2007年08月21日 更新

2007年 第89回全国高校野球選手権大会

【甲子園】常葉菊川のエース完全復活!田中、夏大会初完投

田中は1失点完投。常葉学園菊川が春夏連覇に前進した(撮影・桐山弘太)

田中は1失点完投。常葉学園菊川が春夏連覇に前進した(撮影・桐山弘太)

 (第89回全国高校野球選手権大会、第13日、準々決勝、大垣日大1−6常葉学園菊川、20日、甲子園)春夏連覇を狙う常葉学園菊川(静岡)は左腕エース・田中健二朗投手(3年)がセンバツ決勝の相手・大垣日大(岐阜)を4安打1点に抑えて6−1で快勝。静岡勢34年ぶりの夏4強に進出した。準決勝は21日、常葉学園菊川(静岡)−広陵(広島)、佐賀北(佐賀)−長崎日大(長崎)の顔合わせで行われる。

 二塁手の町田がグラブに飛球を収めると、田中は小さくガッツポーズを作った。センバツ決勝で6−5で下した好敵手を、五回以降はパーフェクトに抑える快投。これまで2試合、打線に助けられていたエースが、夏の甲子園初完投で本領を発揮した。

 「1点に抑えられたのがよかった。焦らずに、自分のペースでピッチングができました」

 初戦は日大山形に8回2失点、続く日南学園戦では5回3失点。バッテリーを指導する佐野心部長(40)=元中日=から「最後の夏という気持ちになっていない」と、18日の練習で闘争心を目覚めさせる特訓を課された。

 ブルペンではなくマウンドから投げさせ、ホームプレート後方に残りの部員が並んでヤジを飛ばす。その中で真ん中へ60球の全力投球。最後の10球は九回二死満塁、カウント2−3を想定。技術面では軸足となる左足の折れが早くなるのを修正した。「試合に集中できたし、強気に攻められた。腕の振りもよくなり、コースにボールがいきました」と田中。打線も持ち味のフルスイングで10安打。県大会から続くモヤモヤを解消した。

 大垣日大とは昨秋の東海大会準々決勝でも4−0で勝ち、これが3度目の対決。センバツ決勝カードが同じ年の夏に再現したのも3度目で、過去2度はセンバツ優勝チームが勝利。“2度あることは3度”を実践し、73年準優勝の静岡以来、静岡勢としては34年ぶりの夏4強。史上6校目の春夏連覇まであと2勝だ。

 「全国制覇は意識していません。準決勝の広陵戦も自分の投球をするだけ」。ついにプライドを取り戻したエース。心静かに偉業へと挑む。

(田中浩)

■田中 健二朗(たなか・けんじろう)

 1989(平成元)年9月18日、愛知・新城市生まれ。17歳。小2から軟式の山吉田少年野球クラブでプレーを始め、鳳来中ではボーイズリーグの新城ベアーズ。3年で外野手として全国大会出場。優勝した今春のセンバツでは5試合すべてに登板し37回1/3で自責点5。家族は両親と祖父、兄、弟。1メートル80、79キロ。左投げ左打ち。

★その時

 3回戦の日南学園(宮崎)戦で五回降板した田中。母・巳路子さん(39)は「前回は表情がおかしかった。心配して電話しても『大丈夫』としか言ってくれないし…」と不安げにその姿を見つめた。1失点完投勝利を見届けると「きょうは強気で、実力を出し切ってくれた」と胸をなで下ろした。父の好正さん(47)は「エースとしてのふがいなさを感じたのでしょう。きょうは違いますね」と笑顔だった。

石岡が八回にダメ押しの2ラン(撮影・安部光翁)

石岡が八回にダメ押しの2ラン(撮影・安部光翁)

★女房役・石岡が会心の一撃

 今大会9打数1安打と不調の石岡が3打点の大当たり。五回に同点の三塁打を放つと、八回には森田の初球をフルスイングし、ダメ押しの2ランを左翼席にたたき込んだ。「調子悪くてチームに迷惑かけていたので、きょうは絶対打ちたかった」。また、女房役としても直球中心から緩急を使ったリードに変更し、エースの復活劇を演出。石岡は田中の投球を「この夏一番のエースらしいピッチングでした」と称賛していた。

【名言&迷言・夏】

◆大垣日大に勝利し、準決勝の広陵戦に向けて常葉学園菊川・佐野心部長(40)

 「(ユニホームが)広陵がレッドソックスでうちがヤンキースなので、“バンビーノの呪い”で勝たせてもらえれば」

★大垣日大・森田、失投悔やむ

 またも常葉学園菊川の「壁」を越えられず、エース森田は五回の1球を悔やんだ。1点リードの一死一塁。石岡を追い込み、外すつもりの3球目が甘くなった。「真ん中に入って、やばいなと思った」。右翼線に運ばれ同点。この回に勝ち越され、八回に4点を失った。それでも森田は「精いっぱい力を出した」と胸を張り、阪口監督も「(夏の甲子園で)3勝1敗は上出来。満点でしょう」と生徒の成長に目を細めた。

◆大垣日大・小林主将

 「完敗なので悔いはないです。緩急で詰まらされたり、泳がされたり。いい当たりを打っても守備位置が良く、バックも僕たちよりレベルが高かった」