巨人優勝特集

2007年10月03日 更新

ボロボロのユニホームはVの証!主将・阿部が歓喜のダイブ!

Vの使者ならぬ走者・阿部が本塁に頭から飛び込んだ。李承ヨプがV字ガッツポーズで迎える。ベンチからナインが一斉に飛び出して、さあ、歓喜の時だ!!

Vの使者ならぬ走者・阿部が本塁に頭から飛び込んだ。李承ヨプがV字ガッツポーズで迎える。ベンチからナインが一斉に飛び出して、さあ、歓喜の時だ!!

阿部ガッツポーズ いつも仲間と一緒だ。主将の阿部(中央)が李承ヨプ(左)二岡(背中)脇谷(右)に抱き上げられた

阿部ガッツポーズ いつも仲間と一緒だ。主将の阿部(中央)が李承ヨプ(左)二岡(背中)脇谷(右)に抱き上げられた

 (セ・リーグ、巨人5x−4ヤクルト、最終戦、巨人14勝10敗、2日、東京ドーム)サヨナラのホームを倒れ込むように抱きしめた。九回二死満塁。宮本の悪送球で二塁から阿部が生還。ヘッドスライディングで優勝を決めた。

 「あんまり覚えていないんです。うれし過ぎて…。サードを回ったときに、ボールが一塁ベンチ前にあったので、びっくりして走りました」。涙はない。ただ、うれしかった。歓喜の輪の中心には、仲間からユニホームを引っ張られ、ボロボロにされた明るいキャプテンがいた。

 前回優勝した02年はプロ2年目。胴上げでは外側に立っていた。「あのころは、先輩に引っ張ってもらっている感じだった。今年は大変だった分、達成感があります」。当時から残るメンバーで一番成長したのが他ならぬ阿部だった。昨季最終戦で原監督から18代主将に指名され、今季は4番も21試合務めて欠場はわずか3試合。捕手として両リーグ最多の出場試合数は胸を張れる。

 試合前の全体ミーティングでも毎日、ナインにハッパをかけた。毎晩ベッドで考えていたのは、どうしたら選手の緊張をほぐせるか。そんなとき傍らにいたのが、昨オフに結婚した妻・悠さんだった。ときにはアイデアもくれた。家の中では野球の話を一切しない奥さんが、リラックス空間作りに手を貸してくれた。

 「自分の力だけでは、こういう重役はできなかった。みなさんにサポートしてもらって、本当に感謝しています」。クライマックスシリーズ制覇、そしてその先には日本一がある。阿部主将の挑戦は、ここから新たにスタートする。

(桜木理)


■データBOX

 巨人がサヨナラ勝ちで02年以来5年ぶり31度目のリーグ優勝を決めた。1リーグ時代を含めると40度目。
 〔〕優勝決定日にサヨナラ勝ちしたのは昨年の日本ハムに次いで9度目で、巨人は90、00年に次いで3度と最も多い。敵失が絡んだケースは初。
 〔〕李承ヨプが今季30号を放ち、チーム30本以上は高橋由35本、阿部33本、小笠原31本に次いで4人目。1球団30本以上4人は最多タイ(プロ野球6度目)で、4人全員が左打者は今回が初めて。
 〔〕投手陣は高橋尚、内海が各14勝、新人の金刃が7勝など左腕だけで半分の40勝。左腕合計の勝利数としては00年の45勝に次ぐ球団史上2番目の多さ。

★阿部の恩師・宮井監督、絶賛「十分合格点だ」

 今年1月10日。阿部の中大時代の恩師、宮井勝成監督(81)=現中大総監督=は恒例となっている阿部の激励会で、こう声をかけた。「王や長嶋はオープン戦から日本シリーズまで休まなかった。試合に出続けてこそ、真のスーパースターになれる」

 この言葉にうなずいた阿部は3試合欠場しただけで、本塁打も自己最多タイの33発(2日現在)。「『3割、35本』打てといったんだ。打率はへたったけど、今年は十分合格点だな」と教え子の活躍をたたえた。

 レギュラーのほとんどが年上の中、28歳の阿部は主将の役割も見事に果たした。「あいつは明るい性格だからね。原監督もそこを認めてくれたんでしょう」。宮井氏は優勝を心から喜んでいた。

