2006年08月08日 更新

2006年 第88回全国高校野球選手権大会

鉄腕・佐藤で仙台育英1勝!時代は平成元年生まれ

佐藤

理想的なフォームが鉄腕を支える。佐藤は甲子園でも完投勝利を挙げた=撮影・高井良治

(第88回全国高校野球選手権大会、第2日、1回戦、仙台育英5−1徳島商、7日、甲子園)最後に甲子園キップを手に入れた仙台育英(仙台)が、宮城県勢50勝目を飾った。引き分け再試合となった宮城大会決勝2試合を1人で投げ抜いた2年生エース・佐藤由規投手が、5安打1失点完投で徳島商(徳島)に5−1と快勝。1989年夏、2001年春と、過去2度甲子園の決勝で涙をのんだ同校が“3度目の正直”を目指す扉を開けた。

佐藤(左から3人目)

先輩に助けられて実力発揮。2年生エース・佐藤(左から3人目)が好スタートを切った=撮影・高井良治

灼熱のマウンドで右腕をしならせた。九回二死一塁。代打・桑島から空振り三振を奪うと、右手で小さくガッツポーズ。仙台育英・佐藤が堂々の5安打1失点完投だ。

「バックはみんな先輩なので、安心して投げられました。予選よりも、のびのびとプレーができました」。最高の笑顔が物語る通り、スタメン唯一の2年生は、自身の投球に満足していた。

一回に最速145キロをマーク。3者凡退に抑えると、決め球のスライダーがさえ11奪三振、うち10個を空振りで取った。宮城大会決勝(7月31日、対東北)では延長十五回を投げ抜き、翌日の再試合も2失点完投。2日間で374球の熱投を見せたが、この日は仙台より7度も気温が高い(36度)甲子園で115球を投げた。その結果、甲子園通算10勝目を飾ることができた佐々木順一朗監督(46)は「無失策は投手がよかったから。球速ももう少しでると思う」と、いまや絶対の信頼を寄せている。

2日連続の“2年生旋風”でもあった。前日6日には大阪桐蔭・中田が特大の140メートル弾でセンバツ覇者の横浜を撃破。平成元年生まれの2人が今大会の主役候補に躍り出た。当然、佐藤は「中田君と対戦したいですね」。お互い勝ち上がれば、準々決勝以降に直接対決が実現する。

佐藤にとって、甲子園出場は“宿命”だった。父・均さん(45)は仙台商高時代、仙台育英の友情応援で甲子園へ。それ以後は甲子園の試合をすべて録画していた。そんな家庭で育った佐藤は、仙台育英が大越(元ダイエー)を擁して準優勝した89年夏のビデオがお気に入りなのだ。

その大会の帝京との決勝戦が行われたとき、佐藤は母・美也さん(46)のおなかの中にいた。おなかをさすりながらテレビ観戦していた美也さんも「(息子が)仙台育英で甲子園に出られたのも何かの縁でしょうね」。17年後の今年、アルプスで声援を送りながら感慨にふけっている。

でも、この1勝だけで満足するわけにはいかない。「1日でも長く先輩たちとプレーしたい。初優勝も狙います」。東北勢初の日本一へ向けて、まだまだ投げるつもりの佐藤。仙台のスーパー2年生が歴史を塗り替える。

(吉村大佑)

■佐藤 由規(さとう・よしのり)

1989(平成元)年12月5日、仙台市生まれ、16歳。投手。北仙台小4年から、北六バファローズで野球を始める。中1の時、リトルリーグの仙台東リーグに所属し、世界大会準優勝。その後、シニアリーグの仙台西部シニアへ。仙台育英では1年春からベンチ入り。1メートル78、73キロ。右投げ左打ち。家族は両親、祖母、兄、弟。

■1989(平成元)年

【主なニュース】▽昭和天皇崩御、平成に改元上▽消費税実施▽中国・天安門事件▽ベルリンの壁崩壊▽美空ひばりさん、手塚治虫氏死去【世相】▽大学・短大卒の女子学生の就職者数が初めて男子学生を上回る▽おたく族が登場▽流行歌『淋しい熱帯魚』『とんぼ』▽ベストセラー『ノルウェイの森』『キッチン』▽映画『レインマン』『魔女の宅急便』▽テレビ番組『とんねるずのみなさんのおかげです』『ねるとん紅鯨団』▽流行語『セクシャルハラスメント(セクハラ)』『マドンナ旋風』

★完勝に父は乾杯

勝利の瞬間、仙台育英・佐藤の父、均さん(45)=会社経営=はアルプス席で応援団と握手をかわした。「由規は4年前にリトル(仙台東)でアメリカにいって準優勝。4年ごとにいいことあるなって、思ってたんです。きょうも、ホームグラウンドでやってるみたいに落ち着いて見えましたよ」。その後、親戚、知人らが仕立てた応援バスに家族ごと引っ張られバスの中で乾杯。代表決定の祝杯をあげていなかっただけに、甲子園1勝で一気に盛り上がった。

★徳島商「やまびこ打線」再現ならず

井上監督は池田を率いた名将、故蔦文也監督の教え子で86年のセンバツ優勝メンバー。だが仙台育英の佐藤の前に5安打、11三振と抑えられ、「やまびこ打線」を再現することはできずに終わった。「“攻めダルマ”の池田のバッティングは見せられなかった。(故蔦監督には)まだまだ頑張りますと報告します」と残念そうに話した。

◆先発するも4回4失点だった徳島商・久保田

「一番の反省は四回にランナーがいないところで一発を打たれたこと」

◆六回に適時二塁打を放った徳島商・角田

「適時打よりも四回のエラーが悔しい。まだ力が足りないと思った」