2008年04月01日 更新

巨人・クルーン、祖母の葬儀出席希望し帰国願うもプレー優先を決意

祖母の死去に一度は“帰国願い”を出したクルーン。悲しみをこらえ中日、阪神戦で移籍初セーブを目指す

祖母の死去に一度は“帰国願い”を出したクルーン。悲しみをこらえ中日、阪神戦で移籍初セーブを目指す

 巨人に新加入のマーク・クルーン投手(34)=前横浜=が3月31日、祖母のヒルダ・バヌーチさんが28日(日本時間29日)に米国内で死去(享年90)したと公式ホームページで発表した。葬儀出席を希望し、一時は球団に帰国を申し出たが、開幕3連敗中のチームを最優先。4月1日からの中日、阪神6連戦で祖母にささげるセーブをマークすることを誓った。

 悲しみに暮れたクルーンが、苦しい胸の内を自身のホームページで発表した。

 「昨日(30日)は僕にとって人生の中で最大の試練を迎えた日だった。祖母は僕にとってすべてであり、世の中のどのようなものよりも失いたくない1つだった」

 悲報は30日に米アリゾナ州に住む母から知らされた。祖母には特に愛情が深く、ヒルダさんの作った目玉焼きや自家製フライドポテトは忘れられない味だという。家族への思いは人一倍強いクルーン。昨年4月には夫人のトリシアさんの出産のために帰国したほどだ。

 「葬儀には帰国して、さようならを言おうと思っている」。ホームページでは葬儀に出席するための帰国も示唆したが、この日に行われた球団との話し合いで、プレーを最優先することを決意。4月1日からの中日3連戦と4日からの阪神戦(いずれも東京ドーム)出場のために、近日中の帰国はしない方向で話が進められている。

 チームは開幕から昨年の最下位ヤクルトに3連敗。豊田−クルーンとつなぐ08年版「勝利の方程式」には、一度も持ち込めていない。球団は苦しい台所事情、ライバルとの対戦を考慮し、残留を要請したもようだ。

 昨年は横浜で31セーブを挙げ、上原に代わる新守護神として期待されている。ただ、悲しみの深いクルーンがマウンド上で平常心を保てるかどうかは未知数。緊迫した場面では精神状態が投球に影響することも考えられる。中継ぎ崩壊の中、守護神にスキが出れば、それこそチームにとっては一大事となる。

 「2008シーズン、亡き祖母のために全力を尽くそうと思う」

 悲しみを乗り越えたクルーン。巨人での活躍を、天国の祖母にささげるつもりだ。

★「どうしようもないね。ハッハッハー」渡辺球団会長

 巨人の渡辺恒雄球団会長(81)はこの夜、港区のホテルで開幕3連敗を喫したチームについて「どうしようもないね。ハッハッハー」と苦笑いを浮かべた。1日からは本拠地で最大のライバル中日との3連戦。車に乗り込む際には「あすからは、真剣に試合をするだろう」と語気を強めた。

■クルーンHP全文

 昨日は僕にとって人生の中で最大の試練を迎えた日だった。午前4時半にアリゾナにいる母から電話があった。祖母が亡くなったという悪い知らせだったよ。彼女の名前はヒルダ・バヌーチ、1917年4月25日生まれの90歳。ここ最近は体調を崩していたんだ。僕の35年の人生の中で彼女という存在があったのは幸運だったと思う。2人目の母親だった。彼女とはたくさんの素晴らしい時間を過ごした。祖母は僕にとって全てであり、世の中のどのようなものよりも失いたくないものの1つだった。人生についての多くを教わった。辛いときは近くにいてくれた。人を決して裏切らない人だった。小さかった僕が学校から帰ると祖母は毎日世話をしてくれた。僕の大好物、目玉焼きと自家製フライドポテトを作ってくれた。彼女には僕の母である1人の娘と1人の息子がいる。葬儀には帰国して、さよならを言おうと思っている。今までの人生で味わった最大の苦しみかもしれない。僕にとって特別の存在であり、苦楽を共にしてきた仲だった。彼女ほど強い人間を僕は今まで見たことがない。2008シーズン、亡き祖母のために全力を尽くそうと思う。会えなくなるのは寂しいし、これからも愛し続けるだろう。彼女のことを想わない日はないだろう。そして母に伝えたい。「どうか気を強く持って。最高の母だったよ」と。そして家族のみんなに。「愛している。みんなで祖母のことを胸に刻もう」。ファンのみんな、いつも応援ありがとう。(クルーン公式ホームページより抜粋、原文のまま)

■マーク・クルーン(Marc Kroon)

 1973年4月2日、米ニューヨーク州生まれ、34歳。シャドー・マウンテン高から91年ドラフト2巡目でメッツ入団。パドレス、レッズ、ロッキーズを経て05年横浜入団。プロ野球最速の161キロを3度記録。今季から巨人。通算成績は145試合に登板、8勝8敗84S、防御率2.82。1メートル88、86キロ。右投げ右打ち。既婚。年俸3億5000万円。背番号42。