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【二十歳のころ 杉下茂(4)】「神様」の土台になった戦争と猛練習

【二十歳のころ 杉下茂(4)】

「神様」の土台になった戦争と猛練習

特集:
二十歳のころ
杉下茂氏

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 明大では、よく野球をやれたものだ。入学は1946年。敗戦の翌年で、とにかく食糧難だった。体が出来上がる年頃なのに、日に日にやせていくのだからね。トンカツが食べられた中国・上海近くの捕虜収容所が、まるで“天国”のように思えたよ。

 合宿所の朝食は主に雑炊。といっても、重湯に毛が生えた程度だ。箸なんか使うまでもない。茶碗(ちゃわん)を両手ではさんで持ち上げて、一口すすって下ろすと、「ごちそうさま」だった。昼はフライパンでメリケン粉(小麦粉のこと)を焼いたもの。今でいうなら、クレープの皮を想像してもらえばいい。もちろん甘くはない。塩味だ。

 夜はすいとん。塩をふった汁の中に、メリケン粉をこねて小指の半分くらいの大きさにちぎったものが、4つ入っているだけだった。肉はおろか、野菜すらない。今も8月15日に戦時中の味を思い出そうと、すいとんを食べる催しがあるようだが、当時のものとは全く違うよ。リーグ戦の開幕前夜だけは、何かのカツが出た。薄くて、箸でつまんで電灯にかざすと、明かりが透けていたな。

 1軍はまだましで、2軍は朝昼晩と、茶碗の六、七分目くらいまで盛られたグリーンピースだけだった。

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