2008年04月07日 更新

原巨人救った19歳、坂本「打っちゃった」満塁プロ1号

ついに出た。しかも、勝利を決定付けるグランドスラムだ。坂本が五回、プロ初本塁打となる満塁弾を放ち笑顔で生還した(撮影・浅野直哉)

ついに出た。しかも、勝利を決定付けるグランドスラムだ。坂本が五回、プロ初本塁打となる満塁弾を放ち笑顔で生還した(撮影・浅野直哉)

 (セ・リーグ、巨人9−1阪神、3回戦、阪神2勝1敗、6日、東京ドーム)プロ2年目の巨人・坂本勇人内野手(19)が6日、阪神3回戦(東京ドーム)の五回にプロ初本塁打となる満塁本塁打を放った。初本塁打が満塁弾は、巨人では1983年の駒田徳広氏(45)以来、25年ぶり7人目の快挙。若手の一打でチームは9−1と快勝。期待の新星の活躍で出遅れた巨人が波に乗る。

 連敗阻止弾なんて、小さいことはいわない。未来へ架ける希望のアーチが、左翼席を埋めた虎党を目がけて伸びる。

 くるな!

 届け!!

 坂本のプロ1号メモリアルはド派手なグランドスラム。昨年7月15日の広島戦以来となる本拠地デーゲームに集まった4万4132観衆の度肝を抜いた。

 「最高です。チャンスで回ってきたので思い切って振った。打った瞬間は覚えていない。打っちゃったって感じ。みんな喜んでくれるのでホームランはうれしいです」

 五回無死満塁。19歳の若武者は、代わったばかりの阿部の真ん中低め139キロ直球を思い切り振り抜いた。初アーチに顔をくしゃくしゃにしてホームインすると、原監督から背中に祝福のパンチが飛んできた。

 プロ初本塁打がグランドスラム。巨人では坂本が生まれていない1983年の駒田以来、7人目の偉業だ。阪神戦3連敗を阻止する貴重な一発にもなった。

 強力打線の沈黙でここまで1勝7敗。開幕9試合目にして、早くもベンチの脇にはもり塩が登場した。今ひとつ調子に乗れず「自分も責任を感じていた」という坂本は、その塩を試合前にペロッとひとなめ。御利益? は初アーチとなった。

 そんな19歳の信条は『フルスイング』だ。2006年夏、青森山田との青森県大会決勝、4−5の九回二死二塁、一打逆転の場面で打席に坂本。金沢監督は右打ちを指示し、最後の打者となった。「フルスイングさせなかったことを後悔している」と同監督。プロ行きを決めた教え子に「全力でスイングしてくれ」との言葉を託した。恩師のためにチケットを取ったこの試合、坂本はフルスイングで最高の恩返しをした。

 「若い連中に刺激されてベテラン、中堅も調子が上がってきている。つなげていってほしい」と原監督。鳴りをひそめていた打線も15安打で9点を挙げ、復調の気配をみせる。

 「若いやつが元気出して、キビキビやるのがチームにとっていい」と坂本が笑った。年俸850万円のニューフェースの一発が、残る7人の野手の年俸総額が20億円を超える強力打線を突き上げる。ここから巨人が走り出す。

(星直樹)

★参りました

◆坂本に満塁本塁打を浴びた阪神・阿部

「一番やったらいけないことをやってしまった。試合を決定づけてしまった」

★その時…TVの前で父万歳

 兵庫・尼崎市内の自宅でテレビ観戦していた坂本の父・喜代三さん(50)=会社員=は満塁本塁打の瞬間、両手を挙げて大喜び。「まさかホームランを打つとは思わなかった」と驚きを隠せなかった。

 また、2試合連続のマルチ(複数)安打について「少し慣れてきたのでしょう。打てなくても原監督が辛抱して使ってくれたからです」と指揮官への感謝の言葉も口にした。

★坂本トーク

 −−初本塁打が満塁弾

 「最高です。チャンスで回ってきたので思い切って振った」

 −−感触は

 「打った瞬間は覚えていない。弾道が低かったので…。打っちゃったという感じ。みんな喜んでくれるのでホームランはうれしい」

 −−これまで打線がつながらなかった

 「試合に出ている以上、自分も責任を感じていた。その中で、いい形で打てた」

 −−開幕直後は調子も上がらなかった

 「(気持ちを)切り替えてやってこられたので、1試合1試合大事に楽しくできた」

 −−開幕9試合で疲れは

 「疲れは大丈夫です、若いので。若いやつが元気出して、キビキビやるのがチームにとっていいと思う」


■データボックス

 巨人・坂本が五回、阪神・阿部からプロ1号の満塁本塁打。プロ初本塁打が満塁弾だったのは、06年6月14日のロッテ・青野毅(対横浜)以来2年ぶり。巨人では83年4月10日の駒田徳広(対大洋)以来25年ぶりで、球団史上7人目(別表)となった。


■坂本勇人(さかもと・はやと)という男

 ★生まれ…1988(昭和63)年12月14日、兵庫県伊丹市生まれ、19歳
 ★サイズ…1メートル83、78キロ。右投げ右打ち
 ★球歴 青森・光星学院高から2007年高校生ドラフト1巡目で巨人入団
 ★マー君とバッテリー…小学校時代に所属した昆陽里(こやのさと)タイガースでは田中将大(現楽天)とチームメート。当時は坂本がエース、田中が捕手
 ★開幕スタメン…「8番・二塁」で開幕戦に出場。巨人では94年の松井秀喜(現ヤンキース)以来となる10代先発出場の快挙だったが3打数無安打

★ホームランボール返して…坂本クンからのお願いです

 初本塁打の記念球は坂本の手元に戻ってこなかった。球団職員が左翼席を探したものの、キャッチしたファン(虎党?)が持ち帰ったもよう。坂本は「記念なので欲しいです」と返球をお願い。球団広報も「ボールを持ち帰った方からの連絡を待っています」と呼びかけた。