★李、来季去就は明言せず

 李承ヨプが2点を追う四回一死二塁から一時同点となる2ランを右翼席へ運んだ。これで3年連続30号到達。九回には四球で出塁し、同点のホームを踏んだ。「四球でつなげたことが本当にうれしい。きょうが1年の中で一番、4番の仕事ができたと思います」。昨オフに4年30億円で再契約。日本一が条件でメジャー挑戦できるオプションを保有しているが「日本一が目標。またそこから考えたい」と去就について含みを持たせた。

★内海、家族に感謝

 エースとして原巨人を支えた内海も喜びを爆発させた。「本当によかったです! ベンチで祈ってましたよ〜」。優勝を決める大事な一戦に先発。三回、ラミレスに3ランを浴びるなど5回4失点で降板したが、逆転を信じていた。開幕直後の6月7日に夫人の聡子さん(24)と入籍。11月に第一子が生まれる。開幕投手に抜てきされ、14勝を挙げた激動の1年。「家族に優勝を贈りたい」という誓いをスタンド観戦した聡子さんと母・広子さん(46)の前で果たした。

★清水が劇的V呼び込ん“打”

 途中出場の清水が劇的な優勝を呼び込んだ。1点を追う九回二死満塁。遊ゴロ内野安打で一塁を駆け抜けると、遊撃・宮本の悪送球を誘い、二走の阿部がサヨナラのホームを踏んだ。「どんな形であれ、勝ったことがすべて。苦しかろうが何だろうが、勝ったことに満足しています」。右手薬指の付け根を痛め、復帰はシーズン途中だったが「治ればやれる自信はありました」と胸を張った。

★観衆最多4万6161人

 巨人がリーグ優勝を懸けた試合とあって、東京ドームには4万6260人が詰め掛けた。観衆を実数で発表するようになった2005年以降、これまでの巨人主催試合の最多は、ことし9月8日の阪神戦の4万6161人だった。

◆巨人・滝鼻オーナー

 「5年ぶりの優勝は巨人軍の歴史に大きな意義を持っています。血の入れ替えは大げさかもしれないけど、若返りがうまくいった。みんなMVPにしたいよ」

◆長嶋茂雄・終身名誉監督

 「原監督は大胆な選手起用で戦い、選手がそれによくこたえましたね。高橋由伸のトップバッター、上原のクローザー。若手選手の起用…。勝利のための割り切り方が、実に見事でした」

◆巨人・清武球団代表

 「巨人再建と言ってきたけど、再建の土台は作った。外から谷、小笠原が入って、下から山口らが出てきた。チームが一体となって刺激を受けた。原監督の発想、発明に驚いた。泥臭いチームになったと思う。あすからさらに上を目指す」

◆巨人・桃井球団社長

 「(就任してから)Bクラスしか経験がなかったので夢みたい。選手と抱き合えてうれしかった」

★セ5球団監督参りました

◆中日・落合監督

 「今年の三つのハードルのうち一つ目を越すことができなかったが、チャンスが残っている。悔しさをそこにぶつけたい」

◆阪神・岡田監督

 「巨人とは1、2点差ばかりで紙一重。内海を全然打てず1年間抑えられたイメージが強い。今年はまた当たる可能性がある」

◆横浜・大矢監督

 「ホームランがあのチームの売り。うちの投手陣は巨人打線を抑えることができなかったし、打者は左投手を打てなかった」

◆ヤクルト・古田監督

 「谷と小笠原の加入が大きく、強力打線が印象的。投手力も去年よりいい。木佐貫は去年出てなかったし…」

◆広島・ブラウン監督

 「力のある打者をそろえ、一瞬も油断のできないチームだった。打撃のいいホリンズが8番。その事実で十分でしょう」

■クライマックスシリーズ

 パ・リーグが優勝決定方式として2004年から始めたプレーオフ制を受け、今季からセ、パ両リーグで導入された。レギュラーシーズン1位がリーグ優勝となり、このシリーズは日本シリーズへの出場権を争う新システムとして実施される。レギュラーシーズンの上位3球団が参加し、最初に2、3位が第1ステージ(3試合制)で対戦。その勝者と1位が第2ステージ(5試合制)を戦う。2つのステージとも引き分けがあり、勝利数が同じ場合は上位チームが勝者となる。すべて上位球団の本拠地で開催される。