2007年03月30日 更新

2007年 第79回選抜高校野球大会

帝京15年ぶり8強!エース死球受け降板も打線爆発

送りバントを試みた帝京のエース大田が死球を受け負傷。大黒柱の退場にチームが燃えた

送りバントを試みた帝京のエース大田が死球を受け負傷。大黒柱の退場にチームが燃えた

 (第79回選抜高校野球大会、第7日、2回戦、帝京12−4市川、29日、甲子園)15年ぶりの優勝を狙う帝京(東京)に思わぬアクシデント。エースの大田阿斗里(あとり)投手(3年)が利き手の右手に死球を受け、病院に直行したが、市川(兵庫)に12−4と圧勝し優勝した92年以来の8強入りを決めた。

 その瞬間、一塁側の帝京ベンチは声を失った。1−0とリードする二回表無死一、二塁。送りバントをしようとした大田の右手親指に、市川の先発・寺口の直球が激突した。顔をゆがめてベンチに引っ込んだ大田は、そのまま尼崎市内の病院に直行。初戦で20Kをマークした絶対的エースが、序盤でいなくなった。

 「いやあ、これからどうしようかと…。垣ケ原と高島の2人の投手で、何とかやらんといかんなとまで考えました」

 指導歴36年を誇る前田監督も、頭の中が真っ白になったほど。15年ぶりの優勝を頭に描いて甲子園に乗り込んできたが、軌道修正を強いられると覚悟した。

 一瞬、動揺したナインは、大黒柱のアクシデントを奮起材料に変えた。二回は相手投手陣の7四死球もあり、打者13人で9点の猛爆。左腕の垣ケ原は8回を投げ抜き4失点。本来の1番に戻った本間は3安打4打点の活躍で「大田にばかり頼っていられませんから」と2人は声をそろえた。

 試合終了直前に甲子園に戻ってきた大田は、右手親指をガーゼで覆い包帯を巻いていたが、骨には異常なく、打撲で全治2日の診断。「痛みがなければすぐにでもピッチングします」と明るい表情で、4月1日の準々決勝も登板する意気込みを見せた。

 この朗報には指揮官もホッとひと息だ。「次ねえ。どうしようかな」と言いながらほおは緩む。頂点に向け、5本のバント失敗などちぐはぐさが残るチームを引き締める“ショック療法”となるか。

(田中浩)

【名言迷言・春】

◆3打席連続四球のあと2打数無安打だった帝京・杉谷拳

 「しっかりしたヒットを打ちたかったのに。これじゃ、下位に下げられちゃいますよ」

★市川・徳永監督“魔の二回”悔やむ

 完敗した徳永監督は「ロースコアで競った展開になれば勝機はあると思ったが…」と二回の大量失点を悔やんだ。大会直前にメンバー登録されていない部員の喫煙が発覚した。「不祥事で重い気持ちもあった。こんなチームが出ていいのかとも思ったが、生徒も大きくなってくれたと思う」と神妙に話した。

◆先発して二回途中で降板した市川・寺口

 「朝の練習で先発を告げられて緊張した」

★球審、肉離れで交代

 この日は大田を含め、死球での臨時代走が3度も出た。しかし、アクシデントは選手だけではなかった。小山克仁球審が一回表のプレー中に右足ふくらはぎに肉離れを起こし、一回裏から長谷川次郎球審に交代する珍事もあった。