金本阪神が今オフ、FA補強による中田翔内野手(28)=日本ハム=獲得を見送りました。長期ロード中、東京都内で行われた球団幹部と金本知憲監督(49)による編成会議で、中田獲得については疑問の声が大勢を占めたのです。夏の甲子園大会前、球団幹部が電鉄本社に提出した20億円超のFA資金は大物外国人選手の補強に回す方向です。新たなターゲットには中日・ゲレーロ内野手(30)の名前が急浮上ですね。
中田翔最高のストーリーに「壁」
ペナントレースが大詰めを迎える中、阪神の今オフの補強について大きな動きがありました。夏の長期ロード中の東京遠征で球団幹部と金本監督が来季の戦力編成について話し合いました。その中でトップの補強事項としてFAによる中田翔獲りに関する意見が交わされたのですが、なんと出された結論は「獲得GOサイン」ではなく、真逆の「見送り」という答えだったのです。
「中田翔は見送りだ。そもそも金本監督が乗り気ではなかったし、球団の内部でも積極的に推す声もなかった。ある一部だけが『中田翔を獲るべきだ』と言っていたようだけど、改めて球団と現場が一堂に会して話し合った結果、獲らない方向で一致したんだ。今後、日本ハムが金銭トレードや交換トレードで中田の話を持ってくるのなら話には応じるかもしれないけど、現実的にFA権の保有者をトレードに出すというのは難しいだろうからね。まあ中田とウチは縁がなかったということだろう」
あるチーム関係者の話ですが、FA補強の目玉と思われていた中田翔の獲得見送りは阪神の来季構想を大きく転換させるものですね。
そもそも中田翔のFA補強がテーブルの上に乗ったのはまだ高校野球の甲子園大会が開催される前でした。球団幹部は電鉄本社に来季の戦力編成計画を提出。そこには補強予算の大枠が示されていて、トップ項目としてFA補強による「中田翔獲得」の見積もりが書かれていたのです。これは8月20日アップのコラムに書きましたね。
ある球団関係者はこう話していました。
「獲るか、獲らないか…は未定だけど、一応は獲る方向で見積もりは出しておく。そうでないといざ、獲得に向かうときに条件面を示せない。阪神電鉄本社の役員の方々に前もって、中田翔獲りならいくらかかる…というのは示しておかないといけない」
中田翔の今季年俸は2億8000万円。他球団が獲得するためには人的補償が伴うAランクの選手です。もし獲得に乗り出すなら長期契約の提示で総額20億円超になるはずでした。巨額獲得資金を9月や10月に本社役員に示していては、その決裁を含めて、阪神球団としての「条件確定」に長い時間を要することになります。そうなればFA交渉の際、他球団に大きく出遅れる危険性が出てくるわけです。だからこそ、夏の高校野球の前に見積もりの金額を示していたわけですね。
そして、中田翔は8月17日、入団10年目で出場選手登録が8年に達し、国内FA権の資格取得条件を満たしました。
「(権利行使については)それはまだ全く何も考えていないので、分からないです。まだまだどうなるかは分からないですけど。そういう時期が来たら、自分の人生なんで真剣に考えたいな、と思います」
中田翔は慎重な姿勢で答えましたが、球界内の情報を集約すれば、本人の本音はFAの権利行使で金本阪神に移籍…というのが最高のストーリーだったとも噂されています。
しかし、阪神の球団と現場が話し合った結論は「見送り」。その理由は中田翔の打撃不振にあります。今季は103試合出場時点(8月31日現在)で打率・208、本塁打16、打点61です。2014年から昨季までの3シーズンは本塁打27本、30本、25本。打点も100、102、110とマークしてきたのですが、今季は開幕から調子が上がっていません。打点王2度、ベストナイン4度、今春のWBCでは侍ジャパンのクリーンアップを筒香と担った強打者ですが、今季の打撃内容は首をかしげるものだったのです。
中田翔獲り20億円超、どうする?
こうした状況下で金本監督と球団幹部は巨額資金の必要な中田翔獲りについて費用対効果の面で疑問を感じたようです。
「誰も積極的に獲ろうという意見を出した人がいなかった」と球団関係者は話しています。
では、中田翔獲りで予算化した20億円超はどうするか? もちろん金庫の中にしまったまま…というわけではありませんね。あるチーム関係者はこう切り出しました。
「打線の補強が必要なことは誰が見ても明らかだろう。やはり大物の新外国人選手に視線が行くだろう。新たに米国メジャーから探すか、国内を見るか。一部の意見だけど中日のゲレーロの名前が出ている。かなり年俸が高いだろうけどね…」
中日のゲレーロは米大リーグのドジャースとの契約を継続したまま、今季は中日でプレーしました。一説によると中日はドジャースの年俸総額の一部である1億5000万円を支払っている状況で、ドジャースは7億円以上も払っている…といわれています。つまり総額8億円以上。今季で中日&ドジャースとの契約が切れる方向で、オフには国内外の複数球団で争奪戦が起きるとみられています。阪神は巨額資金が必要でも、費用対効果が認められるならGOサインの可能性があるのです。
たとえゲレーロを断念しても米メジャーの大物外国人選手に触手を伸ばす可能性もありますね。いずれにしても宙に浮いた中田翔獲得資金の20億円超は大型補強に費やされるはずです。
話の展開がシーズンを飛び越えて、オフの補強の話になってしまいましたね。ペナントレースは大詰めを迎えて、阪神は逆転優勝に望みのある位置にいます。日曜日の中日戦を終えると、いよいよ残りは22試合。相手はヤクルトと中日が各2試合で後は広島、巨人とDeNAです。まさに直接対決で上位の最終順位が決まるのです。目が離せません。逆転Vがあるのなら、それは2005年以来です。キーパーソンはもちろん藤浪晋太郎だと思っています。死力を尽くして、逆転優勝を飾ってほしいものですね。
=続く(毎週日曜に掲載)