2008年04月13日 更新

金本、通算2000安打達成!「じらせ過ぎました、すいません」

金本(左端)は矢野と新井に祝福されて満面の笑み。ようやく男になった(撮影・安部光翁)

金本(左端)は矢野と新井に祝福されて満面の笑み。ようやく男になった(撮影・安部光翁)

 (セ・リーグ、横浜3−6阪神、5回戦、阪神4勝1敗、12日、横浜)阪神・金本知憲外野手(40)が12日の横浜戦(横浜)の七回、寺原隼人投手(24)から右前適時打を放ち、プロ野球37人目の通算2000安打を達成した。広島時代のプロ2年目の93年8月8日のヤクルト戦で初安打を放ち、17年目で大記録を打ち立てた。王手をかけてから18打席無安打は最長記録となった。

 沈みゆく夕日までも祝ってくれた。暮れなずむ横浜に“虹”をかけた。ようやく男になった。午後4時28分25秒−。2万9866人の観衆が最大の苦しみを味わった金本を称えた。歴史の証人となった。

 「ちょっと焦らせすぎましたかね。長かった? ボクは長く感じなかったけど、1日も早く打ちたいと思っていました」

 新井と移籍後、初のお立ち台。史上初の1000安打&2000安打の同時達成。「キモイですね」。苦労した分、ジョークが冴える。「運命的なものを感じます」。弟分の言葉が胸にしみた。ともに広島に背を向けた。愛着はあるが、後悔はしていない。「優勝」を求めて飛び出した2人が目を合わせた。至福の瞬間だった。

 「M1」から最長の18打席無安打で迎えた七回二死三塁。カウントは2−2。寺原が内角に投じた150キロのストレートを弾き返す。打球が右前に落ちるのが見えた。5点目を叩き出す適時打。生還した新井と矢野がベンチから飛び出した。それが嬉しかった。

 「1点がほしかったので、1点入ったという気持ちの方が先だった。詰まりましたね。バットも折れたし…」

 苦闘を象徴する商売道具。しかし心は折れなかった。6日の巨人戦(東京D)で王手をかけた。その頃から左太ももに強い張りを感じた。左ひざ手術の影響だった。「不安が出るなら2、3週間たってから」。予想が当たった。だから慌てなかった。

 「自分は運が強いというか、強いモノに守られている気がします」

 守ってくれた人を挙げればキリがない。故島野育夫氏も、その一人だった。本塁打を放った3月5日の広島との追悼試合(京セラD)。数日後、ホームランボールが帰ってきた。サインを書き、未亡人の美智子さんに送った。仏前に供えられている白球に誓いを立てた。昨年12月17日の葬儀前日、亡骸を前に号泣した。天国の“オヤジ”への最初の恩返しだった。

 「実感? 名球会(総会が行われる)でハワイへ行って一番、ぺーぺーになって、酒をついで回ったら実感がわくかも」

 悲壮感が似合わない金本は冗談で周囲を笑わせた。偉大な先輩の前では若輩者かもしれない。だが阪神では功労者。新たな“レール”が敷かれている。

 「一度、東京で評論家をして勉強してから、指導者として戻ってきてほしい」

 バットとグラブを置く日が近づいてきているが、球団幹部は監督として迎え入れるプランを披露した。金本は至宝−。そのスタンスは不変だ。

 「次は2500(安打)。本塁打も500本をメドにしたい。2000安打は個人のことだから。優勝はチームで喜べる。できる限りのことをして、ヒットをたくさん打ちたい」

 2008年4月12日。また鉄人が強く、大きくなった日をファンは忘れない。目指すは3年ぶりの頂点。アニキが次の歓喜に誘ってくれる。

(野下 俊晴)

■金本 知憲(かねもと・ともあき)外野手

 1968(昭和43)年4月3日、広島市生まれ、40歳。広陵高、東北福祉大を経て、91年D4位で広島に入団。99年、サイクルヒットを記録し、00年は打率3割、30盗塁、30本塁打のトリプルスリーを達成。02年オフ、阪神にFA移籍し、03年の優勝に貢献。04年は打点王、05年はリーグMVPに選出された。06年、904試合連続フルイニング出場の世界記録を樹立した(現在1199試合)。右投げ左打ち。1メートル80、88キロ。年俸5億5000万円。背番号6

■2000本あらかると

 ★阪神では? 山内一弘(67年到達)、藤田平(83年)に次いで3人目。金本は広島時代に1179安打を記録し、阪神では821安打
 ★スロー記録 40歳0カ月での到達は落合博満(41歳4カ月)、新井宏昌(40歳2カ月)に次いで3番目のスロー記録。国内最年少は榎本喜八の31歳229日でメジャーを含めれば、イチローの30歳212日
 ★量産 金本の到達までの05年から3年間の安打数は489。イチロー(マリナーズ)の662に次ぐ数字で、張本勲の486を超える国内1位
 ★大卒達成者 社会人野球を経由せず、大学から直接入団した野手では長嶋茂雄、山本浩二、谷沢健一、野村謙二郎、有藤通世、新井宏昌に次いで7人目
 ★内訳 本塁打=397、三塁打=34、二塁打=333、単打=1236

■名球会

 昭和生まれの日本プロ野球の選手によって構成される親睦団体。投手は200勝以上、または250セーブ以上、打者は2000安打以上が入会条件で、大リーグの成績も合算する。会長は金田正一氏、副会長は長嶋茂雄氏と王貞治氏。有資格者では落合博満が入会を辞退し、野茂英雄は態度を保留している