試合に勝利し、山崎勝(左)とグータッチをかわすオリックス・コーディエ。こんなシーンが今季何度も見たいが… 実は最初から心配していた。オリックスの守護神エリック・コーディエのこと。開幕以来の「コーディエ劇場」は今や、ちょっとしたバファローズ新名物と化している。
西武との開幕戦の九回裏。1点リードでさっそうと登場したものの、一死後、四球、三塁打、サヨナラ打であっという間の逆転サヨナラ負け。
2日後。同じく西武戦で今度は2点リード。ところがいきなりの二塁打に始まり、1点差に迫られてなお二死満塁。最後は辛うじて三振でしのいだが、見ている側は超ヒヤヒヤ。今季初勝利を喜ぶコーチ陣の握手は「全員、汗でベトベトだった」とか。
クローザーがいかに大切かを、改めて教えられる「コーディエ劇場」だが、なぜ、プロフェッショナルの目を持たない私が、最初から心配していたかというと…。
あれはキャンプ中の出来事。マイアミ・マーリンズのサムソン球団社長が複数の球団幹部とともにオリックス宮崎キャンプにやってきた。視察を終えた後、報道陣から質問が飛んだ。コーディエはどんな投手だったのですか? と。前年まで所属していた剛速球投手の評価を教えてもらいたかったのだ。すると…。
「彼は素晴らしい投手だ。大きな戦力になるだろう。オリックスは最高の補強をした」
と満面の笑みのサムソン社長だったが、突如、隣にいたヒル編成本部長に「コール…? コーデッ…?」と尋ね始めた。編成本部長はゆっくり、大きな声で復唱した。
「コーディエ!」
要するに、社長はコーディエの発音を知らなかったのだ。ということでこの剛腕の評価が何となく分かるというもの。そもそも、ホントに大きな戦力ならリリースしないのでは?
怪しいと思い始めたら、すべてが疑いの目になる。他球団007の情報をもとに、クイック投法ができないのでは? 空振りが取れないのでは? というマイナスの原稿ばかり書く日々に。その都度、頼もしすぎるコメントが返ってきた。「走れるものなら走ってみろ」「打てるものなら打ってみろ」-。
そして突入したオープン戦は5試合登板で無失点。被安打ゼロ。許した走者は四球の1人だけ。そうか、やっぱり私の目は節穴だったのか…と反省し始めた矢先に、まさかの援軍が。誰よりもコーディエを不安がる人物がいたのだ。なんと福良監督がその人。
「155キロなのに空振りでなく、打球が前に飛ぶ。もっとピンチでの投球も見たかったのに…」
何となく抑えてしまい、シーズン突入。指揮官の不安的中の開幕直後の惨状だった。
でも、指揮官はさすが百戦錬磨。我慢して使って、3度目登板(3月30日、日本ハム戦)は三者凡退。「これで落ち着くでしょう」とニッコリ。
なるほど、これがプロの目か。でも、私は今もまだ疑っている。(上田雅昭)