2007年08月23日 更新
決勝史上初の逆転ドラマ!公立校、佐賀北が日本一!

初優勝だ!! エースの久保を中心に歓喜の輪ができた=撮影・安元雄太

(第89回全国高校野球選手権大会、第15日、決勝、広陵4−5佐賀北、22日、甲子園)ミラクル日本一だ!! 初の決勝進出の佐賀北(佐賀)は八回、副島浩史内野手(3年)=写真下=が逆転満塁本塁打を放ち、5−4で広陵(広島)を下し初優勝。特待生問題とは無縁の公立進学校が、全国4081校の頂点に立った。佐賀県勢としては94年の佐賀商以来、13年ぶりの日本一。センバツで3度優勝の広陵は、夏の決勝3度目の挑戦も初優勝はならなかった。
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まるで13年前のドラマの再現だ。八回、1点を返してなお一死満塁。副島の放った一撃は、三塁側アルプス席を埋め尽くした佐賀北応援団の前を通過して左翼席に消える。高校球史に残るサプライズ弾。副島の声が弾んだ。
「信じられない。お客さんもたくさん応援してくれていたし、その思いが乗り移った感じです」
値千金の逆転満塁本塁打。94年夏の決勝、同点の九回、佐賀商は西原の勝ち越し満塁本塁打で頂点に登りつめたが、決勝での「逆転満塁弾」は史上初だ。二回途中からリリーフした久保が、最後は広陵のエース・野村を空振りの三振に仕留めて歓喜の輪。副島は思いきり飛び込んでいった。
「最高の夏でした。練習時間は限られていますから、基礎練習に時間を割きました。体力では私学に負けない。それが最後に生きたと思う」
国語科の教諭として母校に赴任して4年目。百崎敏克監督(51)も感無量だ。年間の部予算は60万円。遠征も1泊限定。県内でも有数の公立進学校。制約は多い。それでも頂点に立った。
原点は指揮官の意識革命。全部員58人との交換日誌では常に甲子園を意識する気持ちを持たせた。「おれたちでもやれる」の思いが、普通科中心の公立校では84年の取手二以来となる優勝として結実した。
開幕試合、延長十五回引き分け再試合、サヨナラ勝ち、そして優勝。自由時間に大阪・心斎橋でグリコの看板をバックに記念撮影をしていた丸刈りの球児たちが、甲子園で5万観衆の大拍手を浴びた。
「大学では遊ぶつもりだったけど自信ができた。野球を続けます」と副島。特待生問題に揺れた今年の高校球界。夏を無敗で駆け抜けたのは、特待生には無縁の公立進学校だった。
「やれば、できる」。佐賀北が全国の公立校の仲間へ熱いメッセージを残して、暑い夏が終わる。
(臼杵孝志)
★“ミラクル男”副島の父も感涙「失神しそうでした」
副島の父・隆夫さん(44)は、八回一死満塁で打席に入った息子をかたずをのんで見守った。打球は三塁側アルプス席の隆夫さんの目の前を通過して左翼席に着弾。逆転満塁本塁打に「頭が真っ白で失神しそうでした。よくやった」とガッツポーズで喜んだ。
仕事を休んで甲子園にかけつけた。「浩史だけじゃなく、全員野球で勝ち取った優勝です」と目を真っ赤にはらして初優勝を祝福した。
■満塁本塁打
夏の選手権での満塁本塁打は、今大会2本目で佐賀北・副島の一発で通算30本目。決勝では1994年に佐賀商・西原が放って以来2本目だが、西原は同点の九回の勝ち越しアーチで、決勝での逆転満塁本塁打は史上初めて。春のセンバツでは17本の満塁本塁打が記録されている。
★久保「楽しむ余裕はなかったけど」、投打でキッチリ活躍
胴上げ投手となった久保は「楽しむ余裕はなかったけど、抑えてやろうという気持ちは強かったです」と満面の笑み。2点を奪われた直後の二回二死満塁から登板。七回に2点を奪われ、連続無失点記録は34回1/3で止まったが、八回には逆転のきっかけとなる左前打。投打の活躍で優勝を導いた。
■データBox
〔1〕公立校の全国制覇は96年の松山商(愛媛)以来11年ぶり。普通科を中心とした学校では、84年の取手二(茨城)以来。春は95年の観音寺中央(香川)がある。
〔2〕佐賀県勢の優勝は、94年の佐賀商以来13年ぶり。樟南(鹿児島)を8−4で破った決勝では、4−4の九回に西原が満塁本塁打を放って勝利を決めた。決勝戦の満塁本塁打はそれ以来で史上2本目。
【記録メモ】
▽満塁本塁打 佐賀北の副島が広陵戦で記録。今大会2本目で通算30本目。
▽無失策試合 広陵−佐賀北で記録。今大会6度目。
▽1大会個人最多犠打 小林(広陵)が8犠打のタイ記録。88回小柳(早実)以来、4人目。
■佐賀北(さがきた)
1963(昭和38)年に県立佐賀高が佐賀北、佐賀西、佐賀東の3校に分離して創立。普通科と普通科芸術コース、通信制からなる県立共学校で生徒数は953人(うち女子518人)。野球部創部は63年で部員数は58人。夏の甲子園は7年ぶり2度目(春はなし)。主なOBは岸川勝也(巨人・二軍打撃コーチ)、中越典子(女優)、吉田求(脚本家)。書道部は全国高校書道コンクールで12回連続日本一に輝いている。所在地は佐賀市天祐2の6の1。山崎俊介校長。








