野球1次リーグ(18日、日本1−0カナダ、五ケ松球場)勝利を呼ぶ白球が右翼フェンスを越えた。五回無死。稲葉が右腕・ベッグの高めに甘く入った変化球を一閃。値千金の先制右越えソロは決勝点となり、日本に大きな1勝をもらたした。
「久々に手応えのある打球が打てた。甘い球はあの1球ぐらい。そこで結果が出てよかった。投手が頑張っていたので、なんとかしたいという気持ちがみんなにあった」
重苦しい展開だった。三回まで毎回安打を放つも2併殺打の拙攻。四回は3者凡退に抑えられていたが、36歳の一発が嫌な流れを振り払った。
16日の韓国戦で惜敗。2勝2敗となった直後、主将の宮本が選手ミーティングでハッパをかけた。「これで終わりじゃない。切り替えていこう」。休日となった前日17日には選手全員で五輪選手村を訪れた。「僕はいい気分転換になった。久々にマクドナルドも食べられたしね」と稲葉。リフレッシュしたベテランが力を発揮した。
星野監督を“男”にしたいという思いも強い。代表選出後、星野監督から1通の手紙が届いた。そこには「このメンバーが最強だと思っている。真夏の北京で季節はずれの桜を咲かせよう」という熱い言葉がしたためられていた。稲葉はその手紙を額に入れ、札幌市内の自宅の一室の壁に大事に飾っている。
「ここに来て(チームが)ひとつになれた。(韓国戦で敗れ)追い込まれてから、みんなの目の色が変わった」。14日の台湾戦でも決勝打を放った稲葉。いまや星野ジャパンに欠かせないピースだ。