そのままマスクをかぶり、八回一死の第2打席。須田の初球144キロ直球をつかまえた。中前に運び、大和の一打で決勝のホームを踏んだ。
「昨日、いい投手の前に力負けしていたんで」
プロ2試合目のスタメン出場だった前日4月30日は井納の前に2打数無安打。途中交代となった。この日はタイミングの取り方は同じも「少し速い球がくることをイメージして」と考えた。帝京高から2010年にドラフト6位で入団しながら腰を痛めたことで3桁の背番号を味わった男は強い。金本監督をして「取り組む姿勢がいい。応援したくなる選手。あのひたむきさはね」と言わしめた。
試合後、原口は感じたことをノートにメモするだけではなく、レガーズなど野球道具をピカピカに磨いてからベンチを後にする。鳴尾浜でも通路に落ちているゴミをそっと拾ってポケットに入れてきた。「そんなことくらいしか僕が人に勝てることはないんですよ。繰り返していたら、いいことがありそうな気がするでしょ?」。神様はいる。しかも、劇的勝利への道を用意してくれる。