2007年03月24日 更新
松坂も惚れた!大阪桐蔭・中田が7回1安打9奪K

今大会注目度ナンバーワンの大阪桐蔭・中田は先発して7回1安打無失点。7四死球と苦しんだが、持ち前の球威で相手打線をねじ伏せた=撮影・中島信生
(第79回選抜高校野球大会、第1日、1回戦、大阪桐蔭7−0日本文理、23日、甲子園)新怪物は投げてもすごい!! 大阪桐蔭・中田翔投手(3年)が、日本文理戦で7回1安打無失点。5カ月ぶりの公式戦マウンドで相手をねじ伏せた。怪物の先輩、レッドソックス・松坂大輔投手(26)も認めた大物ぶりを初戦から発揮。2回戦では、この日3打数無安打に終わったバットで高校通算73号を狙う。
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笑顔、しかも大声で校歌を斉唱した。一礼すると、満員に膨れあがった一塁アルプスへ向かって全力疾走。苦労を重ねた右腕で“新怪物”中田が1勝をつかみとった。
「甲子園で初の先発マウンドで、少し緊張しました。ひじを痛めてからも投手にこだわってきたし、投手として復活したかったんです」

打席で大きく背中を反る中田。打撃は3打数無安打1死球と快音は聞かれず
昨年10月28日の近畿大会準々決勝(対近江)以来となる公式戦マウンド。さすがに立ち上がりは不安定だった。一回二死から死球。二回は連続三振を奪った後に連続四球。マウンドで深呼吸を繰り返したが、五回からストライクが先行。「冷静さを欠いていたけど(捕手の)岡田が『力を抜け』と言ってくれて楽になりました」。マウンドで躍動感が戻った。
「おい、狙うか?」。五回終了後には、西谷監督から声を掛けられた。スコアボード、日本文理のHの場所に輝く『0』。「(ノーヒットノーランは)少し狙おうと思いました」と欲を出したが六回二死、中前にはじき返され苦笑いだ。結局7回を1安打9奪三振。最速は140キロにとどまったものの、上々の復帰登板を終えた。
右ひじを痛めたのは、昨年5月の春季大阪府予選準決勝(対浪速)。以後ブルペンでは球数を50球に制限された。それでも年明けには、念願成就で有名な岡山・最上稲荷神社に参り、聖地での復活マウンドを祈祷。リハビリにも耐えて、故障後最多の114球を投げきった。
見事に初戦を自力で突破。この中田の評判は海の向こうで“怪物”の先輩、レッドソックス・松坂にも届いている。
「あの体格はすごい。高校生であれだけ下半身がしっかりしている選手は、最近いないんじゃないですか」。生まれ持った骨格は練習ではどうにもならないと分かっているからこそ、体格を最大の武器に挙げた。さらに「『超高校級』といわれた選手でも、プロに入ったら、意外と小さく見える選手は多い。だけど、中田君なら大丈夫ですね」。発するオーラを含めて、その大物ぶりに太鼓判を押した。
あとは、3打数無安打(1死球)に終わったバットが火を噴くだけ。西谷監督は「次はリリーフということもある」と2回戦(佐野日大戦)で打撃に集中させることを示唆した。
「とにかく、一番上を目指して頑張ります」。次戦で目指すは高校通算73号。投げて打ち、大観客の視線を一身に背負う“新怪物”が、ついに降臨した。
(阿部祐亮)
■怪物・中田、生い立ちの真実
「本当に大きい子だったんです。元気一杯で」(母・香織さん=43歳)
1989年(平成元年)4月22日に広島市内の病院で誕生した中田。3400グラムと丸々とした赤ちゃんだった。中田が野球と出会ったのは、広島・竹屋小2年のとき。香織さんが所属していたソフトボールクラブの練習に付いていったのが、きっかけだった。

ネット裏では、日米のスカウトが大阪桐蔭・中田のプレーに目を光らせた=撮影・前川純一郎
★清原も改めてエール
宮古島キャンプで「自分の高校時代よりスゴい」と話していたオリックス・清原も、中田を改めて高く評価。この日「やっぱりすごい。なかなか高校生でスポーツ紙の1面は取れへんよ」と本音を漏らした。テレビ中継はリハビリ中で見られなかったが「オリックスに来ないかな。生で見たいよ」とラブコールを送っていた。
★観戦の母ハラハラ
広島から甲子園にやってきた中田の母・香織さん(43)は一塁側のアルプス席で中田の粘球を見守った。「きょうは投手だったので、攻撃の時も守りの時もハラハラ、ドキドキしていました。周りの打者に助けてもらって勝てました」。エース兼4番でチームを支える大黒柱の母は勝利の瞬間、胸をなで下ろしていた。
★日本文理わずか1安打
「中田くんが投げることを必要以上に意識しすぎたかも」と、完封リレーを食らった日本文理・大井監督は苦笑い。中田に安打を許さなかったが、7回を投げた中田から1安打しか打てなかった。4打数無安打に終わった主将の頓所(とんしょ)も「狙ったところにボールが行かなくて、中田くんも苦しんでいたようだが、それを利用されてしまいました」と、最後まで狙いを絞り切れない展開を悔しがった。
【名言迷言・春】
◆中田から一回に死球で出塁したが、牽制死した日本文理・小杉
「中田くんにぶつけられて、刺されたのも記念になりますかね」









◆巨人・山下スカウト部長
「いいスライダーで三振を取っていた。野手としてはプロの球に慣れれば、1年目から活躍する可能性がある」
◆阪神・池之上スカウト課長
「打つだけでもすごいのに、大事な大会の初戦にこれだけ投げるのは大したもの」
◆メッツ・大慈弥環太平洋スカウト
「韓国、台湾にもこのクラスの選手はいない。豪州にも行ったがいなかった。高校生ではアジアナンバーワン野手でしょう」