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日本2次リーグ突破ほぼ消えた…イチロー無念「最も屈辱的な日」

日本ベンチ

試合終了の瞬間を見届けると、グラウンドに背を向けたイチロー。ベンチ全体が重苦しい屈辱感で包まれた=撮影・原田史郎

(WBC・2次リーグ1組、日本1−2韓国、15日=日本時間16日、エンゼルスタジアム=湯浅大)準決勝進出を賭けた韓国戦に臨んだ日本は1−2でまさかの黒星。試合終了の瞬間、ベンチで声を荒らげたイチロー外野手(32)=マリナーズ=は「野球人生で最も屈辱的な日」と無念さをあらわにした。1勝2敗となった日本は16日(日本時間17日)の米国−メキシコ戦の結果次第でわずかに可能性を残すものの、4強進出は極めて難しい状況となった。

悔しさを通り越し、天才の感情は抑えようのない怒りに変わっていた。

“F●●K!!”

突然の咆哮−。言葉にならない声をあげた。予期せぬ光景を少し離れたところで目撃した里崎の視線は、まるで怯えたように宙を泳いだままだ。韓国の歓喜を見守ることなく、イチローは真っ先にグラウンドに背を向けて、ベンチ奥に消えた。

勝てば準決勝進出だった。しかも相手は1次リーグで逆転負けを食らった韓国。2次リーグ突破とリベンジ。最高のモチベーションで、勝利への執念を随所でみせた。

一回は先頭打者として中前打。六回の無死一塁ではノーサインで犠打を決めた。得点には結びつかなかったが、守備でも八回一死の金敏宰のフェンス際の飛球に対し、観客席に飛び込まんばかりの勢いで突っ込んだ。

結果はファウル。「捕れる可能性? ありました」。声を荒らげ、フェンスを蹴ろうとしたイチローを待ち受けていたのは地鳴りのような怒声とブーイング。冷静な天才といえど、イラ立ちは募るばかり。結局、金敏宰は四球、直後の連打で決勝点を奪われた。

「ボクの野球人生の中で最も屈辱的な日です」

イチロー

スタンドに飛び込んでファウルを捕りにいったイチローだが、韓国ファンからは大ブーイングを浴びせられた=共同

試合後、こう言葉を絞り出したイチロー。皮肉なことにあまりに偉大すぎる存在感が、逆に韓国に大きな力を与えていた。

大会前の2月21日、記者会見でアジア各国と戦う1次リーグの意気込みを「戦った相手が『向こう30年は日本に手を出せない』という感じで勝ちたいと思う」との言葉で語った。「それくらいの勢いで勝ちたい」というのが真意だったが、韓国メディアがこれに過敏に反応。「韓国には向こう30年は手出しされたくない」というニュアンスで誤って報じられてしまった。結果的に選手、そして韓国国民までもが“打倒ニッポン、打倒・イチロー”で一致団結する異常事態となった。

球場の大半を埋めた4万人近い韓国大応援団はイチローが打席に向かうたびに酷いブーイングと罵声(ばせい)を浴びせた。『イチローは30年かもしれないが、韓国は1週間だけ強さを見せつける』と皮肉めいたボードを掲げる者もいた。天才は過酷な環境で戦いを強いられた。

「日本はいいチームになったと思う。試合を重ねるごとにそうなった。韓国にあって日本にないもの? なんでしょうね。それがあるとは思えない」

00年シドニー五輪以来の同一大会での対韓国連敗。結果は素直に受け止めるが、実力では決して負けていない。イチローの表情は敗れてなお、そう言いたげだ。

2次リーグ突破の可能性はわずかに残る。他力とはいえ準決勝進出した場合の相手は韓国。16日に準決勝会場のサンディエゴ入りする日本代表。リベンジの舞台があることを祈りつつ、イチローは静かに運命の瞬間を待つ。

イチロー語録に見る’06WBC日本代表

★「王監督の偉大さを感じるし、そういう監督のもとでできる。恥をかかせるわけにはいかない」(1月12日、“世界の王”のもとで日の丸を背負って戦うことについて)

★「ボクは絶対に似合うよ。着る人を選ぶだろうからね。王さんが一番似合うと思う」(同19日、発表されたばかりの日本代表のユニホームについて)

★「戦った相手が『向こう30年は日本に手が出せない』という感じで勝ちたいと思う」(2月21日、福岡合宿初日に強気なメッセージ)

★「全部ヒットを狙っていました。第3、4打席は打ち損ねたボクの完全なミス。シーズンと同じように悔しい」(同24日、12球団選抜戦に7−0で快勝したが、第3、4打席で内野ゴロに倒れたことについて)

★「満足していたら、ボクは野球をやめなければいけないと思います」(3月5日、1次リーグ韓国戦に2−3で敗れて)

★「きょうは日本の野球選手があこがれ続けたメジャーリーグの選手とついに戦う日がきて、勝つことができる可能性があるゲームでしたから、ただただ残念です」(現地12日、疑惑の判定も絡み、後味の悪い米国戦の敗戦について)

■日米メが1勝2敗で並んだとき

米国が敗れると3チームが1勝2敗で並ぶ。この場合、先攻の米国が2失点以上ならば、日本は失点率(失点を守備イニングで割る)で2位となる可能性がある。ただし、2失点の場合でも、九回二死以降(延長戦含む)にサヨナラ負けしたケースは米国が2位。
 メキシコ(後攻)は米国戦で失点した時点で、失点率で日本を上回れなくなり敗退が決まる。仮に無失点でも、日本を失点率で上回るためには、延長十三回までいかなければならない。
 15日現在の当該チーム間の失点は、日本が米国戦4、メキシコ戦1で計5(守備イニング17回2/3)で確定。メキシコは日本戦6(9回)、米国は日本戦3(9回)となっている。