ソフトバンク戦で、阪神の金本知憲外野手は5番・DHでスタメン出場 =平成22(2010)5月18日、ヤフードーム セ・リーグが将来のDH制導入を水面下で話し合い始めました。推進派は巨人ですが、阪神も興行面のメリットを視野に賛成に回る考えです。DH制度は1975年、人気低迷にあえいでいたパ・リーグが採用。2005年から始まった交流戦ではパ・リーグ開催試合のみ採用(2014年に限りセ・リーグ開催試合で逆転採用)しています。近年の交流戦や日本シリーズでのパ・リーグの圧倒的な優勢を受けて、セ・リーグ理事会などでDH制導入が急浮上しているのです。阪神球団は肯定的ですね。
雑談段階だが「共通認識」、反対は広島だけ?「積極的なのは巨人」
水面下で日本プロ野球界が大きなうねりを起こしつつあります。球界関係者の話を総合すると、セ・リーグでは理事会などで「非公式な話題」としてDH制度の導入が話し合われていて、早ければ3年先の導入を「検討の前の協議、いや雑談している段階」なのだそうです。
阪神のチーム関係者はDH制導入の可能性について「まだ何も決まっていないけど、最も積極的なのは巨人だろう。ウチもどちらかと言えば賛成だ。一番のメリットは興行面。今までは投手が打席に立って、ハイ、三振か送りバント。それではお客さんは面白くない。DH制が導入されればもっと野球がスリリングで攻撃的になる。お客さんも喜ぶし、球場内の販売(ビールなどの飲料)にも好影響が出るだろう。やっぱり野球は打ち合いが一番オモロいやろ」と基本的には賛成の姿勢を明らかにしています。
また、別の関係者はこう付け加えました。
「セ・リーグが決めるのに、パ・リーグの了解はいらない。6球団が導入でまとまれば決まるかもしれない。今の話し合いの様子を見ていると、反対は広島だけじゃないか。この流れは日本球界だけじゃない。MLBもDH制のないナショナル・リーグがアメリカン・リーグに追随してDH制度に舵を切るようだ。日本のプロ野球も両リーグともにDH制でもなんらおかしくない」
最初に断ったように、まだセ・リーグ6球団では正式な議題に上がっているわけでもなく、現時点では「検討前の協議」という表現も、いささか早いかもしれません。しかし、各球団の実務担当者には「DH制導入を検討する」という共通認識は生まれています。だからこそ、私の地獄耳にも入ってきたのですから(笑)…。
では、なぜ今、セ・リーグがDH制の導入を頭に浮かべ始めたのか。それを推察しましょう。
考えられるのはここ数年のセ・パの実力の格差です。2005年から交流戦がスタートして今年で12年目を終えました。交流戦ではパ・リーグ開催試合に限りDH制を採用(2014年だけセ・リーグ開催試合で逆転採用)していますが、セ・リーグは2009年に70勝67敗7分で勝ち越したのが唯一の勝ち越し。後の11シーズンはパ・リーグの圧勝です。
交流戦の優勝チームも2012年、2014年の2季だけ巨人が優勝しましたが、後の10季は全てパ・リーグ。完全に実力のパ、人気? のセになっています。いや、今やフランチャイズ制が確立したパ・リーグは人気面でもセに肉薄していますね。
このパ高セ低の傾向は日本シリーズでもクッキリです。2012年に巨人が4勝2敗で日本ハムを下して以降、楽天、ソフトバンク、ソフトバンク、今年の日本ハムと4年連続でパ・リーグ優勝チームが日本一に輝いているのです。しかも対戦成績も2014年のソフトバンク4勝1敗(阪神戦)、昨年はソフトバンク4勝1敗(ヤクルト戦)で今年も日本ハム4勝2敗(広島戦)と圧倒していますね。
「DH制が導入されているパ・リーグは打線が強力。その打線を封じるために投手力も磨かないといけなくなる。結果としてチームのレベルが上がるんだ。投手が打席に入るセ・リーグは攻撃面で監督の采配の妙は必要になるが、チームとしての総合力は上がらない。セは細かな野球…というけど、今はパの圧倒的なパワーとスピードに太刀打ちできなくなっているんだよ」とは球界関係者の話ですね。
こうしたパとセの実力の格差は交流戦が始まる度に話題になりますね。パ・リーグはセ・リーグに比べ、公式戦での移動距離が長く、セ・リーグは交流戦で移動疲れするから…なんて声も聞かれます。しかし、根本的に戦力差があるからこそ、対戦成績に差が出ると見た方が素直でしょう。
水面下の動きを見る限り、最も推進派は巨人のようです。実力的にいつまでもパ・リーグ優位を続けさせるわけにはいかない、という球界の盟主としてのプライドが背中を押している可能性はありますね。ただ、阪神は戦力的な格差是正を賛成の理由にはしていませんね。確かにそういった要素も否定しませんが、核心は「興行面でのメリット」なのです。DH制を導入することで野球が面白くなる。ファンが喜んで、観客動員数が増えれば球団の収入もアップするのです。
「きっと選手会も賛成だろう。DH制が導入されれば、選手寿命が延びる選手が出てくる。打つだけで飯が食える選手が出てくるからね。投手陣だって不慣れな打席に立たなくていいから、投球に専念できる。打者有利という側面だけではない。投手にとっても歓迎すべき点はある。後は6球団がいずれの段階で合意するかだ。導入を決めても、実際に実施するのは3年先かな。各球団ともにDH要員などの戦力的な編成作業が必要だからね」とは球界関係者の話です。
さあ、話を阪神に戻しましょう。先週末にFA補強を目指す糸井(オリックス)との初交渉を終えました。「好感触」という事前の手応えの通りの交渉でしたね。糸井が獲得できれば右翼を任せます。福留は一塁にコンバートします。来季は福留と原口が一塁で併用されるでしょう。現時点では開幕スタメン捕手の一番手は坂本のようです。 一塁しか守れないゴメスの処遇もおのずと見えてきますね。では、ゴメスをリリースして、次はどんな新外国人選手を獲得するのでしょうか。あくまでも三塁が守れる選手にターゲットを絞ってはいるようですが、現時点では需要と供給は合致していません。それこそ来季からDH制導入なら新外国人選手の獲得リストもグっと広がり、悩みも解消されるのですがね…。
来週は秋季キャンプも終わり、本格的なオフに突入しています。昔なら主力選手の契約更改でさまざまなドラマがあったのですが、今は代理人交渉などで更改の内容も様変わりしています。話題を探すのも大変ですが、なんとか頑張りましょう(笑)。
=続く(毎週日曜に掲載)