最下位からの逆襲を狙うオリックスに遅い球で球界を席巻した、あの伝説のサウスポーが再来するかもしれない-。
ドローンと大きく曲がるスローカーブとフォークを武器にし、130キロに満たない直球は「150キロ以上に見えた」と多くの強打者がうなった。通算176勝を積み上げ、何より卓越した投球術は見る者を魅了した。現1軍投手コーチを務める星野伸之氏(50)。そんな、名投手が「俺に似ている」と指名し、後継者に名乗りを上げようとしている男がいる。
来季プロ3年目のオリックス・山崎福也(さちや)投手(24)だ。2015年ドラフト1位で入団し、1年目から3勝、3勝。さらなる飛躍へ、気合をみなぎらせる。
「来年は1年間先発ローテーションに入って、2桁勝ちたい。星野さんのような投球を目指しています」
明治大時代は最速149キロの直球で打者をねじ伏せ、本格派左腕として名をはせたが、プロでは壁を痛感。とりわけ今オフから、真っすぐにスピードを求めず、得意の100キロ前後のスローカーブを生かした緩急ピッチにシフトチェンジを図っている。
間近で見守る師匠からは「脱力」の大切さを説かれ、「いかに力を抜いて投げられるか。いいバランス、いい形で投げること」を念頭に置く。福良監督も「福也は変化球には自信を持っている。身近にいい手本がいるんだから」と期待を寄せる。実際、秋季キャンプ中の練習試合では1回1/3を無失点に封じ、投じたボールの半数以上がスローカーブだった。
「今年のシーズン中までは、スローカーブは打たれたら、投げられなかった。でも、いまは打たれても投げようと思えるようになっています」
星野投手コーチは現役時代に端正なマスクから「星の王子様」と呼ばれたが、山崎福も負けない。今風の草食系男子のルックスに女性ファンは多い。報道陣の取材対応も親切丁寧な好青年だ。