MVP、新人王、ベストナイン投票の季節。弱小チームの担当記者は、普段書き慣れない(?)他球団の活躍選手のフルネームを確認しながら記入する。この作業が苦痛で、苦痛で(笑)。
というわけで、ここでは、個人的に選んだ「俺のオリックスMVP」を発表する。やっぱ、安達了一でしょう。潰瘍性大腸炎という難病を抱え、出場は118試合にとどまったが、内野のキーマンとして遊撃での堅守は光った。腹痛と闘い、時にチームと離れて単独で移動することも。
それでも7月には月間MVPにも輝くなど、病に打ち勝った姿は感動的ですらあった。秋季練習ののどかなある日、本人に聞くと…。
「(1月に)入院したときは野球を辞めるのかな、と思ってました」
そんな思いが、シーズン終盤の出場志願に結びつく。順位もほぼ確定し、回復のため休めばいいのに、と思いながら見ていたが、出続けた。
「だって、シーズン途中も何試合か休ませてもらったけれど、見ているのって全然面白くないんですよ」
根っからの野球人は、少々の体の無理など気にしない。試合に出ていることが一番の良薬なのかもしれない。
安達不在のシーズン序盤、中島が遊撃コンバートされるなど、チームの基本形が崩れたことも低迷の要因の一つだった。病を押しての出場で、改めて「安達」の存在感を示した一年だった。
ただ、皮肉にもそんな安達の姿が、オリックスの弱点をクローズアップしたのも事実。「二遊間でしょ」。最近、福良監督がしみじみと漏らす。安達不在で、二遊間のバックアップ選手がペラペラなのが、白日の下となったのだ。
自身の現状を「まもなく病院で再検査して、今後のことを決めますが、秋季キャンプはいかないと思います」と説明する安達。おそらく来季もフル出場は難しい状況だ。
当然、球団も首脳陣も考える。「補強ポイントは遊撃手」と。
「あっ、おなかが痛くなってきた!」
安達はシーズン中から「ドラフト補強が遊撃手かも」という話題になると、自身の病状を冗談っぽく持ち出す。ライバルは獲ってくれるな、というけん制のつもりらしい。
それでも、チーム全体を考えざるを得ないのが指揮官だ。即戦力遊撃手といわれる吉川(中京学院大)、京田(日大)らの名前を盛んに安達の前で出している。
「安達には通告してます。ドラフト当日はテレビの前で正座して見ているように、と」
ドラフト1位が投手なら、安達の病気も早期完治? でも、福良監督予告の名前が出たら…。私が選んだ2016年MVPの敵が、病以外に増えるわけで…。それでも、個人的には安達了一を応援したい。(上田雅昭)