2007年08月09日 更新
文星芸大付・佐藤が投打で活躍!昨夏の屈辱晴らした

完封一番乗りだ。文星芸大付・佐藤が市船橋をねじ伏せた
(第89回全国高校野球選手権大会、第1日、1回戦、文星芸大付5−0市船橋、8日、甲子園)文星芸大付(栃木)は、佐藤祥万(しょうま)投手(3年)が市船橋(千葉)を7安打に抑えて5−0の完封。2試合で10失点を喫した昨夏の屈辱を晴らした。打っては板橋諒太内野手(2年)が5打数5安打。「宇都宮学園」から校名変更して5年目、節目となる10度目の出場で「文星」の名を全国に広める。
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帽子を飛ばして投げた渾身のストレートに、バットが空を切る。三振で試合を締めくくると、西日の差すマウンドで佐藤がガッツポーズ。7安打9奪三振で今大会1号の完封勝利だ。
「自分の投球ができれば大丈夫だと思っていました。三振は意識しなかったけど、最後は思い切り腕を振りました」
勝利への執念をみせる投球だった。五回、失策と内野安打で一死一、二塁のピンチを招いたが「自分がキレても仕方ない」と気持ちを切り替え、次打者を二ゴロで併殺。七回無死でもエラーで走者を背負ったが、内角を強気に攻める投球で三ゴロと2連続三振でピンチを脱した。
打っても4安打の大活躍。2点リードの五回には右中間三塁打を放ち、4番・菊地の左前打でホームを踏んだ。「追加点が欲しかった場面だったので助かりました」。市船橋を突き放す貴重な3点目だった。
佐藤には期するものがある。昨夏2年生ながら、背番号10を背負って2試合に登板。合計10回2/3を投げ、10失点と打ち込まれた。「ピンチになると弱気になって、インコースに投げられなかった」。自分のせいで負けた悔しさが、エースをひと回り大きくした。
ふだんは自宅のある日光市から朝6時に家を出て、学校のある宇都宮へ。夜11時に帰宅する毎日が続いている。小3から女手ひとつで育てた母・玲子さん(46)は「弱音も吐かずに頑張っています」と一塁側応援席で笑顔を見せた。母親の苦労も知る佐藤は「ぼくにできる恩返しは、甲子園で勝つことしかありませんからね」。2回戦止まりだった昨夏のリベンジを誓っている。
「去年は満足のいく投球ができなかった。ことしは2回戦も強気で投げて、去年の忘れ物を取りに行きたいです」。昨年の借りを返すためにも、親孝行のためにも。左腕エースは2回戦突破を目指す。
(星直樹)
■佐藤 祥万(さとう・しょうま)
1989(平成元)年8月18日、栃木・日光市生まれ。17歳。所野小3年から軟式野球の「所野ブラックパンサーズ」に所属。日光東中では軟式野球部。文星芸大付に進学し、昨夏の甲子園は背番号10で2試合に登板、10回2/3を投げ10失点。今夏の県大会は5試合43回で6失点。家族は母と姉2人。1メートル74、71キロ。左投げ左打ち。
★深紅の大器くん
文星芸大付・佐藤の完封劇にネット裏のスカウト連もうなった。
ロッテ・山森雅文スカウトは、高目に浮く球が少ない上に「直球と同じ腕の振りで縦のカーブ、スライダー、チェンジアップと3方向に曲げてくる」。とくに右打者の外角に逃げるチェンジアップは「あれはバットが出ちゃう」と切れ味を絶賛した。「ウチの成瀬みたいになってほしいね」と左腕エースを挙げて今後に期待した。
ヤクルト・宮本賢治スカウトも「腕が振れているし、投球がうまい」と評価。1メートル74と小柄だが「ウチの石川だって1メートル68で毎年2ケタ勝っている」。成長次第ではプロの指名も夢ではない。
★5番・板橋5の5!文星芸大付
5番・板橋が5打数5安打。「5安打なんて生まれて初めて」と童顔をほころばせた。変化球は打てないと見切り直球狙い。二回の二塁打で先制のホームを踏み、九回には中越えの適時二塁打で5点目を奪った。連続打席安打の大会記録は、過去4人がマークしている「8」。2回戦の興南戦に記録がかかるが「ウチは守備でリズムをつくっていくチーム。守りをきっちりと固めたい」と1失策した守備を反省していた。
★浦学からの転校生・菊地が適時打
浦和学院(埼玉)から文星芸大付へ1年冬に転校し、自身初の甲子園出場を果たした4番・菊地が五回一死三塁で左前適時打。中押しの3点目をたたき出した。「一回のチャンスで三振していたので、次は打たなくちゃと思った。ガッツポーズをしたらしいけど、全然覚えていません」。第2投手としても期待されている右翼手。上位進出のカギを握っている。
★打撲
文星芸大付の羽山貴之左翼手(3年)が九回、右手中指に投球を受け、直後の守備から交代した。骨に異常はなく打撲と診断された。
■文星芸大付(ぶんせいげいだいふ)
1911(明治44)年、宇都宮実用英語簿記学校として創立。2003年に「宇都宮学園」から現校名に改称した。普通科、総合ビジネス科からなる私立男子校で生徒数は1004人。野球部創部は1915年で部員数は68人。2年連続10度目(春は2度)。主なOBは真中満(ヤクルト)、片岡易之(西武)。所在地は宇都宮市睦町1の4。上野憲示校長。
◆OBの西武・片岡
「去年は1つしか勝っていないので、もう1勝はしてもらわないと。ボクにも励みになります」
◆OBのヤクルト・真中
「投手もよかったし、内容がいい試合だった。これからも2つ、3つと勝っていってほしい」
★ふるさとホットライン
文星芸大付の野球部員が通うギョーザ店『宇都宮みんみん睦町店』のご主人・平野昭一さん(50)
−−夕方のお忙しい時間にすみません。1回戦を突破しました
「えっ、勝ったの。それはよかった。きょうは忙しくてね、テレビは見てないんだよ」
−−野球部員はよく食べる?
「この前なんて1人でギョーザ8人前にラーメンとライスだよ。ウチは学割はないけど、学生さんはラーメンを大盛りにしてあげるの。普通盛りの2倍はあるね」
−−お祝いは?
「いつも地区大会で優勝したらタダで食べさせると言ってるんだ。(ライバル校の)作新学院の部員にも同じことを言っている。でも監督さんが遠慮して、こないんだよね。今回は甲子園だから、途中で帰ってきてもお祝いしたいね」
−−ちなみにギョーザ1枚、おいくら?
「220円。学生さんにも手ごろでしょ」

