2006年08月09日 更新

2006年 第88回全国高校野球選手権大会

文星芸大付九回5安打集中!イッキ同点、ミラクル逆転!

まさかのサヨナラ

まさかのサヨナラ負け。マウンドではダースがひざから崩れ落ちた=撮影・伊藤奈々

(第88回全国高校野球選手権大会、第3日、1回戦、関西10−11x文星芸大付、8日、甲子園)誰もが予想しなかったドラマ。ベンチにいたナインは二塁走者がホームインする前にベンチを飛び出していた。九回、7−10。3点のビハインドから、同点に追いつき二死二塁。4番・妻沼理史中堅手(3年)の放った打球が左翼手の前に転がり、文星芸大付が奇跡の逆転サヨナラ勝ちを現実のものとした。

「仲間を信じていました。(打順が)回ってくれば何が何でも打ってやると思っていました」

一躍ヒーローになった妻沼は、汗まみれの顔で喜びを爆発させた。

それは汚名返上の一打だった。0−0で迎えた二回二死二塁。関西の7番・川辺が放った中前打を後逸、打者走者の生還を許し、2点を献上してしまった。

「エラーの後に仲間が気にするなといってくれました。そんな仲間のためにも打たなければいけないと思いました」

屈辱の失策後はサヨナラ打を含めて怒濤の3安打5打点。エラーの穴を埋めてオツリがくるほどの活躍だった。

これまでも逆境をはね返してきた。栃木大会優勝後の7月29日に発覚した1年生部員の傷害容疑での逮捕。甲子園開幕の夜のミーティングで渡辺貴美男主将(3年)は「オレたちは(甲子園大会に)出させてもらっている立場。中途半端なプレーはできない。死ぬ気で頑張ろう」と、ナインにカツを入れた。

2003年、「宇都宮学園」から現校名に変更後、甲子園初勝利。文星ナインが新たな一歩を踏み出した。

(櫻木理)

★関西・ダース号泣「本当に情けない」

痛恨の逆転サヨナラ負け。インド人を父に持つダースがマウンドに崩れ落ちた。「本当に情けない」と涙で言葉が続かなかった。4−3の六回二死満塁から登板するといきなり押し出し四球で同点。七回にも3点を奪われ、そして九回…。「精神面が成長していない。昨年と同じミスをやってしまった」と江浦監督。昨夏も京都外大西(京都)戦で6点差を守りきれずに号泣した。「みんなに本当に悪い」。また、悔し涙とともに短い夏が終わった。

◆関西・安井主将

「気の緩みがどこかにあったのかもしれない。悔しい」

◆ダースの球を受けた関西・小原

「球の走りは良かった。僕がリードしきれなかった。ダースのせいというより、僕の甘さが出た」

記録メモ】▽全員安打 関西が1回戦の文星芸大付戦で記録。今大会初。

★文星芸大付・藤本&佐藤、10失点反省

栃木大会6試合でわずか9失点と安定していた2枚看板、先発右腕・藤本と2番手左腕・佐藤が打ち込まれた。五回途中で降板し、被安打9、4失点の藤本は奇跡の逆転劇に「次の機会を与えてくれたことに感謝しています」。6失点の佐藤は「コントロールが甘かった」と反省。次戦での好投を誓った。

◆文星芸大付・渡辺主将

「よく打線がつながった。こつこつ打つしかない自分たちにとって、理想的な試合ができた」

◆九回二死から投前内野安打で出塁した文星芸大付・保坂

「何が何でもという執念で、思い切り走った」

名言&迷言・夏

◆五回からマウンドにあがり、九回のサヨナラ機には泣きながらキャッチボールをしていた文星芸大付・佐藤

「興奮しすぎて、涙といっしょに鼻血まで出てきちゃいました」

★22チーム中18チームが2ケタ安打

1回戦の11試合を終了し、清峰が20安打で22点を奪ったのをはじめ、22チーム中18チームが2ケタ安打をマークし、7チームが2ケタ得点を記録した。本塁打も15本でこのペースでいけば、ラッキーゾーンがあった1984年に飛び出した大会記録の47本を上回る計算。「金属バットの質が良くなっているから、体力のない子でも鋭い当たりを打てるし、スタンドまでいくこともある」とは日本ハムの木村スカウト。“打撃戦”の流れを誰が止めるのか。