2017.10.23 13:00

【球界ここだけの話(1067)】阪神園芸、抜群の水はけを実現 金沢部長「半世紀以上前の土も絶対に残っている」

【球界ここだけの話(1067)】

阪神園芸、抜群の水はけを実現 金沢部長「半世紀以上前の土も絶対に残っている」

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サンスポ記者の球界ここだけの話
整備されたグラウンドを背にする阪神園芸・金沢健児甲子園施設部長

整備されたグラウンドを背にする阪神園芸・金沢健児甲子園施設部長【拡大】

 14-17日のセ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ、阪神-DeNA(甲子園)での見事なグラウンド整備で一躍脚光を浴びた阪神園芸。その10人の精鋭を率いた金沢健児甲子園施設部長(50)に後日、取材するお時間を頂いた。歴史と伝統が詰まった甲子園の土について、紙面ではお届けし切れなかった話をお届けしたい。

 雨中の第2戦(15日)も、そこから短時間でグラウンドを復活させた第3戦(17日)も、黒土の下に秘めた「準備」がなければ開催は不可能だった。阪神園芸は毎年1月に30センチほど甲子園の内野部分を掘り返し、耕すような作業を行う。ここで水の「含みしろ」を作ることで抜群の水はけを実現させている。金沢氏は「それがなかったら、あれどころじゃ済まない。特に17日の試合ができたのは、その効果が大きいと思う」と振り返る。

 現在、倉庫にあり補充用に使用されるのは鹿児島・志布志市、肝属(きもつき)の土だ。「甲子園の土はコレ」と言い切れないのは、これまでの土が多く混ざっているから。古くは神戸の熊内(くもち)、淡路島、さらに別の地のものだった時期もあった。水はけを生むための1月の作業が、これらすべてをかき混ぜる。金沢氏は「半世紀以上前の土も絶対に残っている」と話す。

 球児たちが涙ながら持ち帰る黒土は、ひと夏で「2トンダンプに1杯」ほどにもなるという。歴史が詰まった土を、のちの名選手も、みんなが持ち帰った。金沢氏には忘れられない記憶がある。

 「僕が若いときは、土を持って帰ろうとする選手は怒られたの。『早よ出ろ!』ってね。だけど谷繁選手(前中日監督)が江の川高校で甲子園へ来たとき、わざわざキャッチャーのところまで来て取っていてね。僕も『ジャマやな~』と思ったけど、彼が二コーッて笑いながら取っていたから許してしまった(笑)。プロでまた来るだろうになあって思ったよ」

 あれほどの選手にも、特別な地だ。だれも裏切らない、裏切れない。この仕事のやりがいも、やはり選手の思いに応えることだという。

 「やっぱり今は人工芝の球場が主流で、イレギュラーしない球場が増えている中で、こうして土のグラウンドでね。すごく条件は悪いですけど、でもそこで『甲子園はすごくプレーしやすい』と言ってもらえるのがね、すごくね…。高校生のときみんなここを目指してプレーしていた選手が、『やっぱり甲子園はよかった』と言ってくれるのが、やりがいですね」

 白球を握った全員があこがれる聖なる地を、黙々と守る。ここに満ちるのはやはり、大雨より、汗と涙がいい。(長友孝輔)

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