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王の執念にイチロー「ノーサイン」バント!流れ引き寄せた

イチロー

イチローが三回に自らの判断で送りバント。王監督の執念に応えた=撮影・原田史郎

王ジャパン

難敵メキシコに快勝した王ジャパン。先取点にこだわり白星をもぎ取った=AP

WBC・2次リーグ1組、メキシコ1−6日本、14日=日本時間15日、エンゼルスタジアム=大沢謙一郎】日本代表・王貞治監督(65)が執念のバント攻撃。先制点をもぎ取り、メキシコを下した。前日13日、決起集会を“自腹”で開いたイチロー外野手(32)も、王監督の思惑に応えてバントを決め、九回にはダメ押し打。チーム一丸となった日本は、日本戦に先発することになった朴賛浩投手=パドレス=(32)を迎え撃つ。

どうだ、みたか! 執念のバント攻撃でメキシコを打ち破った王監督が、左拳を握り締めた。“誤審”が入り込む余地のない完勝。“世界の王”が顔を上気させた。

「メキシコは投手のレベルが高いので、接戦になると思っていた。100%先取点を取らないといけないと思っていたので、最初の2点はノドから手が出るほど、ほしい点でした」

まず二回無死一、二塁で多村にバントを命じたが、捕ゴロ併殺と失敗。そのとき指揮官の執念を感じ取り、次のチャンスでバントを実行したのがイチローだった。三回無死一、二塁からセイフティー気味のバント。自らの判断で成功させた。

三回は無得点に終わったが、四回無死一、二塁で、今度は多村が犠打を決めた。ここで小笠原が右前2点タイムリーで先制し、直後に里崎の2ラン。天才の自己犠牲が打線を目覚めさせ、試合の流れを引き寄せた。

イチローは九回一死二塁では右前適時打を放ち、ダメ押しとなる6点目をゲット。最終的にメキシコとの失点率勝負になるわずかな可能性のために、手を抜かなかった。これで、WBCでは初のマルチ(複数)安打。ついに本領発揮だ。

前夜(13日)はチームリーダーとして、決起集会も開いた。自らバスを予約。ロサンゼルスにある焼肉店に、体調不良の2人を除く15人の野手を集めた。その席で「みんなで力を合わせていこう」と乾杯の音頭。その気遣いがこの日の一丸ムードにつながった。

そして、迎える決戦。王監督が「ラストゲームのつもりでいく」と表情を引き締めれば「日本では受けて立っていたけど、今度は向かっていきます。僕らは挑戦者」とイチローが応える。最強の師弟コンビは、二人三脚で築き上げた鉄の結束でリベンジを狙う。

■日本の準決勝進出は

韓国戦勝ちの場合
  〔1〕16日(日本時間17日)のメキシコ戦で米国が敗れれば1勝2敗となり、日韓両国が2勝1敗で準決勝に進出する。
 〔2〕米国勝利のときは日米韓が2勝1敗で並び、当該間成績で順位を決定する。米国戦の日本は8回2/3で4失点、韓国は9回3失点のため、基本的に後攻で守備イニングが多くなる日本が勝てば、失点率で日本が上位に。最終回二死から1点差サヨナラ勝ちの場合のみ失点率が並ぶが、それでも直接対決で勝っている日本が準決勝進出となる。なお日本が勝っても、韓国は8回7失点までなら準決勝進出、米国は2次リーグ敗退となる。

 ★韓国戦引き分けの場合
  米国がメキシコに敗れれば日本は準決勝進出。米国も引き分けの場合、日米が1.5勝1.5敗となるが、直接対決で敗れている日本が2次リーグ敗退となる。

 ★韓国戦負けの場合
  米国がメキシコ戦に引き分け以上なら、日本は2次リーグ敗退。米国が負けたとき、日米メが1勝2敗で並び、当該間でトップのチームが2位(1位は3勝の韓国)で準決勝に進出する。その場合、メキシコは九回完封勝利でも日本より下位、先攻の米国も守備イニング8回2失点以上なら日本より下位になり、日本が準決勝に進出する(例えばメ2−0米)。

★ロアイザ撃ち胸張る小笠原

拙攻続きの嫌な流れを断ったのは小笠原のひと振りだった。0−0の四回一死二、三塁で右前に先制2点タイムリー。メキシコ先発ロアイザの初球を思い切りよくたたいた。「早い回に点を取れてよかった。甘い球が来たら思い切りいくつもりでした」。二回二死二塁の先制機では一ゴロに倒れていただけに、チームに流れを呼び込む一打に胸を張った。

★多村「乗せられて」適時打

3番から6番に降格した多村は、二回無死一、二塁では犠打を失敗したが、四回の同じ場面ではキッチリ成功。五回には二死三塁から相手投手の股間を抜く中前適時打で勝負を決めた。「前の打席でバントが決まったので選手、監督、コーチのみんなに気持ちよくいけ、といわれていた。みんなに乗せられて打った」と笑顔だった。

★手負いでも松中2安打

米国戦で左足甲に死球を受けた松中が「4番・DH」で強行出場。病院の検査では骨に異常はなかったが「まだまだ腫れはある」。それでも4打数2安打と快音を響かせ、3度出塁。手負いの主砲もチームを引っ張った。

★和田キッチリ0封リリーフ

松坂から“同世代タスキ”をガッチリと受け取ったのが和田毅。六回からの2イニングを無失点に抑えた。「きょう絶対に出番があるのは、わかっていた。低めをていねいにつけば大丈夫、と思って投げた」。渡米後は練習試合を含め2番手投手のデキが悪かっただけに、日本にとって心強い投球となった。

★メキシコ完敗認める

旋風を巻き起こしてきたメキシコが、完敗を認めた。四回に先発のエステバン・ロアイザ投手(34)がつかまり4失点。試合の主導権は日本に傾き、打線は散発3安打、1得点と湿った。試合後の会見でパーキン・エストラダ監督も「キレのある変化球を投げてきた。こちらの調整不足もあるが、日本が攻守に優れていた」と白旗をあげた。

◆4回7安打4失点で負け投手となったメキシコのエステバン・ロアイザ投手=アスレチックス

「ストライクが入らなかった。里崎に打たれた本塁打が悔やまれる。残念。この経験を次に生かしたい」

★疑惑の審判が一塁塁審も王監督「終わったこと」

メキシコ戦の審判は疑惑判定があった12日の米国戦と同じチーム構成。デービッドソン審判は日本ベンチに近い一塁塁審を務めた。デリカシーのない状況設定だったが、王監督は「我々はもう気持ちを切っている。終わったこと。そんなことにこだわっていない」と眼中になかった。しかし、日本ベンチの怒りを感じてか、デービッド塁審は一塁のクロスプレーを日本に有利に「セーフ」と判定した場面も。少なくとも不利になることはなかった。

■判定変更を支持

WBCで日本が米国戦での判定変更について主催者に提出した質問書と要望書に対し、判定変更を支持する回答が届けられた。長谷川コミッショナー事務局長によると主催者側の回答は「球審は抗議を受けたから判定を覆したのではなく、当初からアウトと判断していた」との趣旨だったという。第2回大会以降の審判員や運営委員の構成については「今後の検討課題」とした。