2008年03月31日 更新
智弁和歌山“珍事”決勝レフトゴロで8強入り

十一回一死二塁から、左翼線に“決勝打”を放ち一塁を回る高橋と、歓喜の智弁和歌山ナイン

(第80回センバツ高校野球大会、第9日、3回戦、智弁和歌山2−1宇治山田商、29日、甲子園)延長十一回に勝ち越した智弁和歌山(和歌山)が宇治山田商(三重)に2−1で勝ち、和歌山県勢の甲子園通算200勝を記録した。
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エッ、アウト? 誇らしげなヒーローの目が、点になった。延長十一回一死二塁。高橋は思い切り引っ張り左翼線を破り、勝ち越し走者を迎え入れて二塁へ。どんなもんや! そう胸を張ったが…。プレー再開後、相手が一塁で「ベースを踏んでいない」とアピール。無情にも、一塁塁審の手があがった。
「右足で角を踏んだと思ったんですけど…。頭が真っ白だったので、覚えていないんです」
8強入りの決勝打は、何とも珍しいレフトゴロ。高橋は、バツが悪そうに頭をかいた。
1958年、一塁を踏まず本塁打を投ゴロにされた巨人・長嶋茂雄(現終身名誉監督)を思いださせる珍事だが、二死なら本塁生還は取り消し。歴代2位の甲子園通算53勝(春23勝、夏30勝)の高嶋監督も「踏み忘れなんて初めてですわ。二死じゃなくてよかった」とため息だ。
昨夏、仙台育英の佐藤由規(現ヤクルト)に17三振を奪われ、1回戦敗退。以後、ナインは打撃マシンを直球160キロに設定し、しんを外すとシビれる竹バットで打ち込んだ。その成果が出てMAX153キロ右腕・平生を延長の末に打ち崩し、県勢春夏通算200勝の節目を飾った。
次戦は東洋大姫路(兵庫)が相手。近畿決戦を制して4強入りなら、準Vの00年以来だ。
(周伝進之亮)
★田甫が智弁和歌山救う
中堅手、田甫がサヨナラ負けのピンチをファインプレーで救った。十回二死二塁で木田恵が放った大飛球を好捕=写真。「よっしゃー捕った、って感じ」と喜んだ。追いつけるか微妙だと感じたそうだが、いったん目を切って懸命に背走。「体が勝手に動いた。フェンスまで目いっぱい走ろうと思った」。高嶋監督は「捕ってくれと祈りました」と笑みを浮かべた。
■ミスター・幻の本塁打
プロ1年目の1958年9月19日、広島戦(後楽園)。1−1で迎えた五回に広島の鵜狩から左中間に勝ち越しの28号本塁打。しかし、試合が再開されると広島側から「一塁を踏んでいない」とアピールされ、投手からボールが一塁に渡り、「アウト」の判定。巨人側の猛抗議も判定は覆らず、結果は投ゴロとなった。試合も2−4で広島に敗れた。
◆公認野球規則(抜粋)7・10 次の場合、アピールがあれば、走者はアウトとなる。(b) ボールインプレイのとき、走者が進塁または逆走にさいして各塁に触れ損ねたとき、その塁を踏み直す前に、身体あるいは触れ損ねた塁に触球された場合。
【解説】高橋の打球は左翼線へのゴロのため、二塁走者は自由な進塁権がある。高橋は一塁に触塁する義務を果たさなかったことで、宇治山田商のアピールでアウトとなったが、一死だったため得点が認められる。これが二死の場合は一塁でのフォースアウトで第3アウトが記録されるため、得点は認められなくなる。
■記録メモ
甲子園通算90勝(61敗) 平安が勝ち、これで春は32勝35敗、夏が58勝26敗。中京大中京(120勝42敗)、PL学園(94勝28敗)に続く歴代3位
★宇治山田商・平生は十一回に“力尽く”
今大会注目の右腕、平生は智弁和歌山の粘り強さに屈した。十一回一死二塁から6番打者に左翼線へ運ばれて決勝点を許した。「スライダーを狙われて高い球を打たれた」と悔しさをあらわにした。だが、七回まで無失点と大物の片鱗(へんりん)は示した。「自信になった。どんなピンチでも抑えられるピッチャーになりたい」と先を見据えた。









◆六回途中から無失点の好救援をみせた智弁和歌山・林
「走者がいた方が投げやすかった。投球がミットにいってたのがよかった」