電車通勤にこだわりを持つ西武・田辺徳雄監督(撮影・森本幸一) 今季5試合目の東京ドーム開催となった6月29日のソフトバンク戦後も西武・田辺徳雄監督(49)は、満員電車に乗り帰宅した。
試合が終わると、関係者口からJR水道橋駅へ。「鷹の祭典」で配布された黄色ユニホームを着たソフトバンクファンで駅までの道のりはごった返していたが、マスクをしていたこともあり、誰にも気づかれず。ソフトバンクファンも、今試合が終わったばかりの監督が、まさか自分と同じ電車に乗るために駅に向かっているとは、考えもしないから気づかれないのだろう。
バックから切符を取り出し「いまどきSUICAじゃなくて、切符なのは俺ぐらいだろ」と改札を通り人込みの中へ消えていった。
私は5月27、28日の巨人戦の際、田辺監督が東京ドームに電車通勤したことを記事にした。
西武は4月7、8日にも東京ドームで日本ハム戦があり、そのときは女性ファンに気づかれたが、巨人戦となれば、観客数が倍ぐらい違う。当然帰りは満員電車になるのだから、誰でも避けたいはずだ。ところが田辺監督は「当たり前だろ。これが一番近いんだから」と普通に駅へ向かったときは驚いた。
こんな監督はなかなかいない。私は、監督になっても決して偉ぶることなく、着飾らない、庶民派感覚を失わない田辺監督の人柄を知ってもらいたくて記事を書いた。
田辺監督は勉強家であり読書家だ。2軍コーチ時代には早大の通信教育課程を卒業。コーチ時代から飛行機で移動のときは、いつも難しそうな本を読んでいた。
監督業は激務で、自分の時間を作ることが難しいと聞く。「車だと本も読めないだろ。電車ならいろいろ考えることもできるし」と電車の中では立ったまま本を読むなど、自分の時間に充てているという。
田辺監督の試合を振り返るコメントは、12球団の監督でも屈指。今季の秋山の好調の原因がどこにあるのかなども、わかりやすく解説してくれる。
現役時代からおやじのニックネームで地味なタイプに思われがちだが、その一方で意外におちゃめな一面も持ち合わせている。
監督の人柄をしっかり伝えられないのは、担当記者としては怠慢だと思う。これからも田辺監督の記事をたくさん書き、読者の方に伝えていきたい。(塚沢健太郎)