1996年から星野番を務めたサンケイスポーツ運動部長・稲見誠が振り返る「仙さん逝く ありがとう闘将」の第2回は星野仙一氏が持つ言葉の力-。
「僕がFAを取って星野さんが監督じゃなかったら、タイガースに来ていないと思う」。訃報が明らかになった6日、阪神・金本監督は恩師との関係を振り返った。広島の不動の4番、近鉄・中村紀、ヤクルト・ペタジーニのトリプル補強を目指した2002年オフ。闘将は激動の日々を送った。
ある時、星野氏とファミリーレストランで食事をする機会があった。「ここからは新聞記者の立場を忘れろよ」。厳命に思わずうなずいた。携帯電話を取り出して、かけた相手が金本。「久しぶりやな。元気か」。店内は満員。それでなくても注目を浴びているのに堂々と交渉を始めた。「阪神に来ることになってるんや。運命や。いいから条件を言えよ。インセンティブはどうするんだ」。その前の日も電話をかけていた。そんな状況で「久しぶり」や「元気か」を口にする。ホシノ流の凄味を感じた。