今オフの去就が注目されていたヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手(32)が11月に新たに1年契約を結び、残留することが決まった。
今季は左脇腹痛で開幕こそ出遅れたものの、その後は離脱することなく、132試合に出場して打率・269、31本、96打点をマーク。2013年にプロ野球記録のシーズン60本塁打を放った大砲は主軸として一定の数字を残した。
そんなバレンティンの心の支えになった人物がいた。故郷であるキュラソー島で野球が大好きなジャスティン君(14)だ。
バレンティンや、やはりキュラソー島出身で元楽天のアンドリュー・ジョーンズの大ファンだというジャスティン君。6歳からがんを患い、闘病中の唯一の楽しみが病室での野球観戦だった。
バレンティンは知人を通じてジャスティン君の存在を知り、交流がスタート。自分に何かできることはないかと考え、「いつも応援ありがとう」というメッセージとともに、自身のグッズをプレゼントするなどしてきた。ジャスティン君からはうれしそうにバレンティンの帽子をかぶる写真などが送られてくるようになり、海の向こうからの応援を力に変えてきた。
訃報が届いたのは4月下旬だった。ジャスティン君はわずか14歳で短い生涯を閉じた。「聞いたときはすごく悲しくて涙が止まらなかった。本当に残念だよ」。まだシーズンは始まったばかり。悲しみを胸にしまい、プレーに集中した。バレンティンは遠くを見つめながら語った。
「野球で戦っている僕の姿を見て、ジャスティン君は僕をヒーローだと言ってくれた。でもね、彼だって病気と闘っていたんだよ。そこにどんな違いがある? 同じじゃないか。僕にとっても彼はヒーローだったんだ」
ジャスティン君はバレンティンの心の中で生き続ける。そしてアーチを放つパワーの源になる。(伊藤昇)