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イチロー「もう、やばいッス…」王ジャパンとの別れにホロリ

「やばいッス…」

「やばいッス…」。前日まで炎のように燃えていたイチローの目が潤んでいた。こみあげてくるものを笑顔でおさえこんだ=撮影・原田史郎

サンディエゴ(米カリフォルニア州)21日(日本時間22日)=大沢謙一郎】熱い男の目が潤んだ。WBC初代王者に輝いた日本のチームリーダー、イチロー外野手(32)=マリナーズ=が王貞治監督(65)らと市内のホテルで会見。チームメートとの別れを前に感極まり「もう、やばいッス」と声を詰まらせた。全員と固い握手を交わし、最後に“感謝の見送り”もしたイチローはその後、キャンプ地のアリゾナ入り。22日からメジャーの舞台で雄姿を見せる。

突然、言葉を失った。口を動かそうとしても、次のコメントが出てこない。世界一の感激から一夜明けた会見。イチローの心は、今まで味わったことのないような感情に締めつけられていた。

「野球をやってきて、これだけチームメートと同じ気持ちでひとつの目標に進んだことはない。本当にいい仲間と巡りあえた。………もう、やばいッス。本当にあの…感謝しています」

声をつまらせた。前日までギラギラと光っていた目は、やわらかさと優しさをたたえながら潤んでいた。あと何分かすれば、最高の仲間との別れが待っている。

韓国との3度の戦い、準決勝進出が決まったサンディエゴの奇跡、そして世界一…。夢のような1カ月の記憶をたどっていた。仲間への感謝の言葉を探しているうちに熱いものがこみ上げてくる。涙を抑えるのが精いっぱいだった。

明け方まで美酒に酔ったイチローは、まだ夢の途中にいた。

「(2次リーグの韓国戦で)野球人生最大の屈辱を味わって、最低の酒を飲んだ。でも、最後に最高の酒を飲んだ。こんな経験をさせていただいたことに感謝しています。チームと一緒に成田(空港)までいって、それからアリゾナ(マリナーズキャンプ地)にいこうかなとも考えた」

胸に去来する達成感と虚脱感。複雑な思いが交錯する。横に座った王監督は、かわいい息子を見るような穏やかな視線を投げかけていた。

メジャーリーグのスーパースターをそろえた米国には、誤審がなければ勝てた。アマ最強といわれるキューバも決勝で打ち砕いた。日本にはモンスターがいなくても勝ち抜ける組織力が、プロ野球72年の歴史の中で育っていた。日本野球の底力。いつまでもこのチームで戦っていたい。まさに後ろ髪をひかれる思いだった。

「もし、かなうのであれば…。このチームでメジャーリーグで1シーズンやってみたいぐらい、そんな素晴らしいチームだったと思います」

会見終了後、全選手と固い握手を交わした。サンディエゴ国際空港に向かうバスに乗るナインを最後まで見送った。

うん…。自らの心に“けじめ”をつけるかのようにうなずいたイチロー。世界最強の誇りを胸に刻んで、マ軍のキャンプ地・アリゾナ州にある別荘に戻った。22日に合流。23日から試合に出場する見通しだ。

次の大舞台は4月3日、エンゼルスとの開幕戦。日本のリーダーはメジャーの天才打者に戻る。

■イチロー語録“I LOVE 王JAPAN”

「王監督の偉大さを感じるし、そういう監督のもとで(野球が)できる。恥をかかせるわけにはいかない」(1月12日、日の丸を背負って戦うことについて)

 ★「ボクは絶対に似合うよ。着る人を選ぶだろうからね。王さんが一番似合うと思う」(同19日、発表されたばかりの日本代表のユニホームについて)

 ★「戦った相手が“向こう30年は日本に手が出せないな”という感じで勝ちたいと思う」(2月21日、福岡合宿初日の会見で)

 ★「満足していたら、ボクは野球をやめなければいけない」(3月5日、1次リーグ・韓国戦に2−3で敗れて)

 ★「日本の野球選手があこがれ続けたメジャーリーグの選手とついに戦う日がきて、勝つことができる可能性があるゲームでしたから、ただただ残念です」(現地時間12日、疑惑の判定もあった米国戦の敗戦後)

 ★「ボクの野球人生の中で最も屈辱的な日です」(同15日、2次リーグ・韓国戦に1−2で2度目の敗戦。試合終了直後には“F〇〇K!!”と絶叫)

 ★「ボクらは何かあるんだ、自分たちは何かを持っているんだと感じています」(同16日、米国がメキシコに敗れ、準決勝進出が決まって)

 ★「勝つべきチームが勝つべきだと思っていた。ボクらが(決勝へ)行くのは当然だと思っていました。最高に気持ちいい」(同18日、準決勝で韓国を6−0で破り)

 ★「素晴らしいチームでした。ものすごいプレッシャーもあった。でも野球人生で最高の日です」(同20日、決勝のキューバ戦に10−6で勝利して)