2008年03月26日 更新

第80回センバツ高校野球大会

「やず」を全国に!八頭・平木が省エネ79球で完封

わずか79球で完封勝利を飾り、ガッツポーズの平木。八頭(やず)の名を全国にアピールした(撮影・桐山弘太)

わずか79球で完封勝利を飾り、ガッツポーズの平木。八頭(やず)の名を全国にアピールした(撮影・桐山弘太)

 (第80回センバツ高校野球大会、第4日、2回戦、八頭1−0宇都宮南、25日、甲子園)初出場の八頭(やず=鳥取)は、エース平木(ひらぎ)良典投手(3年)が9イニングの大会最少投球数(77球)に迫る79球で3安打完封。22年ぶり出場の宇都宮南(栃木)を1−0で下し、3回戦へ進んだ。

 虎の子の1点を守り切ると、ド派手なガッツポーズが飛び出した。わずか79球で完封。平木が3安打無四球の会心の投球で、八頭にセンバツ初出場初勝利をもたらした。

 「そうなんですか。100球くらいかなと思っていました」。もともと球数は多い方ではないが、スライダーがさえまくり、センバツの最少投球数(9回)「77」にあと2と迫る省エネ投球。昨秋の県大会、準優勝した中国大会から公式戦9連続完投となった右腕は「負けたら鳥取に帰れないと思っていた。自分のピッチングができました」と声を弾ませた。

 遠景には中国山地の山並みが連なり、冬は雪に埋もれる八頭町。この日の最高気温は9度で、冬場は練習場の確保に頭を痛めるという。

 「携帯電話の電波が入らないところもある」(平木)という故郷を出発する際、祖父・辰雄さん(82)からペン書きのメッセージをもらった。「どんな名投手でもピンチになるときはある」などと書かれた紙を、お守り代わりにユニホームのポケットに忍ばせた。

 OBには、92年バルセロナ五輪男子マラソン銀メダリストの森下広一さんがいる。野球部も94年夏の甲子園で16強入りしたが、徳永惇部長(64)は「まだ『やつがしら』『はっとう』など正しく校名を読んでもらえないんです」と苦笑いする。

 山あいの町から旋風を−。平木は「このセンバツで『やず』の名を広めます」と誓う。3回戦の相手は近畿王者の東洋大姫路。相手に不足はない。

(田中浩)


■平木 良典(ひらぎ・よしのり)

 1990(平成2)年6月12日、鳥取・八頭町生まれ。17歳。郡家(こおげ)西小3年で野球を始め、中国大会準優勝。中央中では県大会出場。八頭では1年秋からベンチ入りし、昨秋の県大会から背番号1。家族は両親と兄、姉、祖父。1メートル77、70キロ。右投げ右打ち。

★壹村、好プレーで平木救った!

 無失策で平木をもり立てた。中でも三回に右中間を抜けそうな飛球を好捕した壹村のプレーが光った。捕った瞬間は「やってやったぞと思った」。小学生のころから中堅手一筋。俊足を生かして追いつき、最後は頭から飛び込んだ。お手柄にも「平木がいい投球で守りやすかった」とエースを持ち上げた。

◆平木をリードした八頭・平井

 「どの球も低めに集まって荒れなかった。これまで球を受けた中でベストに近かった」

◆一回にカメラマン席に飛び込んで三邪飛を好捕した八頭・山住

 「右肩と首を打った。痛かったけど、歓声で吹き飛びました」

★地元商店街も歓声

 勝利の瞬間、八頭町の地元商店街は歓声に包まれた。町民の7〜8割が八頭高出身ということもあり、喜びもひとしお。町役場の井山愛治総務課長(55)は「私にとっても母校。勝ってくれて本当にうれしい。センバツでの活躍で八頭という名前が広まれば」と願った。3回戦の相手は東洋大姫路。「相手は同じ高校生。ひょっとしたらひょっとするかも」と、6度出場の夏にも経験がない1大会2勝を期待した。

★宇都宮南・山井、1失点完投も「悔いが残る」唯一の四球

 7三振を奪い、1失点完投した宇都宮南・山井は「そんなに悪くなかった」と淡々。「当ててもいい、と割り切った」という内への直球にスライダーを織り交ぜて詰まらせ、連打を許さなかった。失点した五回は先頭を歩かせて、カウントを取りにいったスライダーを狙われた。唯一の四球だっただけに「悔いが残る」。

◆4番も内野安打1本に終わった宇都宮南・伊沢

 「満足できない。変化球をとらえられず、あっという間に終わってしまった」