(セ・リーグ、DeNA2-5阪神、16回戦、阪神12勝4敗、17日、横浜)強烈な西日が、まだグラウンドに差し込んでいた。プレーボールから数秒後-。上本が初球を叩いての先頭打者弾。あっという間の先制点を、岩貞にプレゼントした。
「(初球について)いつもいけるようにしているんで…。甘い球が来れば、というか…」
球場裏。帰りのバスへとつづく約60メートルのウイニングロードで、打のヒーローは、いつものように言葉を探った。一回、1球目。DeNA先発・高崎から、標的にしていた「甘い」高めの真っすぐがきた。心は整っていた。逃すはずなどない。
左中間に放り込む自身初の初球アーチ。17試合ぶりの7号で劇場のゴングが鳴った。四回に左前適時打を放つと六回に中前、八回には右前へ運び、約2年ぶりの4安打をマーク。8月に打撃状態が急降下し、一時は1番はく奪の危機に陥っていた男が「いいきっかけになれば」と復調を感じ取った様子だった。
和田監督は「最近はいい試合とあかん試合がはっきりしていたが、レギュラーを獲るためには通る道。体はしんどいだろうが、ここを乗り越えてほしい」と、期待とハッパを同時に送った。