阪神の今季最後のビジターゲームの後に、グラウンド外の懸念が出た。25日の中日戦(ナゴヤD)が終わり、向かった名古屋駅で、阪神・高山俊外野手(23)は、サインを求めて集まるファンでもみくちゃになっていた。「すみません、押さないでください」。球団広報が大声で話す姿を見て、ある光景を思い出した。
2010年。城島健司氏が阪神入団1年目のときだ。米大リーグから日本球界に復帰した強肩強打の捕手は、ファンの注目を集めた。当時も移動の際に人だかりができた。そして、その度に城島氏は大きな声でファンに呼びかけていた。
「危ないから押さないで」「(サインするものは)一人1個だよ」「ちゃんと並んで」などと話しかけた。新幹線の出発時間が迫り「ゴメンね。時間がない」と謝ることもあれば、聞く耳を持たない人を諭し「きょうはもうサインしない」と断ったこともあった。
駅にはファン以外に多くの利用客がいる。周囲に迷惑をかけたり、事故につながったりしないようルールを決め、守らせようとしていた。冷静な大人の対応に、いつも感心させられた。
一般のファンがプロ野球選手と直に触れ合える機会はあまり多くない。接近できるチャンスにサインを求めたくなる思いは理解できる。ただ、周りが見えなくなった状態の人が駅のホームに集まるのは危険だ。サインをする側、求める側、その周囲、誰もが冷静であればいいのだが…。
この日は幸い球団広報が近くにいた。プロ1年生は無事に帰りの新幹線に乗れて、大きな事故もなかったが、今後を思うと不安が残る。何かトラブルが起きて高山がサインを一切しなくなったり、球団関係者が常に厳しくガードしたりといった状況にはなってほしくない。完全に解決することは難しいと思うが、来季、改善されることを願いたい。(高瀬悟嗣)