2006年08月07日 更新

2006年 第88回全国高校野球選手権大会

高知商が逆転勝ち!先輩・藤川のゲキに応えた

高知商・前田

起死回生の同点弾。前田の2ランで高知商が流れを引き寄せた

(第88回全国高校野球選手権大会 第1日、白樺学園7−10高知商、6日、甲子園)開幕試合は両チームあわせて26安打の乱打戦。2本塁打を放った高知商(高知)が4点差をはね返し、逆転勝ちした。初出場の白樺学園(北北海道)は、投手陣が乱調。打線も三回途中から登板した高知商の2番手・小松をとらえきれなかった。

アルプスから聞こえるよさこい節に乗って、4点差をひっくり返した。高知商の石川将史主将(3年)は、汗まみれの笑顔を見せた。

「はじめは硬かったと思います。でも4番のホームランでいけると思いました」。三回、4番・筒井和哉左翼手(3年)の大会1号で嫌な雰囲気を振り払い、六回に前田竜太遊撃手(3年)の2ランなどで、試合をひっくり返した。終わってみれば先発全員安打の大暴れだ。

組み合わせ抽選が行われた3日、西宮市内の宿舎を浅黒い大男が訪れた。いまや日本を代表する剛腕、阪神の藤川だった。「お前ら、勝ってくれよ! 応援してるから勝ち上がっていけ!」

先輩がエールとともに残したのは、選手全員へのサイン色紙。そこには「主役は自分」というひと言が添えられていた。自身は2年時の97年夏に2回戦敗退したが、後輩たちには最後まで主役を演じてほしい−。ストレートなゲキに後輩も応えた。

「勝ち上がっていけば、藤川さんが見に来てくださるそうなので楽しみです」と石川主将。藤川が観戦できるのは、長期ロードがひと段落する8月14日以降。「主役は自分」を合言葉に、球児の夏が始まった。

(周伝進之亮)

★サイン切り替え的中!前田が千金同点弾

5−7の六回無死二塁。西原監督は2番の前田に初球セーフティーバントを指示したが、2球目からは「打て」のサインに切り替えた。前田も監督の意図をくみ取り、暴投で無死三塁になった後、左翼席に飛び込む同点2ラン。高知大会決勝の明徳義塾戦でも七回に3点差を追いつき、八回に逆転していたが「明徳に勝ったのが自信になった」と前田。難敵を倒した自信が9年ぶりの勝利につながった。

◆高知商・筒井

「(大会第1号は)一応狙っていたけど、まさか打てるとは。自分のバットで流れを変えたかった」

◆テレビ観戦した高知商の先輩、阪神・藤川

「強い。頑張りましたね。うれしいです」

■データBox

高知商が白樺学園に勝ったことで、高知勢の北海道勢に対する連勝が春夏通じて負けなしの7に伸びた。1966年のセンバツで土佐が室蘭工に10−2で勝って以来続く記録で、前回は97年の選手権大会で高知商が旭川大高を下している。

板垣(左)

★夢の初舞台…アクシデントに涙

つかみかけた大きな夢が、はかなく消えた。春夏通じての初舞台。開幕試合に登場した白樺学園の夏は、アクシデントに翻弄された。

「先発経験がない板垣が、最後まであきらめずにリードしてくれましたが…」。戸出直樹監督(30)はねぎらいの言葉を探したが、選手の涙を止めることはできなかった。

先発出場が発表された正捕手の森が、試合開始直前に負傷した。キャッチャーフライの捕球練習の際にバックネットに激突し、西宮市内の病院で診察を受けたところ「左足首くるぶし内側のはく離骨折で全治4週間」。控え捕手の板垣=写真左=が代わりに出場し、一回に2点を先制したのだが…。

四回、その板垣の捕逸で1点差に迫られ、六回も2球続けて投球を後逸(記録は暴投)。その回に病院から戻った森は、高校野球の特別規定で回復すれば出場もできたが、そのままベンチで応援するしかなかった。

結局は悪夢の逆転負け。森は「僕の責任です」と号泣したが、まだ2年生。「来年また来ます、ではなくて、また来なくちゃいけない」と、唇をかみしめていた。

(山下千穂)

◆白樺学園・中川

「負傷した森の分まで頑張ろうと思ったが…。自分の調子は良かった。相手が上だった」

★シーファー駐日米大使が白熱プレーに感激

この日の第1試合をシーファー駐日米大使がスタンド観戦した。米大リーグのレンジャーズで球団社長を務めた経験を持つシーファー大使は、初めて訪れた甲子園球場に「ツタが壁に生い茂っていて、日本野球の殿堂のように感じた」と感激した様子。選手たちのプレーに「米国にはユニホームが泥だらけになって初めて野球をしたという言葉があるが、本当に泥だらけになっていた」と満足そうだった。

三重の中村主将

★中村主将「百点満点」堂々と選手宣誓

3万9000人の大観衆を前に選手宣誓を終えた三重の中村主将=写真(代表撮影)=は「ほっとした。ばっちり言えて百点満点」と笑みが広がった。「支えてくれた人たちへの感謝の気持ちを白球に込め」とゆっくりと、堂々とした声だった。大役を終え「試合に集中して、日本中が熱くなる最高のプレーをしたい」とあとは熊本工との初戦を待つばかりだ。

★本間主将「もう一度優勝旗を持ち帰りたい」

昨夏連覇を達成した駒大苫小牧は、49代表校の先頭を切って行進した。本間主将は「全員で優勝旗を返すことができてよかったです」と笑顔。前日5日のリハーサルでは約10キロの優勝旗を引きずる場面もあったが、この日は旗を短く持って大役をこなした。本間主将は「もう一度優勝旗を持ち帰りたい」と3連覇へ意欲を見せ、その後同じ北海道勢の白樺学園を応援した。

★開会式前に黙とう

如水館は広島代表として、61年前の原爆投下に合わせて黙とうを行った。開会式前に新室内練習場で待機していたメンバーは柚木主将の呼び掛けで、投下時刻の8時15分に立ち上がり西を向いて約1分間の黙とう。他チームの選手たちは静かに見守った。柚木主将は「いろんな人に支えられて野球ができることに感謝する気持ちで黙とうした。広島県民としてやらなければいけないと思った」と話した。

★2選手が発熱で欠席

静岡商(静岡)の稲口順弘左翼手(3年)と清峰(長崎)の富尾京平選手(3年)が発熱のため、開会式を欠席した。