2008年05月04日 更新

ロッテ・唐川デビュー連勝!高卒新人初の10K無四球完投

地元・千葉マリンのニューヒーローだ。ルーキー唐川が、無四球&10奪三振で初完投勝利をあげた(撮影・戸加里真司)

地元・千葉マリンのニューヒーローだ。ルーキー唐川が、無四球&10奪三振で初完投勝利をあげた(撮影・戸加里真司)

 (パ・リーグ、ロッテ10−1西武、7回戦、ロッテ4勝3敗、3日、千葉)鮮烈な地元デビューだ! ロッテの高校生ドラフト1巡目の新人、唐川侑己投手(18)=千葉・成田高出=が3日の西武戦(千葉マリン)に先発。9回を3安打10奪三振の1失点で投げきり、4月26日のソフトバンク戦(ヤフードーム)に続く2勝目を初の完投勝利で飾った。ドラフト後の高卒新人による無四球&2ケタ奪三振の完投勝ちは史上初。平成生まれの18歳右腕が、快挙を成し遂げた。

 大胆にも、最後は三振を狙っていた。九回二死、カウント2−2。ゆったりとしたフォームから投げ込んだ143キロの外角高めの直球に、3番・石井義のバットが空を切った。10個目となる奪三振。唐川がプロ2勝目をつかんだ瞬間、4連休初日に詰めかけた観衆3万人の拍手と歓声で球場が揺れた。

 「最後の打者は三振を取りたいと思っていました。地元での登板は気持ちよかったです!」

 家族や同級生ら約40人が見守る中、9回3安打1失点の快投ショー。7回無失点で初登板初勝利をあげた4月26日のソフトバンク戦から通算13イニング目の六回にプロ初失点を喫したものの、高卒ルーキーでは初となる無四球&2ケタ奪三振の完投勝利。両リーグを通じてトップの46本塁打を放っている強力レオ打線を封じ込め、チームの連敗を5で止めた。

 MAX145キロの直球と、持ち前の制球力がさえた。常にストライクが先行し、3ボールとなったのは1度だけ。捕手の橋本は「ストライクはもちろん、(要求したところに)ボール球を投げてくる」と並はずれた高卒ルーキーに舌を巻いた。

 昨年の7月25日、夏の甲子園・千葉県大会5回戦の東海大浦安戦。延長十四回の死闘の末、0−1で敗れ、悔し涙にくれた千葉マリンで今度は会心の笑みを振りまいた。制球力の良さの秘密について、成田高野球部の尾島監督が証言する。

 「体の柔らかさは天性のもの。体が柔らかいため、球持ちが良い。その分、ボールを前で離せるので制球力も良くなる」。柔軟性を保つため、高校時代から現在もずっと、高さ約1メートルの陸上のハードルを手を地面につかずにくぐる独自のトレーニングを続けている。

 地元の声援も支えとなった。プロ入り前、唐川は父・義明さん(52)に「千葉マリンを満席にして勝ちたい。人がたくさんの方が燃える」と誓っていた。想像を超える大声援の中で約束を果たし「声援を受けたら(緊張は)解けました」と声を弾ませた。

 2試合連続の快投で、12球団屈指のロッテの先発ローテ入りは確実。「年間通してローテーションを守りたいです。新人王? 結果としてそうなればよいですが、まずは次の1勝を目指したい」。夕闇迫る千葉の空に、新星がキラリと輝いた。

(神田さやか)

★その時

 前回のヤフードームでの登板ではテレビ観戦だった唐川の家族や同級生ら約40人の応援団が、成田市から球場へ駆けつけた。母・澄枝さん(50)は息子の晴れ姿に「こんなに早くこんないい日が来るとは思わなかった」と目を潤ませた。唐川に野球を教えた父・義明さん(52)=成田山新勝寺・寺務員=も「持ち味の投球ができていた。息子には試合後、『おめでとう』と伝えました。おいしい焼酎が飲めます」と大喜びだった。

★裏話

 小学3年生で野球を始めた唐川。父・義明さん(52)によると、最初はサッカーがやりたかったのだという。中学時代は、先生の目を盗んで、授業中にサッカーの漫画を読んでいたことも。プロ入り後も、同級生で集まると、公園でサッカーをやって遊ぶこともあり、足さばきは「うまいですよ」と中学時代の友人。サッカー選手でも大成していた?

■唐川 侑己(からかわ・ゆうき)

 1989(平成元)年7月5日、千葉県生まれ、18歳。千葉・成田高では1年夏からベンチ入りし、甲子園に春2度出場。08年高校生ドラフト1巡目でロッテ入団。今季成績は2試合に登板、2勝0敗、防御率0.56(3日現在)。1メートル80、76キロ。右投げ右打ち。独身。年俸1000万円。背番号19。

■データBOX

 ロッテの高卒新人・唐川が初完投で前回(4月26日)の初登板勝利に次いで2勝目。
 〔1〕ドラフト制後(66年以降)の高卒新人のデビュー2戦2勝は、78年阪急・三浦広之(4戦4勝)、87年中日・近藤真一(3戦3勝)、97年日本ハム・矢野諭(2戦2勝)、05年日本ハム・ダルビッシュ有(同)に次いで5人目。
 〔2〕完投勝利は昨年、楽天・田中将大と日本ハム・吉川光夫が記録しているが、デビュー2戦目以内は88年10月2日に大洋・野村弘がデビュー戦で完封して以来20年ぶり。無四球完投も、このときの野村以来。
 〔3〕2ケタ奪三振は昨年の楽天・田中に次いで11人目(別表)。デビュー2戦目以内では87年8月9日、デビュー戦ノーヒットノーランの中日・近藤真一(対巨人、13奪三振)以来21年ぶり。なお2ケタ奪三振で無四球完投勝利を記録したのは唐川が初めて。

★西岡、3安打2得点で唐川をアシスト

 西岡が3安打2得点、本塁打が出ればサイクル安打の活躍で唐川の完投勝利をアシストした。一回に先頭打者で三塁前へのバント安打を決め、大量得点を呼び込んだ切り込み隊長は「連敗が続いていたからどうやってチームに勢いをつけるか考えていた」と顔をほころばせた。