2017.11.10 12:00

【ダッグアウトの裏側】記録に残りにくいアストロズ・スプリンガーの5発MVP…WSのアーチ量産にげんなり

【ダッグアウトの裏側】

記録に残りにくいアストロズ・スプリンガーの5発MVP…WSのアーチ量産にげんなり

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ダッグアウトの裏側
WS第7戦の二回、ドジャース・ダルビッシュ(手前)はスプリンガー(右奥)に痛い2ランを浴びた(AP)

WS第7戦の二回、ドジャース・ダルビッシュ(手前)はスプリンガー(右奥)に痛い2ランを浴びた(AP)【拡大】

 米大リーグで「ミスター・オクトーバー」といえば、元ヤンキースのレジー・ジャクソン氏(71)。1977年ワールドシリーズ(WS)では、3勝2敗で迎えた第6戦で3打席連続アーチを放つなど、計5本塁打でMVPに輝いた。

 筆者が取材したレジェンドの中でも、特にジャクソン氏は自分の記録に強い誇りを持っている。WSの3連発は快く振り返ってくれたが、通算本塁打数で歴代10傑から陥落した際は不機嫌(563本で現在14位)。「今とは質が違う」のひと言だけで、横を向かれた。

 そんな思い出が蘇ったのは、アストロズがドジャースを4勝3敗で下した今年のWSで本塁打が量産されたからだ。ア軍のジョージ・スプリンガー外野手(28)は第4戦から4試合連発。ジャクソン氏、2009年フィリーズのチェース・アットリー内野手(38)=現ドジャース=のWS記録に並ぶ5本塁打で、MVPを受賞した。

 スプリンガーのMVPに異論はないが、これだけWSで飛び交うと本塁打の価値やインパクトが薄れてしまう。ジャクソン氏の77年は6戦で両軍合わせて17本、アットリーを擁するフィリーズがヤンキースに敗れた09年も6戦で17本。7戦で25本(6戦までに24本)も出た中でのスプリンガーは、同じ5発でも記憶に残りにくい。

 今季の大リーグは30球団合計で6105本塁打。ステロイドなどの薬物使用が横行した従来の記録、2000年の5693本を大幅に更新した。シーズン中の傾向が、WSでも続いた格好だ。

 滑りやすいボールの使用疑惑などが報じられる一方、米メディアのコラムにアーチ合戦を歓迎するこんな表現もあった。

 「Who doesn’t love home runs?」(本塁打が好きじゃない人なんている?)

 本塁打の魅力は否定しないが、WSで量産されると興奮どころか、げんなりしてしまう。ジャクソン氏も、きっと苦々しい顔で見ていたに違いない。

田代学(たしろ・まなぶ)

サンケイスポーツ編集局次長。1991年入社。プロ野球や五輪担当などを経て、2001年から13年11月まで米国駐在の大リーグ担当キャップ。全米野球記者協会の理事や、13年ワールドシリーズの公式記録員を日本人記者で初めて務めた。米国での愛称は「ガク」。

  • 元ヤンキースのレジー・ジャクソン氏
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