2007年08月10日 更新
仙台育英・佐藤由17K!150超え連発でド肝抜く

MAX155キロ&17奪三振。みちのくの剛腕・佐藤は帽子がずれるほど力の入ったピッチングをみせた(撮影・倉掛優一)
(第89回全国高校野球選手権大会、第2日、1回戦、智弁和歌山2−4仙台育英、9日、甲子園)今年の「王子」はこの男!! 大会ナンバーワン右腕の仙台育英(宮城)・佐藤由規投手(17)=3年=が前評判通りの快投をみせた。智弁和歌山(和歌山)との1回戦で非公式ながら最速155キロをマークするなど、154球中150キロ超えが19球。2失点ながら17三振を奪う完投勝利で昨夏に続く甲子園2勝目をあげた。プロのスカウトも「即戦力」と三重丸をつける“みちのくの快腕”は、東北勢初の大旗を目指す。
◇
最後も球速151キロの剛球だ。見逃し三振を奪った佐藤由は、会心の笑みでマウンドを降り、チームメートと初戦突破の喜びを分かち合った。
「また、あこがれの舞台で投げられるうれしさが、そのままボールにつながったと思います。100点といっていいです」
3季連続3度目の甲子園初戦。強打の智弁和歌山打線を5安打2失点に抑え、九回は3者連続三振で締めた。奪三振は自己最多となる毎回の17。150キロ台の快速球を154球中19球も投げた。
六回一死一塁で4番の坂口真規一塁手(2年)に、左越え同点弾を浴びた。高校通算3本目の被本塁打もショックを引きずることはなかった。
佐々木順一朗監督(47)が「ミサイルのようだ」と評した快速球が記録をつくった。六回、浦田勇輝三塁手(2年)への外角高めの直球は、ヤクルト・水谷新太郎スカウトのスピードガンで自己最速タイとなる155キロを計測。八回には前の打席で本塁打を許した坂口を3球三振に仕留めたが、最後の1球は球場のスピードガンで夏は最速タイとなる154キロをマークした。
日本ハム・今成泰章スカウトは「このままプロにきてくれればいい。スピードは去年の(早実)斎藤より上です」と高評価。ロッテ・井辺康二スカウトは「勢いだったら(現楽天の)田中よりあります」と絶賛した。昨夏の甲子園を沸かせた“2人のヒーロー”を上回る可能性を秘めているという。
今年の「王子」は間違いなくこの男。男3人兄弟の真ん中で、ボールを投げる以外は左利き。仙台市内の自宅では、入浴時に『DEEN』の曲を歌ってストレスを解消する。すしが好物でマグロに目がなく、女優の沢尻エリカがお気に入り。ユニホームを脱げば普通の17歳だが、ユニホームを着ている佐藤由は超高校級の怪物だ。
チームは5月に対外試合を自粛するなど特待生問題で揺れたが、エースにその影響はみじんも感じられない。2回戦は智弁学園(奈良)との対戦。「次も大事にプレーしたいです」。大会2日目、早くもスーパースター候補生が飛び出した。
(山口泰弘)
■仙台育英・佐藤由規(さとう・よしのり)
★生年月日 1989(平成元)年12月5日、宮城・仙台市生まれ、17歳
★球歴&サイズ 北仙台小4年時に「北六バファローズ」で野球を始め、北仙台中1年時に「仙台東リーグ」でリトルリーグ世界大会準優勝。仙台育英では1年春からベンチ入り。2年春から背番号1。1メートル79、75キロ。右投げ左打ち
★不運 今年3月、センバツ前の日南学園との練習試合で左手甲を亀裂骨折。センバツ1回戦の常葉学園菊川戦は負傷をおして先発したが、14三振を奪うも1−2と惜敗
★155キロ 6月24日の小山(栃木)との練習試合で、外角高めの直球が自己最速を5キロ上回る155キロを計測
★スカウト集結 7月12日の宮城大会1回戦(対大崎中央)にはプロ8球団11人、7月27日の準決勝(対東北)には日米11球団のスカウトが集結した
■データBox
仙台育英の佐藤由が八回に154キロをマーク。スピードガンが普及した1980年代以降では「甲子園大会最速」とされる2001年夏に日南学園(宮崎)の寺原隼人投手(現横浜)が出した記録に並んだ。 寺原投手の154キロは中継テレビ局のスピード計時によるもので、この際に他のスピードガンでは158キロが記録された。プロ野球ではマーク・クルーン投手(横浜)が記録した161キロが最高。
■記録メモ
▽毎回奪三振
仙台育英の佐藤由が1回戦の智弁和歌山戦で記録。今大会初で、通算66度目。

★父に誕生日プレゼント
佐藤由の両親は三塁側アルプス席で見守った。母の美也(みや)さん(47)=写真左=は「ホームランを打たれたときはどうなることかと…。勝ててよかったです」と目に涙を浮かべた。
10日に47歳の誕生日を迎える均(ひとし)さん=同右=は「1日早い誕生日プレゼントです」と応援でガラガラになった声で喜んだ。
★プロが絶賛
◆中日・山本スカウト
「いつも八、九回に最速が出る。投げるスタミナがありますよ」
◆ヤクルト・水谷スカウト
「直球のアベレージで140キロ台中盤が出ている。体が大きくないので角度はないけど、キレがすごい」
◆広島・近藤スカウト
「直球と同じ軌道でスライダーが切れてくる。空振りを取れるのが強みだね」
◆テレビで観戦した楽天・野村監督
「いい投手だね。体は小さいようだけど、17歳で153キロ、154キロを投げられれば十分。地元なんだろ? それなら楽天にくるべきだ」
◆甲子園で佐藤由を観戦したロッテ・バレンタイン監督
「いい球を投げていた。非常に今後が楽しみ。ハイレベルな選手だ」
★仙台育英2年生橋本がエース援護
仙台育英2年生の1番が試合を決めた。2−2の八回二死一、二塁で橋本が、流し打ちで浜風に乗せる左翼線三塁打。外角高めのスライダーだったが「何を打ったか覚えていません」と無我夢中。智弁和歌山に続き15日の2回戦も智弁学園(奈良)が相手。「白地に赤のユニホームが、県大会決勝で勝った仙台商に似ているので、そのつもりで戦います」と“智弁キラー”を請け負った。
★智弁和歌山・坂口、同点2ランも154キロ見逃し三振
智弁和歌山・4番坂口は失投を逃さなかった。六回一死一塁で甘く入ったスライダーを左翼席へ運んだ。特大の同点2ランに「手応えがありました」。だが、次の八回の打席では仙台育英・佐藤由の直球勝負の前に屈した。154キロの外角直球に手が出ず、見逃し三振。2年生スラッガーは「150キロを超える球があそこに決まったら打てないです」と脱帽した。
◆智弁和歌山・高嶋監督
「直球が150キロを超えて、あのスライダーでしょ。うちに限らず、どこでも打てんよ」
◆2打数無安打の智弁和歌山・勝谷
「(ストレートを)そんなに速いとは思いませんでした。ただあんなスライダーは見たことないです。予想より球2つ分くらい曲がるんです」
◆5三振に終わった智弁和歌山・楠本遊撃手
「全然駄目。真っすぐを狙えと言われたけど、スライダーを振ってしまった。悔いが残る」
◆2安打した智弁和歌山・大島左翼手
「がむしゃらにやった結果。ナンバーワンといわれるピッチャーとやりたかったので、対戦できたことはうれしい」
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◆巨人・大森スカウト
「即戦力。縦の変化球に頼らず、横のスライダーだけでも打ち取れる。中日の川上憲伸タイプかな」