1回戦で敗れ、泣き崩れる市船橋ナイン
★市船橋、崩れた…「勝利の方程式」
「勝利の方程式」が崩れた。2枚看板で完封リレーを狙った市船橋だが、先発・山崎正貴投手(3年)が大誤算。「いけるところまでと思っていました。完投がベストでしたが情けないです」。三回一死満塁からの相手スクイズを本塁へのグラブトスで併殺に封じたが、五回途中に3点目を奪われ岩崎翔(3年)と代わった。
その岩崎も「緊急登板だったので」と悔いを残した。準備はブルペンで捕手を立たせたまま数球を投げただけ。自己最速を1キロ更新する150キロを計測したが、九回にダメ押しの1点を奪われて力尽きた。
ともに1メートル85と体格に恵まれた本格派右腕はネット裏のスカウト陣が「投げ方までそっくり」と驚くほど。高卒後に進路についても「プロでやりたい」と口をそろえる。“ツインタワー”は悔しさをバネに切磋琢磨を続ける。
■今年の組み合わせ抽選は
第60回大会から続いていた初戦の東西対決方式を取りやめたため、1回戦から栃木と千葉の対戦が実現した。ただし2校が出場する北海道、東京は初戦で対戦しないように振り分けられた。









◆文星芸大付・高橋監督
「序盤に先制できて楽になった。こんなに打つとは思わなかった。たまたまです」