2007年08月18日 更新

2007年 第89回全国高校野球選手権大会

伏兵・伊藤が王者救った!常葉菊川がサヨナラ勝ち

同点3ランにサヨナラ打。大活躍の伊藤(左から3人目)に仲間が祝福

同点3ランにサヨナラ打。大活躍の伊藤(左から3人目)に仲間が祝福

 (第89回全国高校野球選手権大会、第10日、3回戦、日南学園3−4x常葉学園菊川=延長十回、17日、甲子園)ミラクル常葉が8強だ!! センバツ優勝の常葉学園菊川(静岡)は、八回に起死回生の代打同点3ランを放った伊藤慎悟外野手(2年)が延長十回にもサヨナラ中前打。4−3で日南学園(宮崎)を破り準々決勝に進出した。

 敗色濃厚だった春の全国制覇チームを、背番号「15」の伊藤が二振りで救った。

 一振り目は0−3の八回二死二、三塁。日南学園の先発左腕・有馬の8球目、「狙っていた」直球をフルスイングすると公式戦初本塁打の同点3ランが左翼席に。夏の甲子園通算9本目の代打アーチだ。

 チャンスは再び。3−3の十回二死一、二塁で二番手・中崎のスライダーを叩くと、強い当たりが二遊間へ=写真。遊撃手のグラブを弾き中前へ転がる間に、町田が本塁を駆け抜けるサヨナラ劇だ。

 「ホームランは打った瞬間に分かりました。サヨナラ打はショートゴロになるかな、と。もうホント、最高っす」

 お立ち台の上で小刻みに手が震え、伊藤の興奮は収まらない。県大会ではベンチ入りすらしていなかった伏兵が、大舞台でこれ以上ない大仕事をやってのけた。

 センバツ優勝時はスタンドで応援。「うれしさと悔しさで複雑だった」という。特待生問題で揺れた春季大会は1番を打ったが初戦敗退。夏は背番号をもらえなかった。その県大会中、中日でプロ経験がある佐野心部長(40)から、「おまえはプロにいける選手なのに、プロでやろうと思ったことなどないだろう」と心構えを諭された。

 学業もクラスで3番以内と何事も平均点以上なのが災いし、がむしゃらさ、勝負強さを欠いていることに気がついた。7月下旬、控え組での紅白戦3試合3本塁打の長打力を買われ甲子園メンバー入り。公式プログラムの名前は慎悟」を「新悟」と間違えられているのはご愛きょうだ。

 県大会から苦しみながらも、粘り腰を見せ続ける王者。「自分のよさは思い切り」という甲子園3打数3安打の代打の切り札が、史上6校目の春夏連覇へ勢いをつける。

(田中浩)

■伊藤 慎悟(いとう・しんご)

 1990(平成2)年9月16日、静岡・浜松市生まれ、16歳。小3まで乗馬をしていた。小3から小6まで光明ユニオンクラブで遊撃を守り、光が丘中では投手を務めた。公式戦出場は3試合目。高校通算7本塁打。1メートル82、72キロ。右投げ右打ち。家族は両親と弟。

★その時

 殊勲のヒーローとなった伊藤の父・正俊さん(48)は息子の代打同点弾に目を丸くした。「公式戦でのホームランは初めて見ました。これだけ大事な場面で打ってくれるとは」と大感激。延長十回のサヨナラ打にはチームメートの保護者からもメガホンで手荒い祝福を受け=写真、「もう頭が真っ白です。信じられません」と声を詰まらせていた。

◆5回3失点で降板した常葉学園菊川・田中投手

「四死球が多すぎた。気合が入らず、中途半端な気持ちでマウンドに登ってしまった」

【名言&迷言・夏】

◆サヨナラ打の伊藤に真っ先に抱きついた常葉学園菊川・相馬主将

「本当は“アイツ、いつからそんなに成長したの?”って言いたいんですけどね。よく打ってくれました」

★日南学園、先発・有馬が力投も1球の怖さ痛感

 センバツ覇者を土壇場まで追い詰めたが、逆転負けを喫した。八回に同点3ランを許した有馬は「真っすぐが高めに入った。(本塁打だと)すぐに分かった」と甲子園で1球の怖さをあらためて痛感した。四回で降板した前の試合とは違い、この日は直球が走り、変化球も低めに決まっていた。七回までは3安打の投球に「調子が良くて、七回までパーフェクトだったけど」と悔やむ。小川監督も「長打は注意したけど、打った打者を褒めないと」と相手の力を認めた。

◆先制打を含む3安打を放った日南学園・大松左翼手

「勝ちにつながらなかったので満足していません」