広沢、シリーズ史上最年長アーチ

広沢 (日本シリーズ、ダイエー6−2阪神、第7戦、ダイエー4勝3敗、27日、福岡ドーム)最後のひと振りまでアーティストの美学を貫いた。5点差の九回二死。代打の広沢が和田のスライダーを腰の回転で振り抜いた。緩い弧を描いた打球が黄色いメガホンが揺れる左翼席へ一直線。スタンドで跳ねた瞬間、新記録が生まれた。41歳6カ月。シリーズ史上最年長アーチだ。

 「この悔しさはチームにとって絶対にマイナスにはならない。桧山とか金本とかがバリバリのうちに、常勝チームになるよ」。過去の記録は平成4年にヤクルト・杉浦が放った40歳4カ月。それを1年2カ月も更新するレコード弾で猛虎の意地を見せた。

 第1戦で5番に起用されたがシリーズでは絶不調。7打数無安打で第4戦からベンチを外れた。最後のチャンスで意地の一撃。通算306本塁打を残した平成のスラッガーが、頂上決戦のフィナーレで輝いた。

 「個人的なことはあとで。今後の決断? してます。後日ですね」。悔いはない。試合後は今季限りでの現役引退を示唆。1人だけロッカーへ戻るのをためらった。

 19年間生きてきたプロ球界とのお別れ。帽子を取り、三塁側のファンに何度も手を振った。後輩たちよ、あとは頼んだ…。タテジマの“寅さん”は、記憶と歴史に名を残してユニホームを脱ぐ。

(周伝進之亮)

写真:シリーズ最年長アーチをかけた阪神・広沢は、現役生活にピリオドを打つ=撮影・加藤孝規

データBOX
 <1>阪神・広沢が九回、代打本塁打を放った。41歳6カ月のシリーズ本塁打は、ヤクルト・杉浦享の40歳4カ月(平成4年第1戦)を更新する最年長記録。なお、広沢の一発はシリーズ通算600号の区切りアーチで、阪神のシリーズ代打本塁打は球団史上初。

 <2>今シリーズは阪神・井川、ダイエー・斉藤と、両チームとも20勝投手を擁していたが、ともにシリーズ白星は挙げられなかった。これは昭和45年の巨人(渡辺)−ロッテ(成田、木樽)以来で33年ぶり2度目。なお、他に20勝投手でシリーズ白星を挙げられなかったのは、昭和36年の南海・杉浦、46年の阪急・山田、50年の広島・外木場、平成2年の巨人・斎藤雅がいる。

阪神・広沢克実の年度別成績
年度 所 属 試合 打数 安打 打率
昭60 ヤクルト 110 336 84 18 52 .250
 61 116 379 96 16 45 .253
 62 130 461 131 19 60 .284
 63 130 496 143 30 80 .288
平元 130 470 127 17 59 .270
 2 130 496 157 25 72 .317
 3 132 492 137 27 99 .278
 4 131 503 139 25 85 .276
 5 132 524 151 25 94 .288
 6 130 501 136 26 73 .271
 7 巨 人 131 446 107 20 72 .240
 8 38 91 18 13 .198
 9 126 428 120 22 67 .280
 10 73 163 49 25 .301
 11 16 14 .143
 12 阪 神 48 115 25 16 .217
 13 95 268 76 12 46 .284
 14 58 66 19 11 .288
 15 37 62 19 15 .306
通算19年 1893 6311 1736 306 985 .275
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