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王監督との“夢合体”で変貌!イチローがサク越え4連発

王監督(右)とイチロー

王監督(右)とイチローの2人は打撃ケージ後方で談笑。日本が世界に誇る大打者2人、心はひとつだ=撮影・原田史郎

米カリフォルニア州アナハイム、11日(日本時間12日)=田代学、大沢謙一郎、湯浅大、広岡浩二通信員】ついに世界の王とイチローが合体だ!! WBCは2次リーグが12日(日本時間13日未明)開幕、日本は1組の初戦で米国と激突する。当地で最終調整したイチロー外野手(32)=マリナーズ=は、王貞治監督(65)から「体全体で打て」と初めて直接指導を受けた直後、サク越え4連発を放つなど気合十分。いよいよ、大勝負だ。

メジャーが誇る安打製造機に、フラミンゴ打法の至高のエッセンスが加わった。イチローの打球が突然、空に向けて放物線を描く。1発、そして2発…。3発目は右翼上段、4発目も右翼席に着弾した。「パーフェクトだよ」とは見守った王監督。米国戦を控えたエンゼルスタジアムでの最終調整。天才イチローが突如としてパワーヒッターに変貌した。

「もう1度、日の丸のもと、このユニホームが着られることの喜びを感じてやりたい。アジアラウンドでは勝つだけでなくプロとしてお客さんが喜ぶプレーを、と言いましたが、ここでは勝つことだけを意識したい」

練習後のイチローは静かに決意を表明した。フリー打撃では王監督の下に歩み寄った。打撃理論を交わすうちに、王監督から助言を受けた。

「技術も大切だが、パワーも同じぐらい重要。体全体を使い、頭を動かさず、体を回転させて打ってみたらどうだ」

するとどうだ。イチローは直後のフリー打撃で圧巻の右翼サク越え4連発。上原、松坂、渡辺の先発陣は好調だが、中継ぎ、リリーフ陣が不調。イチローは出塁するだけでなく、チャンスに走者を迎え入れる役割も求められる。米国戦勝利のカギを王監督から託されたイチローは、“真意”を感じ取っていた。

「(米国は)気持ちを盛り上げていくには最高の相手。ただ、今まで景気のいいことばかり言っていたけど、実際は厳しいですから。彼ら(米国)はここというときは必ず集中してくる。気持ちでまとまっていかないと絶対に勝てない。心していくつもりです」

練習前には「気持ちをもう1回同じ方向にするために」選手を集めて円陣を作り、ゲキを飛ばした。孤高の天才打者から、日本を背負うリーダーへ。天才打者の変化に、王監督は「イチローは本当の男だよ」と周囲に話しているという。もう言葉はいらない。天才は大一番で、その真価を発揮する。

★宿舎到着は午前2時

王ジャパンの一行を乗せた特別チャーター機は現地時間の11日深夜1時にアリゾナからロザンゼルス空港に到着。空港からバスで1時間揺られて、午前2時アナハイムの宿舎に到着した。

キャンプ地のアリゾナとはロサンゼルスは1時間の時差があるため「ホテルに着いたのはあっち(アリゾナ)の朝3時になるな。荷物はさらに1時間遅れていたから、みんな大変だったよ」と王監督。選手は部屋ですぐに睡眠を取ったが、スタッフは荷物の搬入、事務作業など朝方まで仕事に追われた。激務の裏方のためにも、必勝を誓っていた。

★イチローが川崎に特別講義

イチローは全体練習終了後、川崎をつかまえ、グラウンドで約5分間、米国対策の“特別講義”を敢行した。「球場の雰囲気とか取り組む姿勢の話です。(米国先発の)ピービもどんどんストライクをとってくるタイプと聞きました」と川崎。イチローにとっては自分につなぐ大事な9番打者だけに、重要な存在となりそう。

★岩村、ピービ討ちお任せ

岩村

鋭い目が光る。ピービ斬りは岩村にお任せ

メジャー屈指の右腕ピービをカモにしている男がいた。岩村だ。一昨年の日米野球でピービから2安打を放っている“ピービ・キラー”だった。

「もう2年前の話だからね。打席では、打てそうで打てないような雰囲気があった。それがいい投手なんだけどね。振り回すとカットやツーシームでゴロを打たされるからミート中心。自分ひとりでなく、全員で束になってかかる」

かつてのいいイメージは捨て、気を引き締めて打席に立つ。自分だけではなく、全員野球で攻略することを強調した。

むしろ意識しているのは岩村よりピービの方。日本戦を前に気になる選手として「イワムラ」と実際に名を挙げた。

「うれしい。あれだけの選手に知ってもらっているなら、それに恥じない野球をしないと」

内に秘めた闘争本能。2年前の対戦を再現できれば、王ジャパンにも攻略の糸口がつかめる。岩村が勝利の突破口を切り開く。

★松中は準備OK

4番を務める松中は万全の状態で2次リーグに臨む。「僕の中でしっかりと準備ができた」と胸を張った。アトランタ、シドニーの両五輪を経験し、ジャパンのユニホームを着てプレーする重みを知るだけに「負けたら日本に帰れないくらいの重圧を感じている」と悲壮感さえ感じさせた。

(共同)