲームを締めた(撮影・小倉元司)

初リリーフでも三振斬りの快投。斎藤は4球でゲームを締めた(撮影・小倉元司)

 東京六大学野球第4週第1日(5日、神宮)佑ちゃん、炎の初セーブ!! 早大の斎藤佑樹投手(1年、早実)が立大1回戦の九回、2点リードの二死満塁で緊急登板。打者1人を三振に斬って“初セーブ”を挙げた。6日の2回戦で先発が濃厚な斎藤は、初の連投で自身の開幕3連勝を狙う。

 神宮のボルテージが一瞬で最高潮に達した。7−5で迎えた九回二死満塁。立大・末藤(2年・東邦)のカウントが0−2となったところで、応武監督がたまらずベンチを飛び出した。そして…。「福井君に代わりまして、斎藤佑樹君」。場内に響きわたるアナウンス。2万観衆から大歓声が沸き上がった。

 「緊迫した場面での登板だったので、緊張とともに『やってやるぞ』という気持ちでした。自然と気持ちが高ぶりましたね。初球にストライクを取れて楽になりました」

 救援陣が乱調で追い上げられ、公式戦初の救援マウンドは一打出ればサヨナラの場面。だが、2球続けてストライクで簡単に追い込むと、ファウルをはさんで4球目、末藤のバットを145キロの外角直球で空を切らせた。斎藤はマウンド上でクルッと1回転して小さくガッツポーズ。東京六大学では公式記録ではないが、事実上の“初セーブ”を挙げた。

 「最後は空振りを狙っていました。神経を使いましたが、かなり大きな経験になったと思います。先発とは違って、ワクワクして楽しさを感じられました」。余裕のコメントは、さすがの強心臓。ピンチに動じない投球は「昨夏の甲子園の経験が大きい」と斎藤はいう。早実時代からメンタルトレーニングを行っていたこともあり、どんな状況でも力を発揮することができるのだ。

 これで、誰もが完全に納得したことだろう。4月14日に早大史上初の1年生開幕投手を務めたときは「本当に勝つ気があるのか」などの雑音がチーム内にあった。それでも斎藤が開幕2連勝したことで、そんな声は次第に消えていき、ベンチ外の上級生もしっかりと練習をサポート。さらに、この日の大ピンチを切り抜けた投球で「みんなが『斎藤はすげえな』と言っていました」(3年生捕手の細山田)。揺るぎのない信頼を勝ち得ることができた。

 この信頼と勢いを、6日の先発につなげる。「いつでも行ける状態です。明日も勝って、1年春から優勝に貢献したい」。初登板から無傷の3連勝なら91年の早大・織田淳哉(現巨人スカウト)以来、16年ぶり。大物ルーキーが、投手陣の大黒柱となって、早大の連覇をたぐり寄せる。

(吉村大佑)

★斎藤に聞く

−−初のリリーフ登板だが

 「かなり緊張しましたが、どっちに転ぶかわからない状況で抑えることができてよかったです。先発とは違った面白さがありました」

−−登板前、応武監督からは何と言われたか

 「『1点やってもいいから落ち着いていけ』でした。4球でしたが神経を使いました」

−−大学でもやっていけるという手応えは

 「まだ3チームとしかやっていないので、ひと通り対戦してみないとわからないです」

−−調子は

 「右肩上がりですけど、まだ完ぺきではないです」

−−これでチームは開幕5連勝だが

 「あしたも勝って勝ち点を挙げて(1年生の)春から優勝を目指して頑張っていきたいです」

★家族が観戦…兄「並大抵じゃない」

 救援登板を予期していた!? 斎藤の父・寿孝さん(58)と母・しづ子さん(47)、大学生の兄・聡仁さん(21)がネット裏で観戦。斎藤の投球をしっかり見届けた。弟が救援でもいいピッチングを見せたことに関して、兄の聡仁さんは「あれだけのプレッシャーのなか、冷静に投げられるなんて…。やっぱり並大抵のピッチャーじゃないんだなと改めて感じました」。身内のことながら、感心していた。

◆立大・坂口監督

 「(斎藤は)大したもんじゃないですか。末藤には(カウント)0−2だったので、ストレートか抜く球を狙えとアドバイスしたのですが…」

◆斎藤の救援を関係者から伝え聞いた早実の佐々木慎一野球部長

 「頑張ってくれていることがうれしいです。これからも成長してくれると信じています」

■打席途中で投手が代わったとき

 ボールカウント0−2、1−2、0−3、1−3、2−3で交代して、打者が四球で出塁したときは降板した投手の責任となる。四球以外(安打、死球、失策など)で出塁したときと、打ち取ったときには救援投手の責任。カウント0−2から救援登板した斎藤には奪三振1が記録された。

★ピンチ招いた松本、斎藤に感謝

早大は打ち合いを制して立大に7−5で先勝し、開幕から5連勝とした。

 松本が先制三塁打を含む3安打の活躍。九回の守備では、目測を誤って安打としてしまい、「(斎藤のリリーフを仰ぐ)ハラハラの原因を作ってしまいました」と苦笑い。最後の1人を抑えた斎藤に試合後、声をかけたが、「半分は、ありがとうという気持ち」とスーパールーキーをたたえていた。