4回、2点本塁打を放った阪神・岡崎=甲子園球場(撮影・松永渉平) サクを越えた瞬間、その白球の重みは変わる。選手の一生の記憶に残るボールを、もし手にしたら-。その方はどうか、快く手元に届けてやってほしい。6月3日の日本ハム戦(甲子園)で、阪神・岡崎太一捕手(33)がプロ13年目にして初めて放った本塁打のボールが返ってきた。
夜空に弧を描いた打球は、左翼ポール付近に着弾。1-2の四回に試合をひっくり返す、値千金の逆転2ランになった。打った本人も「ちょっと…ワケわからなかったんで」と振り返ったほどのビックリ弾で、無表情でベースを一周。ベンチでも表情を崩さなかったが、舞台裏ではすぐさま男たちが動き出していた。記念球の回収に向かったのだ。
本拠地球場ということもあって、いつになく迅速に事が進んだ。「プロ初アーチだ!」と、球場職員ももちろん把握していたため、すぐさま現場の警備スタッフへ無線連絡。ボールを手にしたファンの元へ走らせ、その場で「お願い」をして、ボールを岡崎の手元へ戻すことに承諾してもらった。
これがもし、打球がバックスクリーンに入ったり、どの観客が手にしたかが分からないケースだと、事態はややこしくなる。警備スタッフは通常時でも、どこに着弾し、周囲の人にけががないか確認するだろうが、ボールの行く末まで見届ける必要はない。だが「依頼」をするとなると当然、ボールを確保した人が誰だったのかが非常に重要になる。ビジターの場合では特に、プロ初アーチということを球団側が球場側に伝えなければ「始動」できないため、対応が遅くなり、回収がかなわない場合も出てくる。