(セ・リーグ、阪神4x−3中日、10回戦、阪神7勝2敗1分、2日、甲子園)1点を争う総力戦では“助演男優”の存在が勝負の分かれ目になる。同点の八回二死一、三塁だった。関本は中日・立浪のゴロを伸ばしたグラブの網で引っかけた。
「よく(グラブに)入ってくれましたね。いやあ…疲れました」
大きな山だった。マウンドにはジェフ、打席には竜の切り札−。フルカウントからの8球目だ。一、二塁間を襲ったゴロをスライディングしながら捕った。くるり一回転すると大事に送球。勝ち越し点を阻止した。
プロでも難しいバウンドだ。三回には名手の荒木が、同じように左打者(岩田)が引っ張ったゴロをタイムリーエラー。雨でグラウンドがぬかるみ始める中、堅実な好守がここ一番に出た。この時点で勝負の流れは虎へと傾いた。
打でもしぶとさが光った。一回一死。カウント2−2から山本昌の外角シンカーを左手で食らいつくように振り切り、三塁線を破る二塁打。金本の一打で先制ホームを駆け抜けると、二回二死二塁ではフルカウントから直球をはじき返し、中前適時打を放った。
4試合連続安打。六回の左前打で今季5度目の猛打賞を決めると、八回には“お家芸”の犠打も決めた。2番として欠かせない存在。それでも、開幕時にはスタメンにいなかった男だ。毎年のように期待されながら殻を破り切れなかった。長打かアベレージか、試行錯誤を続けた打撃。それでも行き着いた答えは明確だった。
「とにかく強い打球を打ちたい」−。今年はキャンプ、開幕にかけてグリップを目いっぱい長く持ってフルスイングを試みた。2番として試合に出始めてからはグリップを心持ち余し、シャープさを求めた。強いスイングを目指しながら、そこに工夫を加えて関本の“味”が出始めた。
「一回は塁に出ることだけ。二回は後ろにつなぐ気持ちだけです」。関本は謙虚だったが、打って守って十分な立役者だった。(堀 啓介)