2006年08月10日 更新

2006年 第88回全国高校野球選手権大会

静岡商32年ぶり勝利!小さなエース・大野が完投!

滝本が生還して先制

静岡商は一回一死三塁で宮崎がスクイズ。三走・滝本が生還して先制した

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1メートル65、小さなエース・大野が完投した

(第88回全国高校野球選手権大会、第4日、1回戦、静岡商8−2八幡商、9日、甲子園)“小さな2年生”が、古豪・静岡商(静岡)に32年ぶりの勝利をもたらした。1メートル65の左腕エース・大野健介投手(2年)が、9回6安打2失点完投。8−2で八幡商(滋賀)を破った。浦和学院(埼玉)は、3−9で金沢(石川)に敗退。プロ注目・堂上直倫遊撃手(3年)擁する愛工大名電(愛知)も、福知山成美(京都)に4−6で敗れた。また智弁和歌山(和歌山)は4−1で県岐阜商(岐阜)を退け、高嶋仁監督(60)が夏の甲子園トップタイの27勝目をマークした。

“小さな2年生”が、大きな仕事をやってのけた。1メートル65の左腕・大野が静岡商を32年ぶりの勝利に導いた。

「初めは緊張したけど、途中からは楽しんで投げることができました」。初の大舞台も飄々とした顔つきで振り返る。MAXは133キロだが、チェンジアップとカーブを駆使して9回6安打2失点6奪三振。強打の八幡商打線を押さえ込んだ。

転機は4月23日に行われた静岡高との定期戦だった。自信を持っていた球を打ち込まれ、2−8の敗戦。悪夢を晴らすため試行錯誤した。ヒントになったのは、ソフトバンクの左腕・和田。打者にとって一番打ちにくいのは「最後までリリースが見えないこと」だと改めて確かめた。そして、それまでの完全なオーバースローから少しだけ腕を下げた。

さらには、杉本保裕部長(54)が「彼は本当に変わった」と舌を巻くほどの猛練習。早朝練習のない静岡商で朝6時から約2時間走り込み、練習終了後も走り続けた。その成果が、静岡大会準々決勝からの3連続完投、この日の完投勝利に結びついた。

32年前の甲子園でも、小柄な大石大二郎(現サーパス監督)がチームを引っ張り、8強進出。大野は「身長は関係ない。次はもっといいピッチングを見せたいです」というが、長い時を超えて現れた“小さな救世主”が、今後もチームの命運を握っている。

(櫻木理)

■大野 健介(おおの・けんすけ)

1989(平成元)年10月9日、東京都生まれ、16歳。小2から「新中野メッツ」で野球を始め、投手兼外野手。仙台・南光台中、静岡・安東中を経て静岡商高に進学。1年夏からベンチ入りし、2年春から背番号「1」を背負う。最速133キロ。左投げ左打ち。1メートル65、58キロ。家族は両親と兄。

◆32年ぶりの勝利に静岡商・増井主将

「(夏の甲子園は)初戦で負けないという伝統を守ることができてよかったです」

★静岡商、最多タイ9犠打

毎回の走者を出し、9個の犠打で1試合犠打数のタイ記録(80年、広島商の日大三戦)を作った。杉本監督は「持ち味を生かした攻撃ができた。うちはヒーローがいませんので」と、はにかみながらも全員野球を強調。先制のホームを踏むなど、3安打1四球2盗塁と活躍したリードオフマン1番・滝本は「塁に出たらいつも次の塁を狙っています」と積極的な姿勢を見せた。

名言&迷言・夏

◆お立ち台の上で静岡商・大野

「甲子園の印象ですか? (ブルペンから)ヤキソバのにおいがしました」

★八幡商・岩口、意地の一打

1−7の八回二死満塁で、岩口が意地の一打を放った。滋賀大会では7割近い打率を誇った4番も、それまで3打席はいずれも凡退。狙っていたカーブを「気持ちが焦って」と打ち損じていた。初めて迎えたチャンスでの打席。チームは劣勢だったが「1点でも多く返したかった」。焦る気持ちを集中力に変え、カーブを左前に打ち返した。敗れはしたが「最後に打ててよかった」。ベストを尽くした充実感を口にした。

記録メモ】▽無失策試合 1回戦の八幡商−静岡商で記録。今大会初。

記録メモ】▽チーム1試合最多犠打9 静岡商が1回戦の八幡商戦で記録。第70回大会の広島商以来、3チーム目。