2失点も圧巻!八重山商工・大嶺、アウトはすべて三振
アウトすべてを三振で奪った圧巻のピッチング。苦しみながらも大嶺が意地を見せた=撮影・江角和宏
(第88回全国高校野球選手権大会、第8日、2回戦、松代3−5八重山商工、13日、甲子園)石垣島で日本最南端の高校、八重山商工(沖縄)が5−3で松代(長野)を下し、3回戦に進出した。プロ注目のMAX150キロ右腕・大嶺祐太投手(3年)は先発を外され、八回からリリーフ登板。2失点を喫したが、6アウトすべてを三振で奪った。1回戦で17三振を奪うなど、プロのスカウト陣をうならせたセンバツ時の状態にはまだ達していないが、それでも今秋のドラフト1巡目候補と呼ばれる資質の高さは十分、見せつけた。
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屈辱にまみれたエースがプライドをかけて八回からマウンドに上がった。九回には四球、死球で招いた二死一、二塁から三塁打を浴び、まさかの2失点。それでも6アウトすべてを三振で奪うピッチング。今秋のドラフト1巡目候補と呼ばれる男の意地だった。
「1回戦(千葉経大付戦)が全くダメだったので見返してやろうと投げました。自信はある程度取り戻しましたが…」
圧巻のオールKも大嶺はセンバツ時に見せたみなぎるような自信は見られない。1回戦は自らの送球エラーもあり、6失点で八回途中に降板。九回に味方打線が同点に追いつき、延長で勝ち越したが、初戦敗退でも不思議のない内容だった。
だが雪辱のチャンスは与えてもらえなかった。そんな惨めな姿をさらしたにもかかわらず、悔しさが見られない。練習で覇気がない…。伊志嶺吉盛監督(52)にそう見られ、連日、怒鳴られた。前日の12日にはついに「もう投球練習しなくていい」と先発から外すことを宣告された。
屈辱のベンチスタート。先発当山徳人(2年)は点こそ取られなかったが、立ち上がりから痛打される苦しい内容。それでも一生懸命投げる姿に「アイツのように楽しく投げることが欠けていた」と感じた。
三回無死一塁で金城長靖一塁手(3年)がリリーフすると、大嶺はベンチから一塁へ。気迫あふれる投球に心が動いた。
そして5−1と4点リードした八回、投げるチャンスをもらった。四死球で一、二塁のピンチを招いた九回には伝令を通じ「バカヤロー」という監督のゲキを受けた。最後の打者を空振り三振に仕留めて見せたガッツポーズ。チャンスをくれた監督、心配するチームメートへの大嶺の出した答えだった。
それでも伊志嶺監督は「ぬかに釘でしたね。進歩なしでした。大嶺は慢心しています。春のセンバツは生活態度とかの差で横浜に負けた。それなのに何やと思って外しました」と苦言を呈す。次回の登板も「大嶺としっかりと話し合いたい」と明言を避けたが、その厳しさも自力で立ち直ってほしいと思いがあるからこそだ。
沖縄初の深紅の優勝旗を日本最南端へ−そう期待がかかるこの夏。もちろん八重山の栄光はエースの完全復活なくしてはありえない。
■大嶺祐太(おおみね・ゆうた)
1988(昭和63)年6月16日、沖縄県石垣島生まれ、18歳。小学校5年から「八島マリンズ」で野球をはじめる。中学時代は「八重山ポニーズ」に所属し、主に投手として活躍。2年時には世界大会で3位に輝く。八重山商工では1年夏からベンチ入り。今年のセンバツでは1回戦の高岡商戦で17奪三振を記録。今夏の1回戦の千葉経大付戦では150キロをマークした。1メートル84、80キロ。右投げ左打ち。
金城長は五回、中越えに3ランを放った=撮影・江角和宏
★“進路”はプロ?社会人?
八重山商工の150キロ右腕・大嶺は今秋のドラフトで、同じ九州ということもあり、ソフトバンクが1巡目候補として挙げている。1回戦(対千葉経大付)を視察した巨人・山下スカウト部長も「センバツのときより自信をつけた。直球もいいけど、スライダーにキレがある。完成されてきたね」と評価するほど。大嶺の周辺からは「(プロは)社会人で力をつけてからでも」という声も聞かれるが、甲子園での今後の活躍次第ではプロ側のアタックも強まる可能性は十分ある。
★金城長、攻走守で大活躍
金城長が攻走守で大活躍。二回途中からマウンドにあがると、5回4安打1失点。自己最速となる145キロをマークした。三走だった四回一死二、三塁では重盗で本盗を決め、「スタートがよかったです」とニッコリ。打っても、五回に中越え3ラン。左右両打席で2本塁打を放った今年のセンバツに続く甲子園第3号に「つまった感じで、入ると思わなかった。すごく嬉しいです」と笑顔がこぼれた。
■沖縄県勢の夏の甲子園
夏の甲子園出場は1958(昭和33)年に首里が初出場。90、91年には沖縄水産が2年連続で決勝に進出したが、惜しくも準優勝に終わっている。過去にベスト8には10度進出し、ここ10年間では97年の浦添商以来、ベスト8に駒を進めることができていない。ちなみにセンバツは99年に沖縄尚学が優勝を遂げている。
★松代、歴史に名…現校名で最後の聖地
創立100周年の甲子園初出場だったが、八重山商工を最後まで苦しめた。1−5の九回二死一、二塁、松沢賢が2点右越え三塁打を放ち、2点差まで追い上げた。来年4月からの長野南高との統合に伴い、現校名では最後の聖地となったが、高橋主将は「負けたのは悔しいけど、歴史に(松代の)名を刻むことができてよかった」と晴れ晴れとした表情を見せた。
【名言&迷言・夏】









◆八重山商工に敗れた松代の丸井監督
「大嶺君にしろ、金城君にしろ、あんなに速い球を投げる投手は長野県にはいません」