2006年08月18日 更新

2006年 第88回全国高校野球選手権大会

駒大苫小牧3連覇へM2!田中が闘魂ピッチ11奪K

田中

ゲームセットの瞬間、田中から飛び出したどでかいガッツポーズ。駒大苫小牧がV3にあと2勝と迫った=撮影・浜坂達朗

(第88回全国高校野球選手権大会、第12日、準々決勝、東洋大姫路4−5駒大苫小牧、17日、甲子園)頂点が見えてきた。駒大苫小牧(南北海道)が5−4で東洋大姫路(兵庫)に逆転勝ちし、3年連続で準決勝進出。今秋ドラフトの超目玉、田中将大投手(3年)は9安打を浴び、序盤に4失点したものの、中盤以降立ち直り、11奪三振。味方の逆転を呼び込んだ。夏の甲子園13連勝中の北の王者は、1931−33年に達成した中京商(現中京大中京)以来、73年ぶり2校目の3連覇までマジック「2」とした。

マジック「2」への扉も劇的な逆転劇でこじ開けた。九回二死三塁、5番・柏原を力のない遊ゴロに打ち取ると、エース・田中は両手で大きく大きく、ガッツポーズを作った。

「序盤は浮足立ちましたが、(八回二死満塁の場面は)絶対に気持ちで負けないぞと思いました」。田中は自身のデキより逆転勝利に、そして3年連続4強入りに誇らしげだった。

それでも一回に2ランを被弾し、四回にも2失点。五回を終えて毎回先頭打者に出塁を許すなど苦しんでいたが、3回戦(対青森山田)で6点差をひっくり返した打線の爆発を待った。辛抱強く投げ続けることで崩していたフォームがまとまり始め、直球、スライダーに威力が戻ってきた。

六回、東洋大姫路打線を2者連続三振で3人で封じると、その裏、眠っていた“ひぐま打線”が目を覚ました。9番小林秀捕手(2年)の四球をきっかけに4番本間篤史外野手の適時打まで4連続長短打で同点に追いつき、七回二死三塁では、3回戦でサヨナラ打を放った三谷忠央内野手(3年)が一塁に頭から飛び込み決勝点をもぎ取った。この日6番から1番に昇格して3安打1打点のラッキーボーイは「今のチームは何点取られても取り返せますから」と言ってのける。

3月の卒業式の夜、3年生(当時)野球部員らによる不祥事が発覚し、センバツ出場を辞退した。目標に掲げてきた夏春連覇の夢が絶たれた。公式戦負けなし。優勝候補と呼ばれていただけに、突然試合ができなくなり「もう厳しい練習はやりたくない」という部員も出てきた。

そんな中、問題を起こした卒業生10人が学校を訪れ、1人1人、部員全員の前で「申し訳なかった」と謝罪した。当時主将だった田中を中心に毎日ミーティングを開き、「春の悔しさは夏にぶつけようぜ」と説得。わだかまりは消えた。1人の退部者も出さなかったことは田中自身の誇りでもある。

八回、二死満塁のピンチを二ゴロで脱した田中は大声で吠え、ドシドシと足音を立ててベンチへ戻った。11三振を奪って完投。気迫で最後までマウンドを守り抜いた。

「絶対に抑えてやると思い投げたのが攻撃につながったのかもしれません。智弁和歌山? よく打つチームだと思いますが、全員で粘って何とか勝ちたい」

73年ぶり史上2校目のV3まであと2つ。偉業への物語は、最終章に突入しようとしている。

(吉村大佑)

■田中 将大(たなか・まさひろ)

1988(昭和63)年11月1日、兵庫・伊丹市生まれ、17歳。昆陽里(こやのさと)小1年から野球を始める。松崎中では「宝塚ボーイズ」に所属し投手と捕手。駒大苫小牧高では2年時に春夏連続で甲子園に出場し、夏は優勝。秋の国体、明治神宮大会も制覇した。1メートル85、81キロ、右投げ右打ち。家族は両親と弟。

★主将が同点打!

エースの粘りのあるピッチングに主将が応えた。3連続長短打で1点差に迫った六回一死二塁。主将の本間篤が三塁強襲の同点適時打。「(次打者の)田中に任せたぞといわれていたので、やってやろうと思いました」。3戦連続安打&打点と好調を維持する4番打者は「負けたくないという気持ちがあったから逆転できました。接戦を勝ち抜いてきたのでさらに勢いがつくと思います」と笑顔だった。

◆駒大苫小牧・香田監督

「選手たちがあきらめず、流れを変えようと一丸になってくれた。田中は前半苦しんだが、持ち前の粘りで攻撃へのリズムをつくってくれた」


◆六回に2点二塁打の駒大苫小牧・中沢

「直球を狙っていた。負けていても、ベンチの雰囲気はよかった。とにかく攻める気持ちだった」

■準決は打撃戦!?

2試合で8本塁打が出たこの日。出場4チーム中唯一本塁打のなかった駒大苫小牧だが、今大会の55本塁打中、2本は3回戦の青森山田戦で、鷲谷、中沢が放ったものだ。準決勝で対戦する智弁和歌山は4本塁打の広井を含め、今大会4戦で8本塁打しているが、チーム打率は.312で、同.347の駒大苫小牧が上回っている。

★準決勝は駒大苫小牧と智弁和歌山

準決勝(19日)の組み合わせ抽選が行われ、夏3連覇を目指す駒大苫小牧(南北海道)は智弁和歌山(和歌山)と第1試合で対戦することになった。